エメリッヒの地球滅亡SF映画第3弾『2012』、ネタバレ徹底解説!ひどい、ツッコミどころ満載などと言われていますが、中国やインド、アフリカにみられる多様性を伝えたかった?!
映画のその後にあたる続編、タマラ等の登場人物、これは現実的なのか、ネタバレ考察します!いざ、SFの世界へ!
2012のネタバレ感想・考察・徹底解説 (Ryo)
さて、本日はハリウッドの破壊王!ローランド・エメリッヒ監督によるSFディザスター大作『2012』の徹底考察コラムです!
世間的には、ひどい、駄作、つまらない、エメリッヒは終わった的な評価や酷評が多いこの作品、なにを伝えたかった映画なのか。面白い点や魅力はどこか。本コラムでネタバレ徹底解説します!
ということで、今日はそんなSF大作を12項目で解説します!!
三度目の「地球の終わり」だった!?
ローランド・エメリッヒ監督といえば、地球クラッシャーで有名ですよね。
大規模なものでいえば、『ID4』にはじまり、『デイ・アフター・トゥモロー』、そして今作、2016年公開の『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』、また、『ホワイトハウス・ダウン』や『ミッドウェイ』といった迫力重視の映画も監督や脚本、製作総指揮を担当しています。
では、今回もノリノリでつくった作品だったのか?といえば、実はちょっと前はそうではなかったそう。2004年に『デイ・アフター・トゥモロー』を公開し終えたあとは、「もう災害映画はやらない」と答えていたらしいです。しかし、「ノアの箱舟的な物語」には興味を持ったらしく、今作の制作へ。
なので、こちらの映画公開前は「次回作では世界のすべてを破壊するよ」と発言しています。確かに、今までのどの作品より、この映画は破壊的インパクトがデカい。そのビジュアル要素はとてつもなく見ごたえがありますので、エメリッヒが最後の力を詰め込んだ!と言っても過言ではありません。
しかも!!
シネマトゥデイでは、なんとディザスタームービーの中で堂々たる1位!
それくらい、スケールの大きな描写が多くて圧巻なのです。
キャストは、『ハイ・フィデリティ』のジョン・キューザック、キウェテル・イジョフォー、アマンダ・ピート等。キューザックはかなりの映画に出演しており、キャリアはなかなかある方のようですね。製作はマーク・ゴードンで、過去にはスピルバーグと『スピード』や『プライベート・ライアン』はじめ、エメリッヒとは 『パトリオット』 や『デイ・アフター・トゥモロー』、『紀元前1万年』を共同で製作しています。テレビドラマシリーズでも色々と有名のようです。
エメリッヒという名前もあってか、2時間38分という超長編映画にもかかわらず、3日間で製作費の2億ドルの半分以上を回収し、全世界での興行収入が7億6000万ドル超え!!
公開当時は人気沸騰。。。!!
にみえた今作、実は、いろいろと駄作要素やツッコミどころが。
なんといっても、主人公が勝ちゲーすげて、あまりのご都合主義に笑えてしまう。。。
この映画の駄作的な部分と、真に伝えたかったメッセージとは?!
考察していきましょう!
マヤの人類滅亡説という壮大な「前提」
皆さんは覚えてますでしょうか。
公開当時の2009年は、マヤ文明による人類滅亡説が世間を賑わせていました。
2012年12月21日に人類は滅亡する!みたいな、あれです!
