ロシアではSF映画の金字塔『アトラクション 制圧』についてネタバレ徹底考察!
つまらない?皆の評価は?これはロシアの独特な味!続編では侵略があるのか?格好いいパワードスーツやエイリアンの謎、彼らが伝えるメッセージなど、ネタバレ解説します!!いざ、SFの世界へ…!!
アトラクション 制圧 のネタバレ感想・考察・徹底解説 (Ryo)
本日のコラムは2017年ロシアSF映画『アトラクション 制圧』についてネタバレ徹底考察!
ロシア映画あまり知らなかったけど、好きになった!
ユニークな展開や演出が気に入った!
そんな声もあるようですね!
「侵略」の続編があるくらいロシアでは大ヒットしたのはなぜか?
この映画はSFではなく、ラブロマンス×社会派SF!?
パワードスーツやエイリアン、登場キャラクターたちの魅力やメッセージまで解説!
それでは10項目でネタバレ徹底考察です!!
ロシア映画、侮ってはいけません!!
さて、この映画で初めてロシア映画に触れた、という方もいるかもしれません。
ロシアのSF映画といえば、1972年のアンドレイ・タルコフスキーの『惑星ソラリス』(ポーランドのSF作家、スタニスワフ・レムの小説『ソラリス』が原作)は結構有名かもしれません。しかし、実は!本作、ロシアのSF映画史上最大の成功を収めており、IMAX3D方式で公開されて大ヒットだったようです!国内では、SF映画の金字塔!というレベルです。
僕は以前「サリュート7」というソユーズT-13ミッションの災害を描くロシア映画を観たことがありますが、やっぱりハリウッド映画と違う独特な演出があった記憶があります。
中には、「まぁ、B級映画かな?暇つぶしに観るか」思ったポチって見てみたら…
あれ、意外とこれ面白いぞ!?!?
って思った方もいるのではないでしょうか。(失礼かw)
こちらに予告編もあるので、ぜひ。
※なぜかナレーションが棒読みで草w
しかし、なぜかWikipedia様にまだ日本語ページがない!!w
なぜだぁあああ!!!!w
だれかはやくつくるべきだぁああ!!!
監督は、フョードル・ボンダルチュク。手掛けた作品には、戦争や愛国主義などのテーマのものが多いようです。『スターリングラード 史上最大の市街戦』やご自身が監督・製作・出演をつとめた2005年の戦争映画『アフガン』など、どちらもやはりテーマが似ているものがあるかと思います。
ちなみに『アフガン』は、ロシアの映画賞であるゴールデン・イーグル長編映画賞やニカ作品賞など複数の映画賞を受賞しており、非常に人気でもあります。
他にも、ロシアを代表するSF作家ストルガツキー兄弟の小説を映画化したSF超大作『プリズナー・オブ・パワー 囚われの惑星』も手掛けており、ロシア国内では言わずと知れたSF監督なのかもしれません。
Rotten tomatoの評価では36%、そう高くはないようですね。
しかし、おそらく、これは「SF大作だと思ったら、恋愛ものじゃないか(失望)」等といった、納得のいかない批評家が多かったからだと推測できます。
そうなんです、この映画、ティーン向けのラブロマンスが多く、実はSF感があるのは冒頭だけだったりします。それこそロシアの独特な構成ともいえるのかもしれませんが、おそらく「宇宙人侵略もののSFバトル観るぞ!」と思って挑むと評価はがた落ちするでしょう。
どちらかというと、宇宙人との関係を築いていく上で発見される「人間同士の醜い争い」や「宇宙人が敵だとは限らない」といった点に焦点があたるヒューマンドラマなのです。
映画でいうと『地球が静止する日』や『E.T. 』などに近いともいえるかもしれません。
なので、僕みたいに「B級映画かな…」と思って挑んだ人からすると
「およ!?意外とええやん!」ってなりますw
冒頭の墜落シーンの迫力がヤバすぎる!
