97年公開の正統派ハードSF『コンタクト』のネタバレ徹底考察!実話なのか?
ベガへのワームホール移動や18時間のノイズは相対性理論的にOK?
亡き原作者カール・セーガンの「宗教と科学」への価値観、北海道としての日本等、評価&感想で徹底解説します!
いざ、SFの世界へ…!
コンタクトのネタバレ感想・考察・徹底解説 (Ryo)
さて、本日は1997年の正統派SF『コンタクト』についてネタバレ徹底考察!
本作、いわずとしれたハードSFの金字塔!といった印象だと思います。
この作品で、初めてSF的なセンス・オブ・ワンダーを感じた!という感想やレビューも多いのでは。
宗教と科学は本質的には同じなのか?大きな哲学メッセージがある?
いろいろな感想やレビューがありますよね!
Wow!シグナル事件やフェニックス計画など、実話に基づいたSETIのプロジェクトが元ネタ?
科学と宗教だけじゃない、政治や外交も踏まえたとにかく大規模な映画!
ラストの、最後の18時間のノイズや、ワームホール移動、異星人たちが伝えたかったこと、ポッドで起きた現象は相対性理論に基づいているかなどなど、科学的考証も踏まえて考察!
18項目でネタバレ徹底解説します!!!!
- 元ネタは実在の事件?天文学者×SF作家のカール・セーガン!
- 天文学史上、最大の謎『Wow! シグナル』事件の真相とは…
- 実話ってほんと!?ある女性科学者がモデルだった!
- インターステラーに匹敵!BTFゼメキス監督の正統派ハードSF。
- テーマは『科学と宗教の融和』。共通点は”信仰”だった!
- 科学のエリー、宗教のパーマー。両者は対立する?
- “アレシボ・メッセージ”で有名なアレシボ天文台で地道に研究!
- ヴェガからの通信!その中身は素数・映像・設計図だった!
- 「政治」とも戦う「科学」者のエリー。地球は団結できるのか?を問う
- 格好いい!ワームホール空間移動装置が完成したと思ったら…
- 破壊したのは、同じ地球人。これが、地球人!?
- 第2のマシンは北海道!(『メッセージ』でも北海道だったw)
- ヴェガの宇宙人は概念的?『2001年宇宙の旅』のような!?
- 異星人は、「地球人とコンタクト」したかった!?
- 神を信じないことで苦しむ科学者。最大の議論はここ!?
- パーマーから学ぶ。科学と宗教の接着剤は「愛」だった!?
- 結局科学の勝利?カメラの18時間は相対性理論的に合ってるのか?
- 地球人だけだとスペース(宇宙)が勿体ない。
元ネタは実在の事件?天文学者×SF作家のカール・セーガン!
まず、本作は原作者がカール・セーガン。この方はSF界隈ではかなり有名な方のはずで、コーネル大学惑星研究所所長を務めたこともある実際の天文学者でありながら、SF作家でもあるのです。
NASAでは惑星探査の指導者として最前線で動き、『コンタクト』にも登場するSETI(Search for Extra Terrestrial Intelligence)=地球外知的生命体探査を推し進めた方なのです。
(映画の中の架空のプロジェクトではないんですよね!)
SETIといえば、『Wow! シグナル』という天文学での未解決事件をご存じでしょうか。近代天文学史上、最大の謎(正確には最近解決?)とも呼ばれています。
この事件こそ、『コンタクト』の元ネタなんですよね。
それは、1977年8月15日。
SETIプロジェクトの観測を行っていたオハイオ州立大学のジェリー・R・エーマンは、ビッグイヤー電波望遠鏡でとある”奇妙な”電波信号を受信します。
それは、72秒間にわたって断続的ではあるものの強力な謎の信号だったのです。
(これに驚いたエーマンがデータの該当部分を赤く囲って「Wow!」と表記したことから斬新な事件名になっています)
この信号が、“太陽系外の地球外生命によって送信されたのではないか?“と当時世間を騒然とさせたのです。何度観測しても同じシグナルを受信できないので謎は深まるばかり。
まさに迷宮入り!