今思うと、テレビつけたらマヤに関する解説だったり、友達と話していてもマヤの話になったり、真矢みきが人気だったり、とにかく流行っていましたよね(注:最後は別のマヤです)。
こういうのは最近はじまったものではなく、昔からあることです。キリスト的価値観では、終末論がありますし、1999年のノストラダムスの大予言もわりと最近まで真剣に考えられていました。常にこういうのはあるもので、人っていうのはどこかで終わりを探したくなる生き物なんでしょう。過ぎ去って考えてみると「なんであんな馬鹿みたいなこと考えていたんだろう」ってなるんですけどね。。
シュワちゃんの『エンド・オブ・デイズ』とかもそうですよね。
という前置きをなぜしたかというと、こういう「流行り」があった前提で映画館に足を運んだ人が多かったのではないか、とまず冒頭で述べたいのです。
「マヤのやつほんと!?これその映画!?」「え、過去に災害映画つくったひとの最新作?しかも人類滅亡説ってことは!!」といった感じで、誰もが、既に事前情報を自然に刷り込まれていたことは否めないでしょう。世界的に、需要があった状態だったといえます。
実際、エメリッヒは前作の『紀元前1万年』では、本当はマヤ文明関係の映画を撮りたかったが、メル・ギブソン監督の『アポカリプト』でマヤ文明を舞台にした映画によって、先を越されたしまった背景があります。
エメリッヒは、どこか宗教チックな、予言による不可避の終末世界的なSFを撮りたかったんでしょうか。その想いをくみ取ると、ストーリー設定は、人類滅亡説が騒然となった2009年という、時代背景を踏まえており非常によかったと思います。
完全に「負け確」な点は好き
…と、そこまではよかったものの、駄作と呼ばれてしまうには理由があります。
このイライラポイント(笑)は後ほど書くとして、前半は個人的には好きなんですよ。
ディザスタームービーでは、「対抗可能」な物体が相手であることが多いです。『アルマゲドン』にしろ、『デイ・アフター・トゥモロー』にしろ、小惑星衝突、地球温暖化、火山噴火ものや地殻変動もの、洪水・津波パニックものなど、どれも、迫り来るものを「どう止めるか?」に焦点が当たっています。
なので、主人公たち始めとするキャラクターたちは、それを戦略的に乗り越える策を考えたり、なかば絶望しながら東奔西走して活路を見出して~~みたいな展開にハラハラして楽しみます。
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しかし、この『2012』は違うんですよ。
初っ端から「不可抗力」(という設定)なんです。
2009年時点で、惑星直列により3年後に地球の核の温度が急上昇し、大規模な地殻変動が起きることがわかります。そして、それに対して、地底へ潜るでもなく、惑星直列を回避しようと宇宙へ進出するでもなく、脚本は「だれが逃げるか?」にフォーカスを開始するのです。
この展開、面白くないですか?!
いや、ここまでは、面白いんですよ!!!
絶望的展開!!
なるほど、もはやスーパーヒーロー(※アメリカン人)が出てきて、「地球を救うために戦うぜベイビー!」という路線から外れ、ただひたすら逃げるだけの展開か!と。しかも、逃げるだけではなく、冒頭から描かれるのは、3年後に誰を乗せて地球をたつか選考する極秘プロジェクトだったり、美術品を保管しようというチョーミン計画だったり、中国に巨大な箱舟をつくる計略だったり。
そう、世界規模で逃げる前提ですべて進んでいく。
また、映画が展開する方式も群像劇スタイルで、政府高官や離婚した夫とその家族、博士など色々なキャラクターたちの視点で進んでいくので、感情移入する幅が広かったり、いつ誰が死んでもおかしくなさそうな雰囲気だったりで、リアルティあるなって感じプンプンなんですよ!
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つまり!
これは、誰が逃げられるのか、という点で、完全にヒューマンドラマや人間心理が描かれるプロットだ!と推測ができる。その上、破壊大好きマンのエメリッヒが製作するのだから、破壊的映像もスゴイのだろう、そう、前半時点では結構期待できちゃうのだ!!!
しかし、やってはいけないことをしてしまった。。
最大の罪は「ご都合主義」のオンパレード
どんな過ちを犯してしまったのか?
それは、逃げるという、いたって「一般市民」目線で追いかけるはずのストーリーなのに、
主人公があまりに偶然にひょいひょい助かっているところなのです。
ここがいただけない!