しかし、ロシア映画といっても、演出には、ハリウッド仕込みの視覚効果も。
VFXは、映画『第9地区』や『エリジウム』といったSF映画に関わったスタッフによるCG技術ですし、また、ロシアトップレベルの視覚効果スタジオであるMain Road Postも参加しています。
ですので、結構迫力あるんですよ!
特に冒頭10分です!!!
ここ、何回も観たくなるくらいにスゴイ!!!
宇宙船が襲来(墜落)するシーンです。
宇宙船は、隕石雨の影響でステルス機能も故障し、地球へ落下していきます。そこにロシア軍の迎撃機がミサイルを命中!(シールド出るかな?と思ったら一発で爆発!)
損傷を受けた宇宙船はそのまま、モスクワへ墜落していき、街という街をガンガン粉砕していく!
そして、主人公の友人でもあるスヴェタをはじめとする住民200人が犠牲となってしまいます。
ここのシーン、いいんですわ!
まず、宇宙船のデザイン好きです。地球ゴマ?のようにくるくる周辺で回りながら、丸み帯びた本体の雰囲気、いかにもよそ者感があります。兵器という外見でもあり、宇宙船という外見でもあり、地球のものとは思えないハイテク感満載なところにぐっと心をつかまれます。
また、かなり巨大なので、落ちてくるだけでも迫力がヤバい!
ロシアの高層マンションをかすめたと思ったら、今度は街中に切り込んでいき、次々と建物を破壊!途中、人々が見上げるカットの中の窓ガラスにもしっかり写っていたり、墜落時の土埃の発生もかなり自然でリアルだったり、ここのシーンは圧巻です。
そうそう、これはこのシーンだけではないのですが、ロシアの街がなんかアメリカ映画とはまた違うのが新鮮で良いです。ザ・高層マンション!という高級感ではなく、どこか色や外装が質素な感じがするのと、そこかしこにあるロシア語が見慣れないために異国にやってきた感がするんですよ。
宇宙人の気分で街を荒らすことができます(おいw
あと、音楽が結構特徴的。これも好きですw
アメリカ映画とか、あまりこういうこんなイメージがないんですよね。
宇宙船墜落っていう迫力満点な怖いシーンで、女性の歌がひたすら流れているんですよ。悲劇?的な雰囲気は音調から少し感じとれますが、堂々とした巨大な爆破音やサウンドエフェクトを使った演出を避けています。スローモーションになったり、時々デュレーションいじったりしているのも、最初ちょっと違和感ですが、これがまた新鮮だから楽しいんですよ!
この音楽とも影響していると思いますが、もう一つ面白いのは、宇宙船墜落という悲劇シーンと、主人公&ゲス男(この時はまともな彼氏w)のエロシーンが交互に映されているんです。一方では災難が起きかけているのに、一方では昼間からエロチックなことをして楽しんでいるという、まったく方向性の異なる現象を交互に映すって、なかなか天才では?!これもまた、個性的な演出をするなぁと感激。
ここの飛来シーンは、多くのレビューをみてもわかるように、結構人気のようです。
実はこれほとんどCGみたいですよ。迎撃機からマンションから炎、土埃、すべて非常にリアルですよね。かなりの精度でリアリティを実現しているあたり、ハリウッドに負けず劣らずですね!
こちらにメイキング映像あるので、こういうの好きな人は必見です!
「SF」ではなく「ラブロマンス」だった?!