天文学史上、最大の謎『Wow! シグナル』事件の真相とは…
この謎の信号について、諸説あるようですね。
・太陽系外生命の宇宙船が発した信号?(SF的にはこれが一番嬉しいw)
・パルサーという、自転に伴って電波の放射方向を変える天体が原因?
・継続的に発信される弱い信号が、恒星間空間におけるシンチレーションで一時的に増幅されただけ?
・2017年、サンクトペテルブルク大学教授のアントニオ・パリスによって検証された彗星説が濃厚?当時と同様の水素線1,420MHzを検出。(しかし、後に彗星の放射にしては不自然という指摘もある)
・2020年、データベース『ガイア』により、「太陽の代わりとなる星」として、「2MASS 19281982-2640123」があり、発信源の星ではないかと推定。
こういった謎は、実はなんでもなかったりもすることがありますw
例えば、1969年のオーストラリアのパークス天文台が捉えた異常な無線信号ですが、実は、、、17年後にその正体が「電子レンジ」だったと判明したなんてケースも。(なんてこったw
一方で、同じくパークス天文台が捉えたある電波の方角には、太陽系に最も近い恒星(4.2光年)として知られているプロキシマ・ケンタウリという赤色矮星のハビタブルゾーンを周回する惑星プロキシマbがある、なんて話もあります。この小さなプロキシマbは、岩石からなり、表面上に液体の水があるともいわれており、生命が存在するのではと時々ニュースになっています。主星であるプロキシマ・ケンタウリから強烈な放射線を浴びて、地表に生命が存在できるような状態ではない可能性もありますが、そしたら地下に潜っていたり?内部海ができていたり?だから地球とは交信できていないのか?などなど、妄想が勝手に膨らみますよね(
実話ってほんと!?ある女性科学者がモデルだった!
ちなみに、「ペール・レッド・ドット(Pale Red Dot)」というプロジェクトによってプロキシマbは発見されますが、このプロジェクト名は、カール・セーガンが、はるか彼方から見た地球を「ペール・ブルー・ドット(淡い青色の点)」と呼んだことに由来しているようですよ!
カール・セーガンさすがすぎっす!
もしかすると、本当に「地球外生命体」が何らかの形で地球人類にメッセージを送っているのかもしれませんよね。
カール・セーガンから話がずいぶん壮大になりましたが(当然と言えば当然かw)、彼はこの映画の前、1980年には、本人が案内人となって解説する宇宙科学ドキュメンタリーである『コスモス(宇宙)』もつくりあげています。こちらもかなり人気だったみたいですね。その延長線上なのか、『コンタクト』もなかなか壮大なロマンを追求しつつ、科学考証はかなり手を入れている、という洗練された映画という印象です。
残念ながら、公開前の1996年に本人は死去してしまいます。
自身の原作が映画化されることで楽しみにされていたことでしょうから、非常に残念なところですよね。。
※いや、『コンタクト』のオチ的には、カール・セーガンは実はこの映画も見れているのかも!?
よくこれは「実話なのか?」という話にもなりますが、前述の通り、かなり現実に近いプロットといえます。また、太陽に似た近隣の恒星800~1000個を調べるというフェニックス計画の担当者の1人である女性科学者ジル・ターター博士がモデルだと言われているくらいです。
なんと!彼女はSETI協会の創設者でもあります!
また、この映画のエンディングでエリーが子供たちに教育を行っているシーンがありますが、ターター博士もSETIを続けて、子供たちの教育にも力を注いでいます。
※カール・セーガン自身がエリーのモデルだという発言もありますが…
インターステラーに匹敵!BTFゼメキス監督の正統派ハードSF。
さて、映画的に、公開の1997年といえば?