どうしても!!www
映像は大満足です。
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イエローストーンの大噴火、立て続けに起こる地震や地割れ、ホワイトハウスの瓦解、カリフォルニアという州全体の崩壊、押し寄せる巨大な津波と洪水、原型を留めなくなったハワイ、日本やヴァチカン宮殿も登場し、とにかく目を見張るシーンの連続。
しかし、それらをなんと、
主人公ジャクソンとそのファミリーは、ひらりひらりと交わしていくのです!w
これ、やっぱりやりすぎw
地割れが起きて周りはほぼ全滅なのに、主人公の車だけなんとか脱出できていたり、
たまたまゴードン(イマカレと呼んでおきます)が飛行機を操縦出来たり(=コメディ?)、
その後も、雇用主のロシア大富豪ユーリと偶然居合わせて中国行きの飛行機に乗れたり、
給油予定だったハワイがダメになっていたと思ったらチベットに運よくうまい感じに到着し、
挙句の果て、なぜか気前の良いチベット人僧侶が通りすがり、
彼らをノアの箱舟まで連れてってくれる。
おい、どんだけ運良いんだよ!!!!
※ドラクエのパーティ編成じゃあるまいし!
もはや、一般市民じゃなくて、神なのか!?
人口70億人の中からたった40万人しか選ばれないんだぞ!?
10億ユーロある金持ちしか、パスは買えないんだぞ!?
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そこを皮肉に描くドラマかと思いきや、
なんでお前がノアの箱舟まで運よくたどり着いているんだよ!!
と言いたくなってしまう。。。(怒)
映画として没入、というより、映像としての鑑賞。
圧倒的なCG技術の中、破壊されていくビル群を抜けていく飛行機のシーンとか、ほんと大迫力でたまらないものはあるんですよ。よくみたら、小さな人間たちがビルの上から飛び降りてしまっているところとか、細部までこだわっているなぁぁぁー!!!!って感激します。
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ただ、ジャクソンファミリーたちが最強すぎて、危機感のリアリティがないんですね。
目の前でもっと人が死ぬ描写や、知り合いが残酷に焼け死ぬシーンとか、この勢いある災害パニックシーンでは全くないんですよ。ないばかりか、どこか遠い誰かの出来事として映っているので、ビジュアルはすごいんですが、人間的な感情が入ってこない。
で、これが1回か2回くらいなら、まだ楽しめるんですが、さすがに立て続けにラッキーが続くと、もう「やりすぎやろ!」「いい加減にせい!笑」って突っ込みたくなってしまう。
そういう意味では、同じく逃げるだけのSF映画『宇宙戦争』の方が、リアリティがあります。娘息子とただ逃げ回るだけのトム・クルーズは、別に「最強キャラ」には見えません。脱出したと思ったら車は奪われる、フェリーは襲われる、息子は途中で自分から父親と離れる、匿ってくれた仲間は異常だったから殺すしかなくなる、娘が夜中に敵に捕まってしまう、しまいには自分もエイリアンに捕獲される、という、なんともやられっぱなし感があり、一般市民として観ていると、現実味があり、終始怖いんですよ。そう、怖い!それだ!
『2012』のジャクソンは、どう考えても死んでておかしくないシーンで助かり、どう考えてもそんな場所にそんな人いないでしょ!というシーンで助けてもらう。だから、「怖い!」って思う前に途中から「あーまたどうせ助かるんでしょ、はいはい」という感じになっていく。現実味がなくなり、ただの映像やアトラクションとして他人事で鑑賞し始める。それが多くの批評家やSFファンが論ずるように「駄作」と言われるゆえんであると思うんですよ。
※ジャクソンの子役たちも、なんかパニック感を出すにはイマイチな演技。。。?もっと発狂すればよいのに。。
なので、折角の迫力満点CG映像も、途中からただの「スゴイ映像」として美術鑑賞している気分になり、感情が入らないんですよ。これが勿体ない。主人公お約束の通り勝ちますよっていう「気持ちの良い童話感」がまさって、「よくできました~!」って気持ちが強くなってくる。
もったいなさすぎる!!