ということで、冒頭の考察先に入りましたが、既に主人公たちも一部紹介しちゃったいので、登場人物たちを改めておさらいしたいと思います。
というのも、この映画の主人公は、なんでもない住民たちです。
そして、一番怖いのが、実はエイリアンや軍隊ではなく、この「住民たち」というのも、
この映画の力点のような気もするのです。この辺は後述しますね。
しかし、登場人物なんですが、ちょっと誰にも共感しづらいなぁというのはありますよね。
まず、駄目彼氏のチョーマ役を演じたアレクサンドル・ペトロフ。実は彼は『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』『ザ・スパイ ゴースト・エージェント』『魔界探偵ゴーゴリ』シリーズといったロシア映画で主演を務めており、結構有名な若手俳優なのです。
しかし、冒頭ではマトモそうな正義感ある彼氏だと思っていたら、恋人のユリアが宇宙人と良い関係になってから、一気に人格が変わり、狂った嫉妬男に変貌してしまいます。
そのあたりから怖いのは「宇宙人」ではなく「住民」になるわけです。
次に、その彼女役を務めたユリア役のイリーナ・スタルシェンバウム。
実は彼女もペトロフと『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』で共演しています。
「美して逞しい!」という、いかにもスラブやロシア系美人!という雰囲気があり、良いですよね。オタクらしい男友達に対して命令口調になっている点や父親にかなり反抗的な態度を見せている点など、負けん気が強く、欧米人的なメンタルの強さを感じます。
しかし、彼女は、なんと、チョーマを捨て宇宙人に恋をするのです。。。
この映画は、実はSF大作ではなく、
宇宙人との三角関係という極めてレアな路線を狙った映画だったのです!w
どうして宇宙人に恋をしたのか?
ちょっとあり得な~~いと思う気持ちもある一方、
物語の流れからすると意外となるほどと思うところもあるんです。
それでは、時系列で追ってみましょう!
彼氏に感謝するべき父親、父親に感謝するべき娘
まず、住民200人が死亡したあたりから、ユリアは大佐である父親レベデフの方針に怒っています。レベデフは、「すぐに殺しちゃえ!」という政府高官たちに対して、それを否定し、攻撃してこない彼らを刺激するのではなく、彼らとのコミュニケーションを提案。実際、彼はエイリアンと思われる敵から「宇宙船の修理が終わったら出ていく」ことを聞きだし、それまでは戒厳令&柵で封鎖して彼らを見守ろうというのです。
というか、父親と娘が仲悪いところから関係が良くなってくる、というのはベタですが良い展開だとして、彼氏と父親があまりにもバチバチすぎんかw 少なくとも冒頭で、チョーマはそんな悪い人に見えないし、父親ちょっと頭固すぎんか?と思ってしまうw
チョーマがなんか悪事働いている証拠もないのに…というか、父親は「お前が娘といなかったら、危険な目には逢わなかった」とか言っているが、ビルからおっこちそうになった娘をなんとか助けたのはチョーマであって、むしろチョーマ無しで隕石雨を見ていたら、いまごろ娘さん死んでるで!?!?
むしろ感謝すべきやろ!!
というのは、まぁ、どうでもいいツッコミだとして、レベデフは娘に出歩かないように忠告。
しかし!!
ユリアは親友スヴェタを失っていますし、自分たちの自由が奪われることに不満たらたら。
娘は、娘で、お父さんに感謝して、じっとしているべきやろ!!
※お父さんがいたから、宇宙人はこちらに攻撃をくわえてこなかったのですよ※
ということで、恋人であるチョーマやそのゴロツキ仲間(笑)たちと集まって、事故現場に勝手に侵入します。なぜか車の中で待機になったユリアでしたが、いつのまにかスヴェタが亡くなった場所まで登っています。
(車の中に待機してたらエイリアンが攻めてきて、実は仲間全員死んでました~パターンになるかと期待していたが…)
ちょうどスヴェタとの思い出写真を懐かしんでいたその時、エイリアンがひょいひょいと目の前に現れます!急いで銃を発砲したユリアですが、驚いてそのまま転落。。。と思いきや、なんとエイリアンがユリアを落ちないように救ってくれるではありませんか!
しかも、そのとき、エイリアンたちのパワードスーツの下に人間の顔のようなものがちらっと映ります。
ひぇぇぇえ~~!!!!
敵だと思ってたら人間だったのぉ~!!!(進撃の…!?
