SFホラーの古典「遊星からの物体X」。このクローズドサークルという閉鎖環境での人間心理を巧みに表現している本作品の見どころを解説。今みても色あせない本映画の魅力とは? ホラー、SF、ミステリー、好きな方は必見!! いざ、SFの世界へ…!
遊星からの物体X のネタバレ感想・考察・徹底解説 (Ryo)
「遊星Xからの物体」のあらすじ
本日のコラムは1982年公開、ジョン・カーペンター監督によるSFホラーの古典「遊星からの物体X」である。言わずと知れた有名なSF作品である。
この映画はSFファンであれば一度は聞いたことがあったり、読んだことがあったり、観たりしたことがあるであろう。
物語の舞台は、アメリカの南極基地。10万年前に地球に飛来した謎の巨大UFOを発見した南極観測隊のノルウェー基地が全滅したところから始まる。しかし、その犯人が「同化」を行う未知の生命体「Things(物体/生き物)」の仕業であることが分かり、アメリカ基地の隊員たちは疑心暗鬼に陥りつつその物体との戦いを行う、というのが主なあらすじである。
本作品の見どころは①気持ち悪いクリーチャーとの戦い、②閉鎖状況での心理的恐怖、③すべてを明かさない終わり方ではないだろうか。
気持ち悪いルックスのクリーチャー
本作品の「敵」は非常に醜くとにかく気持ちが悪い。犬や人間など様々な生命体に同化するであるが、その異形の映像は、子供の頃にみれば夜は眠れないほどのトラウマものになるのは確実であろう。このクリーチャーのSFX担当は、特殊メイクアップアーティストのロブ・ボッティンで、彼は当時まだ22歳だったというのだから驚愕である。その後も、フィルモグラフィとしては「ロボコップ」「トータルリコール」「ミッションインポッシブル」等があり、今では視覚効果アーティストの巨匠である。
(ちなみに彼は映画「スターウォーズ」のモス・アイズリーの酒場のシーンに登場しているという笑)
何がいいかというと、今ではCGで気持ちの悪い生き物がスムーズに作れて、そして動くものであるが、この当時はまだそんな代物は存在しない。なので、どこかまだ動きや造形に生々しさが残っている。80年代のアメリカ映画にはこうした生き物としての醜い生々しさが鮮明に描かれており、リアルゆえの不気味さが増しているので、時々見たくなってしまうのである。
ちなみに物体の「同化」によって、2万7千時間後(3年後)には全世界が同化されるという驚異的な強さを誇る相手。しかも結構知的で、人間より先手を打って行動したりするのがまた怖い。
冒頭ではハスキー犬に化けており、途中から人間にも化けていくのであるが、毎回異形のクリーチャーが出現するので、観ている方は飽きないし常にハラハラしてしまう。(場合によっては泣く)
作中の人物の言葉を借りるなら、“You gotta be fuckin’ kidding(冗談だろ)”のシーン連発である。
THE THING ムービーマニアックス3 遊星からの物体X ノリスクリーチャー with スパイダー
クローズドサークルに通ずる心理描写
さて、②の閉鎖状況での心理的恐怖であるが、これはおそらくSFホラーの世界を大きく揺るがした作品に違いない。なぜならば、「敵」は宇宙人そのものというより「人間」に化けているからである。つまり、誰が仲間でだれが物体かは分からないという心理的恐怖の極限状態が描かれている。
ボクはクローズドサークルもののミステリー小説も好きであるが、それに近しいものを感じる。閉鎖状況の中、「誰が犯人か」が分からずにお互いに疑心暗鬼になり、乱れ狂うのである。これは「インシテミル」や「そして誰もいなくなった」、「十角館の殺人」等にも共通している部分がある。したがって、途中から戦うべき相手は「宇宙人」ではなく、「人間」になる。実際に殺してしまうのは、普通の人間の場合もあったりで、こういった疑い合う心理描写は非常にリアルである。血清テストのシーンで1人ずつ確かめるシーンなんかは、いつ誰が怪物に変化するかゾクゾクするので、そういった意味では当時真新しいSFホラーだったであろう。
解釈に任せる?
③の「すべてを明かさない」であるが、これもまた本作品の非常に巧くそしてずるい点(笑)である。途中、鍵がなくなっていたり、宇宙船のようなものが創られていたり、はたまたラストでは人間が2人残ったがどちらかが物体の可能性もあるような終わり方であったり、特にこれらが作中で明らかになることはないのである。(のちに監督がラストはどちらも人間だと公言しているらしいが…)
勿論、観終わった後に大体の推察は可能であるが、それでも「あれは誰がいつやったんだろう」とか「あの時から化けていたのか?」などど観終わった後もしばらくゾクゾクが残るのが良い。
このすべてを明かさずに視聴者に委ねる配分というのが、個人的には非常に巧妙であると思っており、ホラーの真髄に迫っているように思える。
ぜひ、この暑い夏に見ていただきたい一作である。
それではまた。
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