死んだ登場人物たちにドラマはあったのか?
「いやいや、この映画は群像劇。主人公以外のところで悲劇が起きるんですよ!実際、ユーリやその愛人タマラ、夫のゴードンだって死んでるじゃないですか~!」
そんな声も届きそうですが、これほとんど終盤なんですよ。
そこまでに既に呆れてしまっている方は多いと思います。
それに人間ドラマが雑。
せっかくグランドホテル式に映画を進めるのなら、もっと人間ドラマ入れて途中途中で殺せばいいのに~と思ってしまいます。その点、『ディープ・インパクト』や『ID4』の方が、同時進行で進むキャラクターたちの死をうまくプロットに織り交ぜていると思うんですよね。
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この映画の死亡キャラをリストアップしてみます。
●チャーリー(ラジオやってた狂信者)
⇒ただの変人。死んでもすっきりするくらい。ってか、絶対に死にキャラ臭がすごい。
● サーシャ(ユーリの部下・タマラの浮気相手)
⇒飛行機操縦時にイケメン登場!と思ったら、不時着ですぐに死亡。
なぜかホラーぽい死に様。 ※なお、他は生きている。
● ユーリ(元プロレスラーのロシア人大富豪、ジャクソンの雇用主)
⇒息子たちを箱舟に乗せて自分は死ぬ。なんやかんやで子供を優先させたところはイイなと思ったが、なんであんなに飛行機に車乗せてたんだ?! まさか道路ができるのを待つっていうのか。。。あと、なんか「実は!良いやつでした」感が途中からフラグになっていて、死ぬのが読めてしまう。
● タマラ(ユーリの彼女、ユーリの為に全身整形!)
⇒死に方、可哀そう。なんとジャクソンたちのせいで浸水した洪水により、閉じ込められて溺死。怖い!とか緊迫感走る前に「ジャクソンお前のせいやん!」が先に出てしまい、死に対してあまり感情が乗らない。
● ゴードン
⇒これはもうアウトw イマカレがハッチの機械に巻き込まれたのも、モトカレのジャクソンたちが勝手に油圧室に乗り込んだせいやないか(怒)。映画ラストで「こいつ生き残ってたら見栄え悪いからここで殺しておこう♪」っていう意図を感じ取ってしまう。そしてイマカレを殺したともいえるジャクソンを愛するケイトもどうかしてるぞ!(どうかしてる者同士だから気が合うのか!?)
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って感じで、なんか「切ない」とか「怖い」とか、そういう感情が入ってこないんですよ。
ユーリが子供たちだけ乗せたシーンくらいですかね、唯一、人間っぽい感情移入ができたのは。
終始「おー!すごい映像!」って感じで、なんか満腹気分だけど、心は空っぽな感じ。
ある意味では、映像に頼りすぎた、むしろやりすぎた、のかもしれません。
あれほどのスケール感のパニック演出をするというのが先に決まっていて、
後から人間模様をのっけた感じがしてしまうんですよね。
それ相応の人間ドラマが、この映画には欠けてしまったのだと思います。
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主人公より、各首脳の方がマトモ?
そして、一番のイライラポイント、
それは既に少し述べていますが、
主人公ジャクソンのせいだろ!!!
と言いたくなること。
(劇場でスクリーンに向かって怒鳴った人いてもおかしくないくらいw)
100歩譲って、これまでのすべての運を使い果たして、偶然に偶然が重なり、箱舟までたどりついたのを見逃すとして。
しかし、勝手に動力部に忍び込み、船の閉鎖を邪魔したジャクソンたちのせいで起こった悲劇に対し、まったく罪悪感をみせないばかりか、その危機から救って世界のヒーローを醸し出す男!!!