この時、僕は「え、まさか地球に飛来してきた宇宙人が、地球人だったパティーン?これってタイムトラベル系?それとも実は昔人類が宇宙に送った宇宙飛行士が進化しちゃったとかそういう系?なんか壮大なストーリーになってきたのか?!」と色々と妄想してしまいましたが、特になんも関係なかったよう。。。(残念w
格好良い!パワードスーツとその中身とは
そうそう、このエイリアン、ルックスは割と好きです!
監督も、その宇宙人のルックスや動きを研究するために、ライオンからタランチュラまで分析させたといいます。そのおかげもあってか、メタリックな外観のなかに見える生々しい皮のような見た目。パワードスーツだったか、と思ってからも、なかなか格好良く、気に入りましたw
ただ、なんかエイリアンが一瞬で現れたのは残念w
もう少しハラハラさせればよかったのに、「お、もう出てきた」感で拍子抜けw
水をエネルギーにしているという設定良いですよね。
キャメロン映画の『アビス』を思い出すところもありますが、地球にやさしいというか、好戦的な感じがしないですよね。あと、絵的に綺麗ですw
そういえば、水を吸い寄せる?謎のブレスレットを途中ユリアは貰っていましたが、あれは何だったんでしょうか?伏線回収ありましたっけ…?(あ、続編か)
そんなこんなで助けてくれた宇宙人に少し恩を感じるユリア。
元々は、敵討ちで事故現場まで来たはずなのに、ユリアだけ宇宙人に肩入れするようになります。この辺からチョーマと行動することが少なくなります。
一方のチョーマは、ユリアを助けた宇宙人をビルから突き落とすと、パワードスーツの中身が消えていることを確認し、そのまま持ち去っていきます。なにやら、人間と接触するとパワードスーツと合体するようなシーンが見られますが、危険そうだったのでその時は中止。一旦は隠しておく方針で固めるチンピラ軍団。
ユリアは、命の恩人ということで、落下した宇宙人(パワードスーツの中身)をこっそり回収すると、オタク君と一緒に病院に侵入して輸血を開始!同じA型だ!とかいっているので、これもやっぱり地球人類となにかしら関係があるのか?と思ってしまいましたが、特に伏線回収されることはなかった。。
◆同じく「水」と「宇宙人」がテーマの映画!深海ものSF『アビス』のネタバレ考察はこちら!
E.T.?ターミネーター?宇宙人と仲良くなるユリア
男はどう見えても地球人。ロシア語まで話すイケメンです。
彼の名はヘイコン(リナル・ムハメトフ)。46光年先にある惑星からやってきたようですが、故郷へ戻るにはロシア軍が押収してしまった「シルク」という物体が必要なことがわかります。ユリアはヘイコンと共にシルク探しをしている間に関係性を強くしていきます。
ここらへん、なんだか『ターミネーター2』のジョン・コナーとT-800の関係性のような、はたまた『E.T.』のような宇宙人との関係性が面白いです。
ロシアの食べ物が分からないヘイコンの反応を見るユリア、どこか機械的な返答をするコミュニケーション、初めて(?)行ったであろうクラブ、二人はそういったことを通じてお互いに愛し合っていく。
とはいえ、ちょっとチョーマをいきなり捨ててヘイコンに乗り移るユリアには思い切り感情移入ができるわけではないw
流れ的には、父親と喧嘩してしまうくらい好戦的なチョーマより、優しくて素直なヘイコンに心が持っていかれてしまったような感じではあります。
しかし、シルク取り返したら、ヘイコンは故郷に戻ってしまうわけで、そうしたらすぐにお別れです。今のところ特に悪いこともしていないチョーマを捨てて、ヘイコンにあっさり心変わりしてしまうのは、ちょっとなぁ。敵討ちのために殺すはずだった宇宙人に恋をしてしまったユリアを許せないチョーマの気持ちも、なんか少しは分かるというか…
まぁ、これがティーンエージャーの恋、というところか。
とまぁ、ここまでの展開で、もはやSFではなく、
「宇宙人との三角関係」を描く作品であることが分かります。
チョーマ VS ユリア・ヘイコン VS 政府 VS エイリアン
嫉妬に燃えたチョーマは、ヘイコンを殺そうとヤンチャ仲間と共に撲殺にかかります(こええ)
※仲間の名称がたくさんww
最初はやられっぱなしのヘイコンも、ユリアがビンタされたのをみて、突如宇宙人の能力を発揮!