そう、同時期のライバルとして『ロストワールド/ジュラシック・パーク』や『タイタニック』等、これまた有名作の続編や莫大な製作費作品が公開されています。
この映画はただでさえ2時間半(長っ!!!)もあり、「正統派SF」「ちょっと難しいSF」みたいなイメージもあったため、他の大衆向けの有名作品の陰に隠れてしまった感はあるかもしれないですね。
とはいえ、当時の宇宙人とのファーストコンタクトものといえばやっぱこれしかないんですよね。まだまだ今ほど「ハビタブルゾーン」や生命の可能性がある惑星や岩石惑星のニュースなんて少なかった頃ですから、結構斬新でもっと知名度高くても良いのになと思います。
監督は、『マッドマックス』シリーズのジョージ・ミラーが監督する予定だったらしいですが、ロバート・ゼメキス氏に決定したようです。『バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTF)』シリーズや『フォレスト・ガンプ/一期一会』で有名な方ですね。
BTFシリーズといえば、実は音楽はBTFと同じアラン・シルヴェストリ。アベンジャーズなど多数の作品の音楽に携わっており、その担当映画の数は数え切れないほど。超有名レベルです。
電波天文学者エリナー”エリー”・アロウェイを演じる女優は、若きジョディ・フォスター。『羊たちの沈黙』や『エリジウム』にも出演されていますね。今回のジョディ・フォスターの喜怒哀楽の感情を豊かに表現する学者スピリットの演技は神がかっていますね。この作品が名作となったのも、彼女の功績は大きいでしょう。
そして、その相方役はマシュー・マコノヒー。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』や『インターステラー』に出演しているベテラン俳優ですが、『インターステラー』に後に出演していることを考えると、なにかの因縁を感じずにはいられませんね笑
※ちなみに、製作総指揮にリンダ・オブストが入っていますが、実はこの方は映画『インターステラー』でも同じように製作に入っています。親子の愛情やワームホールがでるあたり、やはりなにか共通している点は多いような…笑
『インターステラー』のような正統派SFが出たのも、おそらくこの『コンタクト』が大きな影響を与えていたかと思います。ストーリーの構成としては近しいものがありますしね。
▼『コンタクト』と共通点多い!?同じく人気ハードSF『インターステラー』の考察コラム!
テーマは『科学と宗教の融和』。共通点は”信仰”だった!
さて、そんなストーリー考察に入ろうと思いますが、おそらく多くの方が、そしてこの作品の感想やレビューを見てもわかるように、「科学と宗教の融和」がテーマだと感じ取ったことでしょう。
そう、このハードSF世界で語られる最終的なメッセージは「科学も宗教も、信じるという観点では本質的に同じである」ということなのです。
一見、科学と宗教は相容れないもののようにみえます。
例えば、ガリレオやコペルニクスにみられるように、地動説と天動説という「科学」に対して、当時の社会はカトリック教会をはじめとして「宗教」でその仮説を押しつぶそうとしました。
また、ダーウィンの生物進化学も、神が人を創られたという意味では大きな科学的論争を巻き起こしました。人間が猿から進化した、もっといえば、ずっと辿れば微生物のようなものが祖先だなんて突然言われた日には、おそらくどこの教会も激おこぷんぷん丸だったでしょう。
しかし、両者は対立しているようで、対立していないのです。
というより、「対立」があるからこそ「融和」が成り立つという表現が好ましいのかもしれません。
・科学 = 発生した現象について、なぜ起きたのかを理解する
・宗教 = 発生した現象について、神の意思があると考える
科学のエリー、宗教のパーマー。両者は対立する?
この映画でそれを顕著に示しているのは、
・主人公エリー = 科学
・その恋人パーマー = 宗教
であり、この両者は最初対立するのですが、段々と歩み寄り、最後には融和するのです。
これがお見事すぎる。名作であるゆえんでしょう。
どういうことかというと、エリーは終始、すべての現象を「科学的」に追求しようとします。それは、まず10歳のころに亡くなった父親テッド(デビッド・モース)の葬儀の際にも見られます。牧師が「神に何かのご意思があってお父さんは天に召されたんだよ」と言うのですが、エリーはそれを受け入れません。なぜなら、二階で天体観測をしていたエリーは、一階に急いで薬をもっていけば(あるいは一回に薬を事前においておけば)父は助かったはずだと考えているからです。
WarnerBros./Photofest/ゲッティイメージズ
※ちなみにあの薬を取りにいく鏡のシーンは、映画撮影的にはなかなか斬新な凄い手法でした!