これは譲れない!笑
まともな人間なら、絶対ゆるせんってwww
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マッチポンプとかいわれる詐欺の類と似ていています。。
自分で火をつくって自分で消す。
そうすることで、自分がすごい人アピール。
いやいや、そもそも火つくったのお前やん!ってやつですw
「まぁまぁ、ジャクソンもわざとじゃないし、ちゃんとその後対処しているじゃないか。そんな口先で文句言ってたら、あの船に乗ってたお偉いさんと同じですよ~!」
そんな声もありそうですが、僕はそうは思いません。
実際、政府たちは「口先だけで何もしない連中」とも言えない気がします。
彼らは、40万人の取捨選択という悪魔の仕事をやり遂げています。
立派な「行動」をしたのです。
彼らの方がよっぽどマトモじゃないでしょうか?
40万人しか選べない人類を取捨選択し、人類の種の保存のために、箱舟に乗せる。
これはもう仕方がないことです。
40万人しか助からないので、それより多くを助けることはできないことは最初から決まっています。政府が決めようが、一般市民が決めようが、神が決めようが、同じです。
とすれば、助からない人たちがいるのは当たり前です。
それを覚悟して搭乗させていったはず。
ジャクソンや他の方がきれいごとで「みんな助かるんだ!」みたいなのは、
このストーリー展開上、明らかにしらけてしまう。
そう、これは政府の方が正しいことはしているようなのです!
なるほど、では、ジャクソンたちの行為を風刺として戒める映画なのか。。。
と、思いきやそうもいかないw
政府高官たちも無能だった!!ww
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無能すぎる!謎の演説で心動く政府高官たち!
それは、あの謎スピーチです。
なぜか、科学顧問であるエイドリアン博士の迷演説(「名」演説ではないですよ※)により、
各首脳たちは説得されてしまい、出向直前で大量の一般市民を受け入れ始めます。
はっ!?!!
という感じですよねw
いままで何億人も見過ごしてきたのには、何の意味があったのか?
こんな直前でOK出すくらいの覚悟だったなら、最初から全員OKっていえや!
それが言えなかったなら、最後まで貫けよ!と言いたくなる。
まるで、「ここで一般市民を見過ごしたら、観客からブーイングきそうだし、名演説で乗り切っておけば、それっぽい映画なるやろ!」みたいな。。。
まったくもって、エイドリアンのスピーチに響かん!笑
迷演説の前、政府高官が「君は、全員の命を保障することができるのかね?!」みたいなこと言いますが、まったくもってその通りですよw あんなに入ってきて一体どうするつもりなんですか!?って思ってしまう。。。念入りに考えた食料や移住スペース、インフラはどうするんですか、博士!!
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ここで登場する「知る権利」の話、確かに国民は知る必要がありますが、いまさら知ったところで。。。というのもありませんかw 中途半端に権利うんぬんの話持ち込まれてもという感じ。
舟に乗れる人たちは良いですが、残された人たちに知らされたところで、どうなのでしょうか。知らぬが仏とも言います。「そうか、人類滅亡するのね。どうも知らせてくれてありがとう。これから死を待ちま~す!」なんて風に思えますかね。むしろ、隠されていたことに苛立ち怒りながら、なんとも苦しみもがき死に行くのではないでしょうか。可哀そうすぎる。
これも、当初から予想できたよね!?
言わないなら言わないで徹底して、最後まである意味その「責任」と「罪」を次世代に引き継ぐべきですし、その方が映画のラストもなにか考えさせるものが残ります。
なんか自分の罪悪感が拭いきれずに「言っちゃった方が楽だわ!」「この方がみんなよろこぶっしょ!」感が否めないんですよね。
決めたなら、最後までその任務を全うしなさい!と思った方も多いかと。。
自分は悪役になりたくない。
そんなこと誰も同情できないっすよ!w
黒人や中国人、インド、アフリカなどに観られる多様性
さて、雄弁な演説をしたエイドリアン博士は黒人でしたが、今回の映画で登場する大統領も黒人大統領さんでしたね!