見えない波動のようなものを発生させて、不良チンピラたちを吹き飛ばしていく!
しかし、その中でチンピラから放った流れ弾が別のチンピラに当たってしまい、一人死亡!!
OH NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
余計怒りに燃えたチョーマ(自業自得w)は、なんと今度は追い出された住民たちをまとめあげて、即席自警団?のようなものをつくり、宇宙人たちを自らの故郷から追い出そうと燃えます。
冷静に考えると、彼、怒り狂っているようでかなり賢いプロパガンダを利用しています。
・本音→裏切られたユリアと、ユリアを奪ったヘイコンを殺したい!
・建前→我々から自由を奪った宇宙人たちをやっつけよう!
なんということだ、彼、実は政治家になれるんちゃうか!?!?www
賢いのか、たまたまこうなったのかよくわかりませんが、ここらへんはこういったものをテーマにしている フョードル・ボンダルチュク 監督の味が出ている気がしますね。大衆心理を操った戦争はこうして始まる、という感じが伝わってきます。
住民たちをたきつけたあと、チョーマは奪い取ったパワードスーツのもとへ行き、なんとそれに身を預けます。ってか、なんで使い方知っているんだ!?という感じではありますが、パワードスーツで優雅にぴょんぴょん跳ねて移動することに快感を覚え始めたチョーマは、その調子でユリアとヘイコンが乗るトラックに猛攻撃を仕掛ける!!!
(C)Art Pictures Studio
ここも結構な迫力があります!
ロシア映画、あなどれんぞ!!!
車はやがて動かくなくなり、今度はヘイコンがチョーマにボコされそうに!!
宇宙人のパワードスーツを付けた地球人が、
地球人の格好をしている宇宙人をいじめているという、なんともシュールな描写!!
これぞロシア映画か!
しかも、ここでもっとシュールなのは、政府の軍隊がやってくるのですが、彼らは「宇宙人に危害を加えない」ことを目的としているので、なんと当初の攻撃対象は、勝手に荒れ狂っている住民たちなのです。つまり、軍隊は宇宙人を攻撃するのではなく、住民たちを攻撃するのが目的なのです。
しかし、住民たちのせいで暴れ狂ってエイリアンたちが多数出現し、軍隊もなんとか応戦することに。
なるほど~、なんかいろいろな利害関係が絡み合って面白い構造になっている!
● エイリアン VS 住民たち(チョーマなど)
● 軍隊(父など) VS 住民たち(チョーマなど)
● チョーマ VS ユリアとヘイコン
● 軍隊(父など) VS エイリアン
なんという三つ巴?ヨツドモエ?の戦いなんだ。。。
しかし!!
あとちょっとでヘイコンが宇宙船に戻れそう!というところで、
チョーマからヘイコンへ銃殺音!!!
ぬおおおお~~~~
ヘイコン、死亡!!!!
ユリアも瀕死!!
死があるから、愛や感情がある
というところで、パワードスーツのエイリアンたちが彼らを回収して宇宙船へ運んでいきます。
父親のレベデフも彼らと一緒に宇宙船へ足を踏み込む。
そこでなにやら謎の液体に包まれると、ユリアは傷口が治り、復活!
ヘイコンは「永遠の命」を捨てることとなりました。
このラストの教示、というか、ヘイコンの価値観とかがこの映画結構面白い点でもあります。
宇宙船から人工知能?みたいな声がレベデフに聞こえてくるのですが、
まずはユリアがヘイコンを救ったことで、今回は彼らがユリアを救ってくれたことがわかります。せいぜい70年くらいしか生きられないといいますが、それは彼らの星では「死」がないからなのです。
ヘイコンも言っていましたが、彼らの惑星では「死」という現象や概念がない。
それゆえ、愛情もない、憎しみもない、寂しさや楽しさもないようなのです。
なるほど!
