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【2001年宇宙の旅】令和だから見たい、未知の世界に没入する圧倒的な造形力

SFコラム
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Japan Sci-Fi プラネタリ TA-KA より

ネタバレあり
さて、今回は映画史に燦然と輝く名作「2001年宇宙の旅」を考察。本作品を構築している「貫かれるテーマと豊かな造形力」に迫りながら、キューブリックの哲学的な世界を考える。この映画をもっと知りたい!!という方はチェック! いざ、SFの世界へ!!

「2001年宇宙の旅」を考察 (TA-KA)

【2001年宇宙の旅の魅力】

こんにちは。コラムを投稿させて頂きますTA-KAです。よろしくお願いします。

さて、今回は映画史に燦然と輝く名作、「2001年宇宙の旅」を考察しながら、ご紹介させて頂きます。

まず、この映画の評価でよく目にするのが、「難解」「哲学的」「映像が素晴らしい」と言った評価が多いのですが、

その通り、かなり難解でありながら、見応えのある素晴らしい作品です

難解といわれることが多い作品…
A Space Odyssey:(C) 1968 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

ですが、この作品はある意味「序章」であり、「?」の答えは続編の「2010年宇宙の旅」で大体見えてきますので、まずは体験する事をお勧めします

ではなぜ監督のスタンリー・キューブリックがこの映画を「難解」な作品に仕上げたのか、
それは彼がインタビューで答えているのですが

「それは言葉で伝えようとしたメッセージではありません。2001年は非言語体験です。
私は視覚的な体験を作成し、それは言語区画を迂回し、感情的で哲学的な内容で潜在意識に直接浸透し、意識の奥に届く主観的な体験になるように意図しました」

とインタビューで答えており、映像や言葉ではない、その”潜在意識の体験” に重きを置いていた世界観を構築していた事を伺えます。

それは通常の「観てもらう」ことを主にしている映像作品とは一線を画し、現代のVR体験のように、その作品に没入し、かつ潜在意識に働き掛ける作品を50年前に制作していた事に驚かされます。

例えるなら、エル・ブリの創作料理を、交響曲と共に目の前に出され、説明無しに食するようなもので、「魅了される造形」「心に訴えるサウンド」それらを繋ぐ「ミステリアスなストーリー」が2時間半という長さを感じさせない、深い満足感を与えてくれます。

【映画を構築している、貫かれるテーマと豊かな造形力】
貫かれるテーマ

2001年宇宙の旅は「人類の進化と地球外生命の関係」というテーマで描かれ、異なる時代設定のパートでそのテーマが表現されており、各パートにおいてそのテーマが振れる事なく全体を貫いている事も、この映画の魅力です。

第一幕の人類の夜明け(THE DAWN OF MAN)では、猿人類が「道具」を使う事を覚え、進化を果たし、その切っ掛けとなったのが知的生命と思われる黒い長方形の物体「モノリス」との接触でした。

第二幕の木星使節(JUPITER MISSION)では、人工知能「HAL 9000」が登場し、人類の技術進化を伺えますが、その最先端の技術が暴走(知的生命との接触?)し、 HAL はボーマン船長に思考部を停止させられてしまい、その時意図せずこの探査目的である「モノリス」の存在を知る事となります。

人工知能HAL9000
A Space Odyssey:(C) 1968 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

第三幕、木星 そして無限の宇宙の彼方へ(JUPITER AND BEYOND THE INFINITE)で、ボーマン船長が木星の付近に浮遊するモノリスと接触し、精神を異世界へと導かれ、スターチャイルドへと進化してゆきます。

このように、「人類の進化」と「地球外生命との関係」を異なる設定でありながら、テーマを貫いている所が、この映画の最大のポイントです。

圧倒的な造形力

貫かれるテーマと共に重要なもう一つの要素が「造形力」です。
この映画は、キューブリックが狙っている「意識の奥に届く主観的な体験」を実現する為に、映像、音楽の表現力が立体的で、それぞれが効果的に関係をしながら2次元の作品の中に、奥行きを感じさせる作品に仕上がっています

例えば「人類の夜明け」では、この映画のオープニングで有名なRichard Straussの”Also Sprach Zarathustra”が使用され、静かにかつ、ゆっくりとトランペットで奏でられる序章から、壮大な管楽器のシンフォニーが奏でられ、漆黒の闇の中から惑星の奥にある太陽が徐々に昇ってゆく映像がそれと調和し、人類の目覚めを感じさせる、シンプルでありながら深みのあるオープニングを造形しています。

モノリスとは…
A Space Odyssey:(C) 1968 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

また、原始生物である猿人類がその目覚めへと繋がる未知の地球外生命と接触をするシーンでも同じ曲が使用され、猿人類が骨で大地を叩き、その勢いのまま空に放り投げるシーンでは、猿人類が徐々に「骨」が「道具」になる事に気が付き、音楽の盛り上がりと共にその動きは激しくなり、進化する事の壮大さをダイナミックな表現力で深みのある映像を造形しています。

モノリスの登場シーンでは、その存在をジオメトリックスな造形で超常的な存在として表現し、繰り返されるYorgy Ligeti’sの”Requiem”による嘆きの声の様な聴覚効果が、その超常的な存在に不安な要素を加え、神格化に近い存在に仕立て上げられています。

HAL 9000が異常行動するシーンからバックグランドに流れ始める空気漏れの様な音は、HALの心を描き出し、 HALの心情を音として表現し、 無音のボーマン船長との対比がコントラストを生み、不穏な空気を全体に与えています。
それはHALの思考が停止されるまで続き、ポッドの中でボーマン船長とプール隊員が会話をするシーンでは、密室のポッド内で会話をするシーンになると無音になり、HALがその様子を見つめるシーンに変るとそれは低音で流れる様になり、HALがその様子を冷淡に観察している様子が伺えます。
HALの暴走後、ボーマン船長がプール隊員の収容の為EVAから戻り、HALの思考停止作業を進めるシーンになると、赤い色の制御室がHALの空気音とボーマン船長の息遣いと合わさり、より一層不安感を与え、「Could you stop, dave」「I’m afraid」とHALが訴え、徐々に思考が止まり「Daisy Bell」をゆっくり歌い出すシーンでは、その「死」を感じさせる、その最小限の表現力に圧倒されます。

このように、「豊かな表現力で構築された映像」「テーマを直感的に理解させる音楽」「前後を大胆かつ魅力的につなぐストーリー」など、2次元の作品が、立体の造形物のように感じさせる圧倒的な「造形力」を持つ作品だと感じております。

【最後に】


この映画の話をすると止まらなくなりますので、この辺りでまとめようと思います。

この映画で大事なことは 「Don’t think, feel」 です。

ありがとうございました。

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コメント

  1. Sazabi888 より:

    これは、もう一度みたくなるような考察ですね!
    恥ずかしながら2001年~は、初回は見ても全く理解できず。。。
    もう一度見直すいいモチベになりました!

  2. TA-KA より:

    コメントありがとうございます!
    自分も恥ずかしながら結構な回数観直しています。
    他の映画では時間と共に、受ける印象が変わってゆくのですが、この映画だけは受ける印象は変化せず、常に新鮮で逆にその印象は深くなって行きます。
    是非とも楽しんで頂ければ幸いです。

    ありがとうございました

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