トーマス・ウィルソン大統領(なぜか28代大統領のトーマス・ウッドロウ・ウィルソンと同じだが、これはなにか意味があるのか。。。?)は、最後まで地球に残る!という感じで、人格者らしいキャラクターですよね。ここで、少し興味深いのは同じエメリッヒ作品の『デイ・アフター・トゥモロー』の時に登場してくる政府と少し姿勢が異なる点。当時は共和党でしたが、映画『2012』では民主党。こちらでは、多様性を踏まえたり、ちゃんと科学者のいうことを聞いたり、全体的にリベラルなにおいがするのは、そういった背景が踏まえられているのかもしれませんね。
※ちなみに『ディープ・インパクト』でも黒人大統領は登場してますね!
※ちなみにちなみに、ジャクソン演じるジョン・キューザックは『筋金入りのリベラルで民主党支持者』らしいですが、これはなにか関係があるのか…。
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あと、あの箱舟を創っていたのが中国人労働者であったことから、一時「中国人への侮辱だ!」みたいなニュースになっていたの覚えてますでしょうか。なにも知らされずにあんな巨大な舟を創っていて、中国人たちが気付かないというのも、少し変な話で、捉え方によっては「バカにしている」ようにも。欧米人のストーリーのために奴隷のような立ち位置であったことに、少なからず反感の声があったのも頷けます。
ただし、映画では「中国人にしかできない大業だ」みたいに感心するシーンもあり、実はエメリッヒも台頭する中国市場を意識して、中国に華をもたせたとも言われています。すこし前までは日本がこういう場面ではアメリカに積極的に協力するイメージでしたが、既に中国に目を向けられているあたり、なんだか政治的な背景も感じるような。。。(裏目に出てますがw)
この辺も、当時の時代が読み取れる、興味深いポイントですよね。
思えば、最初はインドの地質学的な分析により、2012年人類滅亡が有力となっています。インドも中国も「世界を救う」担い手になっている点は、やはり自由なグローバル時代を感じるのではないでしょうか。
※太陽フレアのくだりは、NASAにより「科学的に根拠がない映画」のナンバー1になっていますが…笑
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そして、ジャクソンたちによるハッチ騒動(笑)の後、大津波を乗り越えた人類。
最後は「人類発祥の地」であるアフリカ。
「喜望峰」という場所。
なんだか最後に明るい感じでしめているのは良いですが、
どうやってこれから生き抜いていくのかは不明です。。。
ゴードンも無事に死に(笑)、家族でほっこり!
というエンド。。。
場合によっては感動するシーンだと思うのですが、
どうしても感情が入ってこない。。。
ご都合主義や不平不満で振り回された後だったからでしょうか。
しかし、これらの点からも分かるように、黒人や中国、インド、アフリカなど、実に多様性に富んだ映画であることは間違いありません。これからの未来に向け、ただアメリカだけが強い国ではないことも、どこか暗示しているのでしょうか。
三度目の「続編」スピンオフになるはずだった
アフリカでの「その後」、どうなるのか気になりますよね。
実は、公開当時、続編として連続テレビドラマ『2013』が大手テレビ局ABCにて計画されていました。
参考:映画「2012」の続編、「2013」がTVドラマになる!
当時、アメリカ国内では大人気ドラマ「LOST」が終わりに差し掛かっており、ディザスター関連の番組は引き続き人気があるだろうと予想していたのです。
しかし、予算上の問題でこのスピンオフはお見送りに。残念無念。
実は、エメリッヒにとって、これは三度目のスピンオフになる予定だったわけですね。
一つ目は『スターゲイト』のドラマ化、二つ目は『エメゴジ』、そして三つ目が『2013』になるはずだったと…。
なるほど、地球の終わりを告げるこの映画が3度目の「地球クラッシュ」だったのに対し、
3度目のドラマ化という意味では「予算クラッシュ」だったのですね。。(おい
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それにしても、どういった脚本だったのでしょう。
あの生き残った人類たちは、またお互いに争いあうのか、
それとも、争いを教訓に、今度は団結して地球環境を創りなおすのか。
「その後」については色々と妄想が膨らみますよね。
生き残った者たちの間で、また格差はできるのでしょうか。
彼らの間では、どのような組織編成や指揮系統がもたらされるのでしょうか。
民族や言語を超えた統一国家はできるのでしょうか。
個人的には、この映画の伝えたい「多様性」を考えるに、
多種多様な民族からなる世界統一国家が誕生し、
互いに尊重しあう世界が生まれるのかな?と予想!