エリーは、神の思し召しという「宗教観」に反発して、
なぜ起きたのかを追求する「科学観」を強烈に植え付けられているのです。
その後、SETIに加わったエリーですが、
やはり終始「実証主義」「データ」「科学者」として行動し続けます。
“アレシボ・メッセージ”で有名なアレシボ天文台で地道に研究!
当たり前ですが、ここでも彼女が宗教家であれば、仮に宇宙人がいるとしても、ずっと天にお祈りするくらいじゃないでしょうか。
しかし、 エリーは、アレシボ天文台で地球外からの信号を地道にスキャンし続け、エイリアンからいつメッセージがきても良いように準備しているのです。
余談ですが、アレシボといえば、約2万5000光年先の球状星団M13に地球からメッセージを送った「アレシボ・メッセージ」で有名ですね。お返事はいつか来るのでしょうか。。。♪
来るとしても往復2万5000年で5万年後ですので、気長に待ちましょう。
また、このアレシボ・メッセージは、ドレイク方程式を提示したフランク・ドレイクによって考案されたもの。ドレイク方程式は、宇宙文明の数を算出する方程式として、「フェルミのパラドックス」並みに有名ですが、あの方程式は「地球文明がいつまで続くか」によって確率が変わるところで、結論、我々の寿命次第…ということなりますよねw 百~一万個も本当にあったらロマンですが^^
ヴェガからの通信!その中身は素数・映像・設計図だった!
さて、ドラムリン(トム・スケリット)によって研究が中断され、一流エンジニア・大富豪ハデン(ジョン・ハート)のもとでニューメキシコの超大型干渉電波望遠鏡群で探査していたある時、26万光年彼方の「ヴェガ」から断続的な電波信号を受信します。この後の素数の解析シーンは、本映画のみどころの一つですが、ここでも圧倒的データを収集して分析してを繰り返す、超科学的・数学的思考をみせています。
あの特徴的な、断続的な音を解析するシーンはかなり印象深いパートですよね。
最初はなにを意味している分からないどころか、これが本当に宇宙人からのメッセージなのかどうかもわからない。しかし、チーム全員でなんとか理解しようといろいろ試行錯誤を繰り返すのです。
突然、ヒトラーが出てくるシーンもびっくり(笑)
素数の情報を電波に入れていただけではなく、過去に人類が発信した情報も入れることで、ずっと地球文明を見ていたことを伺わせます。なんだか、驚きというか、怖いというか、好奇心というか、複雑な面白い感情に取りつかれてしまいます。
ここで、さらに エリーの強い思いを助長させる出来事が起きます。
それは、この独自の解析を聞きつけたドラムリンや政府が、 エリーたちの研究に介入したこと。 エリー の「宇宙人の存在を確かめたい」という純粋な学者的探求心が邪魔されていくのです。
WarnerBros./Photofest/ゲッティイメージズ
「政治」とも戦う「科学」者のエリー。地球は団結できるのか?を問う
特に、国防省顧問のマイケル・キッツ(ジェームズ・ウッズ)は、地球侵略じゃないかという主張であり、攻撃的な姿勢。彼は、宇宙人からのメッセージ自体、ハデンの陰謀じゃないかみたいなことも言い出し、政治の世界もうごめきます。このあたり、国際政治や外交要素も非常にうまく描いていますよね。感激。
宗教だけではなく、政治とも戦うことになった「科学」= エリー。
そんな中、ハデンからの助言により、なんとか解読に成功。
※ハデン、見るからに悪そうな雰囲気醸し出していつか裏切るのかと思いきや、結構助けてくれる普通にいいやつw
一国の政治という単位で争いあっている地球人類。
これは、暗に、国際的にはもっと争いあっていることを意味しています。
地球は自転しているので、宇宙からもし電波が届くとしたら、あらゆる場所でそれをキャッチできる準備が必要です。しかし、自分の国の情報だ!といってお互い争いあったり、非協力関係になっている限りは、いつまでも地球規模の情報共有ができずに、宇宙進出が遅れてしまうのです。
アメリカという国だけでこのレベルであれば、地球自体が結束するのはいったい何年かかるのか..という皮肉じみた意味もありそうですよね。
実際、映画『メッセージ』でも、やはり宇宙人の目的は「地球の結束」でした。
※テレビ中継にクリントン大統領など、実在の権力者が出ているのもさすがポイント
▼宇宙人の目的は何だったのか?3000年後の未来とは?『メッセージ』ネタバレ徹底考察!