自分に残された時間が無限大にあるので、心がでっかくなる、いや、心がなくなる、ということなのでしょう。なかなか面白い。
実際、ヘイコンはこんな名言を残しています。
愛や憎しみは、死への恐れから生まれる
死がなければ、愛や憎しみも一切必要ない
スターウォーズのフォースに通ずるところにもあるというか。。。
人生って深いんですね!(総括w
死があるから、憎しみや戦争がある
しかも、『地球が静止する日』にみられるような、「結局人類は野蛮」みたいな教訓があります。彼らは「地球は今まで40億人を殺してきた」ということを知っており、それが人類の愚かな点であることを伝えています。そう、地球には興味がないんでしょうね。たまたま偵察していたら隕石雨に巻き込まれた落下しただけで、地球なんて早く出たかったのでしょう。
(C)Art Pictures Studio
しかし、ユリアという女性の「心」を知ったことで、なにかが変わったのでしょう。
地球人にとって「不老不死」は夢のような境地で、実際そうなったらどうなるんだろうという感じですが、あの宇宙人にとっては「死」こそどういう現象か分からなかったのでしょう。
地球人と接することで、何か学びを得た彼らは、そのまま地球を旅立っていきます。
※水が大量に出て出発していくシーン、ビジュアル的に結構綺麗ですよね!
その学びは、「死」があるからこそ、ユリアのように人を助ける「心」や「愛」があるのであり、また、「死」があるからこそ、チョーマや地球人類の歴史ように互いに殺し合い戦いあう「心」や「憎しみ」である、という点なのかもしれません。
これも、やっぱり フョードル・ボンダルチュク 監督ならではないでしょうか。
ただ「宇宙人打倒!よっしゃ!」で終わるのではなく、愛や戦争を通して学ぶ「人間」を問うている気がしますよね。そもそも、住民たちが主人公で、政府の軍隊はほとんど脇役の時点で、本当に「地球を守る」「国を守る」と強く動くのは個人の感情であり、軍隊は所詮は命令系統の一つであることも示唆されています。
また、一見、二転三転するユリアやチョーマの感情描写も、なんだか戦争が巻き起こした二次災害のようにも思えませんか?
もともとチョーマが好きだったユリアは、宇宙人と言う外敵に触れることで、外側の良さを知り、協調路線に走る。
もともとユリアが好きだったチョーマは、宇宙人という外敵に奪われることで、内側の良さを知り、愛国心に燃える。
実は、戦争をかなりミクロレベルに分解した映画とも思えるわけです。
そう思うと、この映画は「ラブロマンス」でありながら「社会派」であるという、これまたちょっと面白い形態の映画なわけです。
続編では『侵略』される…!?
ちなみに、この映画はロシア国内で大ヒットしたのもあり、続編が出ています。
その名も『アトラクション 侵略』ですね。
『制圧』では、そこまで好戦的なバトルはなかったものの、続編では、侵略行為があるのでしょうか?
※というか、この邦題ミスりすぎや…制圧って聞くから詐欺っぽくて低評価なんちゃうか
そもそも、制圧すらしていない宇宙人という時点で、かなり温厚な部類だとは思うのですが、一体なにがあったのか。予告編を見る限り、1作目よりは戦闘シーン多そう?!
ということで、
未知の宇宙人と仲良くなり、彼らを無事に宇宙に返した、という視点では、やっぱり『E.T.』です。
しかし、彼らを通して人類の野蛮さを学ぶという視点では、『地球が静止する日』、小説でいえば『幼年期の終わり』とかも近いですかね。
映画的な迫力あるSF!
と思ってみるより、宇宙人を通して地球人を学ぶヒューマンドラマ、ラブロマンスとして観れば、
なかなかユニークなストーリー展開なのではないかな、と思います。
それでは、またお会いしましょう!!
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