そこは少し面白そうだったのにな~~とも思います!
魅力は「あなたならどんな判断基準?」にある
さて、この映画の魅力は何なのか。
一応、ただの批判コラムではなく、考察コラムなので良いところも考えますよ!w
一つは、公開前から言われていたような「バツイチ男から大統領までの人間ドラマ」であることや「世界各国の事情」など、実に幅広く扱うことで、多様性を伝えているのだろうという観点です。色々なステータスの国民が登場し、様々な利害関係が錯綜するこの映画では、多くの立場から「危機」「問題」「世界」を考えることができます。
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政府と国民。その両者でもこの危機への捉え方は変わります。
「40万人どうやって選ぶか」について、政府だったら「金持ちや有識者、自分を有利にしてくれる人」と考えるかもしれませんが、一国民だったら「フェアにランダム投票だろ!」と思うかもしれません。
生物学的に「種の保存」を最優先に考えるなら、「最も優秀なDNAを持つトップ40万人」かもしれませんし、文化人類学的に「民族や言語の存続」を考えるなら「世界の様々な民族や言語をすべて網羅した40万人」かもしれません。特に映画前半で取捨選択について考える時、これはつい観客も一緒に考えてしまう点でしょう。
自分だったら、いったいどんな判断基準で選ぶのだろうか?
これは、一筋縄ではいかない、とても面白い論点だと思います。
科学技術や宗教観、人生観にも影響してくるでしょう。
こういった意味では、映画『2012』はどういった判断基準が正しいのか、
僕たちに興味深い疑問を投げかけているのです。
いつ起きてもおかしくないのが”ディザスター”
また、この映画の魅力でもある圧倒的な終末世界のビジュアル、
それが伝えるのは「いつ起きてもおかしくないぞ」というメッセージです。
劇場、いや、家で見たとしても、相当な迫力でしょう。
あくまで、映画の中のひとつの映像。
しかし、一体いつなんどき、こういった事態が地球に起きるかわかりません。
この非現実的な世界が、いつ現実になるのかは、誰にも分りません。
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映画のように、実は政府は既に地球滅亡の根拠を持っているが、
一般人には知らせず、着々と宇宙船でも建造しているのかもしれません。
もしかしたら、実は明日滅ぶことが分かっているが、「知る権利」を許すことは残酷すぎるという判断で、僕たちは知らないだけかもしれない。
政府も誰も知らず、明日突然地球になんらかの異常が発生するかもしれない。
もっとミクロな観点でいえば、明日交通事故で死なない保障なんて一つもありません。
実際、大震災や感染症だって、
誰かが予言して対策したわけではなく、唐突に訪れて対応に迫られます。
陰謀論の類ではありますが、現在のコロナウィルスが「現代のノアの方舟」とも言われています。
選ばれしものだけが生き残る、そんな瞬間も近いのかもしれません。
この映画が見せる破壊的光景は、いつ現実になるのかも分からない。
僕たちは、今日という一日を全力で生きる必要があるのでしょう。
こういった気持は、多くの地球滅亡系SFが与えてくれる魅力でもありますね。
そういう意味では、映画『2012』の映像は非常に重みのあるシーンでもあります。
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以上で徹底考察コラムでした!
ちょっと残念な点も多々ありますが、とにかくビジュアルはヤバい!
まぁ、一見の価値はあると思いますよ!笑
それではまた!
ということで、またお会いしましょう!!
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