格好いい!ワームホール空間移動装置が完成したと思ったら…
そして!
さらに驚愕の情報!
電波の中には、惑星間航行を可能にするポッドの設計図が仕込まれていたのです!
それにより、世界各国共同で「ヴェガ」への移動装置が建設されます。
この、ワームホール空間移動装置?ともいうべきマシン、なかなかルックスが良いんですよねぇ!詳しい作り方マニュアルまでは出てこないですが、単なる宇宙船ではなく、なにか神秘的な、意味深な移動装置である匂いがぷんぷん^^
ってか、普通に格好良くないですか、あれw
このタイムワープというか、格好よく光って時空トンネルを飛ぶところは、BTF監督ロバート・ゼメキスならでは。「デロリアン」も少し想起させるものがありますね。
しかし!!
これがまたこの映画の好きなところでもあるのですが、なんとせっかくつくったワームホール発生装置は、人間たちの醜い争いによって破壊されてしまうんです。
カルト宗教家のテロリストが発射直後に爆弾を起動させ、なんと木っ端みじんに爆破!!!
うえぇえーーー!?!!?!?
この時にやるせない感というか、絶望感がまたたまらないw
破壊したのは、同じ地球人。これが、地球人!?
宇宙人から破壊されたわけでも、事故でもない。
他ならぬ地球人類による内輪揉めで、「宇宙への切符」はことごとく散ってしまうのです。
1997年当時は、まだ「2001年同時多発テロ事件」もないころですが、妙にリアルなテロ攻撃シーンですよね。いつまで地球人類はお互いに殺しあうんだ?とまるでヴェガに問いかけられているような感覚になります。
ここでドラムリン(トム・スケリット)も爆発に飲まれ死亡。
まぁ、彼は、 エリーのSETIプロジェクトを一番バカにしていたくせに、ここぞというときにしゃしゃりでるウザキャラだったので、消えてすっきりって感じでしょうw
そもそもエリー の予算を打ち切って資金源を失わせた張本人。
そいつが、なんとエリーたちが成果上げた瞬間に、まるで私の手柄だといわんばかりに登場。記者会見でエリー の代わりに誇らしげに語っている様子がありますが、あそこが一番むかつくシーンですね。
半沢直樹でいう「部下の手柄は上司の手柄」ってやつか(
※ってか、エリー は手柄とられたとおもったら、実験失敗したらキッツからエリーのせいにされるし、ほんと可哀そうすぎる…いや、これがリアルか...
ドラムリンは自爆テロに巻き込まれて死んで万歳!!!
しかし、移動装置まで爆発してしまったーー!!!
もうどうしようもないじゃないか!
もしかしたら、怒ってヴェガからこっちまでやってくるんちゃうか!?
と思っていたその時!
ハデンからの連絡で、なんと第2のマシーンがあることを知ります。
第2のマシンは北海道!(『メッセージ』でも北海道だったw)
その場所、なんと北海道!!!!ww
※実際には存在しない場所をマップでさしていますが
北海道が出てくるのは個人的にはうれしいですねw
映画『メッセージ』でも、宇宙船が舞い降りたのはなぜか北海道でしたが、これは本作と関係あるんでしょうか?広いから?w
ずいぶんと固く物静かな日本人男性二人にエスコート(笑)されながら、ポッドに乗るエリー。
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ここからがなかなか興味深い未知なる世界、幻想的な展開へ導かれていきます。
装置に乗り込んで、落下を始めたと思ったら、ワームホールのようなものが視界を埋め尽くし、強いGを感じながらも、エリー は一瞬にしてどこかへ移動してしまいます。このあたりの描写もやはり『インターステラー』のテラサクトシーンと似つかわしいものがあり、自分は座っているだけなのに時空・次元を飛び越えまくっていくというロマン詰まるシーン。
途中、気を失ったり激しくポッドが揺れたりしますが、しばらくすると(?)、眼前に広がる綺麗な銀河系が見えます。この神秘的な宇宙や惑星が見れるシーンもなかなか感慨深い。
そして、ようやくたどり着いた地、そこは「ヴェガ」でした。
ヴェガの宇宙人は概念的?『2001年宇宙の旅』のような!?
白く綺麗な砂浜と晴れ渡った明るい海。まるで地球のようですよね。
砂にそっと触れていると、向こうから「何か」がやってきます。
最初は得体の知れないエイリアンのような感じです。娯楽向けの宇宙人映画であるような「人間の形をしたエイリアン」ではなく、おそらく地球人類の想像を超える概念的な存在なのでしょう。ここは「2001年宇宙の旅」のような感覚ですよね。
姿形がみえず、透明人間のような生命体が現れるのかと思いきや、、、
近くまで来たら、なんということだ、お父さんになってお出まし!!
一瞬、過去に戻った系!?
四次元に来た感じ?!
と思いきや!!
実は、お父さんの格好をした異星人だったのです。
そしてその”お父さん”は言います。
何十億年にもわたって、彼らは知的生命体と「コンタクト」を取っていること。
地球と「コンタクト」できたのも、ある意味でスタート。また会おうと言います。
10歳の頃に亡くした父親との感動の出会い、それもエリー が追い求めてきた遠い宇宙の星の上で。このシチュエーションは、これまでハードSFで進んできた展開なだけで、一見、肩透かし感があるようで、まったくそう感じさせないところがすごいと思うんですよね。
愛情という技を使っているのもあるかもしれませんが、ここで大事なのは異星人たちはこれからも地球とコンタクトを取っていきたいと思っているという点でしょう。
異星人は、「地球人とコンタクト」したかった!?
ただ単に地球を滅ぼそうと思っていたり、なんらかのエラーでメッセージがいったりしたのではなく、意図的に地球との接触を図っていた、ここがこの映画のポイントであるはずです。
そう考えると、彼らがエリーの父親の姿ででてきたのも、実は合理的なんです。
なぜなら、エリーからしたら、まず嬉しい。
見ず知らずんのおっさんがエリーに語り掛けるよりも、ずっと説得力があるでしょう。
また、10歳のころに父親を亡くした時の「科学観」の原点回帰をも思わせます。
そんなエリーがいたからこそ、ヴェガと地球は”コンタクト”を取ることができた。
エリーが諦めなかったからこそ、ヴェガからの”メッセージ“は無事に届いた。
WarnerBros./Photofest/ゲッティイメージズ
そんなエリーに対して、ヴェガの異星人は、「愛情」を表現したかったのではないでしょうか。
さて、そんな感動的なラストかと思えば、この映画が名作たるゆえんはこのあとの展開にあります。
エリーは地球に到着すると、まったく時間が経っていないことに気づくのです。
な、なーぬーー!?!!?!
管制室やそれを見ていたすべての方が、ポッドは垂直落下して実験は失敗したというのです。その間、たったの0.8秒。しかし、エリーはしっかりと自分が宇宙空間を駆け抜けてヴェガにたどり着き、異星人と会話したことを覚えている。
そして、さらに事態は深刻に。
神を信じないことで苦しむ科学者。最大の議論はここ!?
なんと政府委員会は、エリーの発言はすべて妄想だと結論付けるのです。
ここで、皮肉にもエリーの科学者としての立ち位置が裏目に出ます。
出発前、マシン1号への選出時にエリーはパーマー・ジョスの質問「神の存在を信じるか?」について「NO」と答えました。それは実証主義に立つ科学者であればこその発言です。
それが原因でエリーは落選します。いくら能力が高くとも、宗教を信じないという点だけで落ちてしまったのです…(自爆テロがあったので結果的によかったのかもしれませんがw)
しかし、到着後、公聴会にてエリーは自分の体験を話しますが、
「証拠は?」とキッツぱいせんに問われると、なにも反論ができなくなるのです。
『オッカムのかみそり』も同様です。
=必要なしに多くのものを定立してはならないという原則
出発前は、この逸話を利用してパーマーのことを半ば笑っていたエリーが、
今度は逆にこの話で戸惑ってしまうのです。
うぐぅぅぅぅぅぅ~~~~!!!
あれだけ科学的根拠や実証主義を掲げていたエリーが突如、証拠もないのに信じてくれという。確かに、もし僕らがヴェガで父親と会うシーンを見ていなければ、おそらく同じことを思うでしょう。
さっきまで科学者だったのに、急に宗教家になった人の話を誰が信じるの?と。
ここが、やはりこの映画の大いに意義深いテーマであり、壮大な議論を投げかけてくるのです。
パーマーから学ぶ。科学と宗教の接着剤は「愛」だった!?
このままダークエンド…と思いきや、彼女の恋人であるパーマーだけは、「彼女が宇宙に行ったと言うなら本当に行ったのでしょう。私は彼女を信じます」と言うので、科学と宗教の本質には「愛」にも似たものが通っているのではないかと思わせてきます。
・証拠や客観性を求める科学。
・想像や主観性を求める宗教。
パーマーは、神父ゆえに「宗教」であるのですが、「科学」の立場にある天文学者エリーの経験も「愛」を通して認めます。
ここに、「宗教」と「科学」の融和、その接着剤となる「愛」という概念が深く提示されるのです。
これは実は映画の中盤でも、さらっとでています。
Photo: AFLO
パーマーがエリーに対して「父親を愛していること証明できる?」と問われて、エリーはなにもいえません。最初から、目に見えないものを証明するなんて難しいことだという伏線が張られていると同時に、目に見えないものを証明してくれるのは「愛」しかないんだという伏線でもあるわけですね。
ある意味で、宗教も科学も包括してしまう愛情という力を、地球は持っているのではないのか?と問いかけられているようですね。この感じのラストは、『インターステラー』とも似たものがありますが、両作品ともうまく広大な宇宙の中の地球人類としてのユニークなポイントとして「愛」という大衆要素を見事に詰め込んでいる点は、圧巻ともいうべきシナリオです。
結局科学の勝利?カメラの18時間は相対性理論的に合ってるのか?
ただし、最後にちょっと謎が残ってしまいました。
それは、大統領補佐官のレイチェルからの連絡。エリーが録画していたカメラには、ノイズしかなかったものの18時間動作していたことが分かったのです。
これにより、エリーが間違いなくどこかへ行っていたことが実証されますが、
ここはすこしこの物語のメッセージを薄めてしまうなぁと思ってしまいました。
というのも、18時間動作していたということは、結局科学的に証明できるという展開が見えてくるので、153分に渡って語られてきた「宗教と科学」の対立が白黒はっきりしてしまうことになります。
映像こそ見えないものの、あの落ちはなくてもよかったのかな?と思いますね。
宇宙空間に出たにも関わらず、地球時間0.8秒で18時間を体験しているので、ハードSF好きほど、「相対性理論的には、逆じゃないのか?」とかいろいろ余計に考えてしまうことでしょう。
相対性理論では、光速に近づけば近づくほど時間が遅れます。
あくまで相対的な話なので、正確には「時間が遅れている」ように観測者からは見えるということですね。
しかし、あのポッドは26万光年も先でありながら、18時間でたどり着いているので、確実に光速以上のスピード。地球人からしたら時間は遅れているように見えるはずなので、映画の中の描写は逆になるはずですよね。
ネットでも同じように疑問に思った方がいるらしく、色々な方が考察しています笑
中には、地球の方が動いていたのではないか、という面白い考察までw
なるほど、地球の方が早く動いていたから、ポッドから見たら地球人の方が時間が遅れているように見えるわけですね。。。天才すぎる…
まぁ、あのワームホールがホーキング的に言う「宇宙の虫食い穴」なのかどうか、そこらへんは明示されていませんので、なんともわかりませんが。。。(ワームホールだったらなんでもあり…?)
地球人だけだとスペース(宇宙)が勿体ない。
そして、最後は、エリー自身が研究をつづけながらも、ニュー・メキシコの観測所に来た子供たちに教えている光景に。電子望遠鏡はなんと45基に!これこそ、キッツが予算を出してエリーに研究を勧めた証拠になりますが笑
そこで”so if it’s just us…it seems like an awful waste of space.(地球人だけだとスペース(宇宙)が勿体ない)”と言うのですが、これこそがこの映画のメッセージでもあるように感じます。
spaceという単語が英語では「空間的なスペース」と「宇宙」の両方を意味するので、面白い表現だなとも思うのですが、要は「宇宙に地球人類だけなはずがない」という推測にエリーの熱い感情が乗っかっているセリフになるのです。
最後、「カール・セーガン氏に捧ぐ」と字幕がでて映画は終わります。
エリーを見守る父親。
この作品を見守るセーガン。
もしかすると、カール・セーガンともヴェガのような天国の場所で会えるかもしれません。
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コメント
最初の、父親の死から神を否定し、ハム無線にお父さんを呼びかけるシーンから良いですよね!
物語の主題が「私は知的生命体とコンタクトしたんよ!証拠は無いけど、全身全霊をかけて!」「それって目の前に神様を呼べないけど信じてると同じじゃね?科学も信仰も目指すは真理の追求だからね」だからしょうがないけど、裁判で吊し上げた後に「カメラが18時間回ってますわよ」は、可哀想だし要らなかったかも。でも付け足したい気持ちは分かるー。でも要らないかなー。2回目の実験をすることを匂わしても良かったかも。地球人から会いに行った感じになってるけど、コンタクトしてきたのそっちからだし!
とゆう意味では、最後子供に授業してる感じは、真理の追求を諦めちゃった感じかも。科学も宗教も仲良くね、になれば良かったけど、神様の元で宇宙人探してるんですのよ、な落とし所はキリスト教圏なら普通なのかな。日本ならポッド作る前に鎮魂祭しますもんね!
で思い出した、北海道基地の日本描写の酷さ。タランティーノの演出並み。
ご丁寧なコメントありがとうございます!!!
冒頭からエリーの生き方が描かれているのがいいですよね^^
18時間ノイズはちょっともやっとする方多いみたいですね。僕もないほうがよかったのかなぁと思います。確かに向こうからコンタクト取ってきてるのでまたくるかもしれないですしね!
真理の追求って何だろうって考えさせられる映画。名作ですよね!
ご丁寧なコメントありがとうございます!!!
冒頭からエリーの生き方が描かれているのがいいですよね^^
18時間ノイズはちょっともやっとする方多いみたいですね。僕もないほうがよかったのかなぁと思います。確かに向こうからコンタクト取ってきてるのでまたくるかもしれないですしね!
真理の追求って何だろうって考えさせられる映画。名作ですよね!
超ひも理論の書籍を読んでいるときに久しぶりにこの映画を見たくなってこのサイトにたどり着きました。
なかなかに丁寧かつ正確な考察面白く読まさせていただきました。
一点だけ、考察に認識違いがあったのでご指摘させてください。
「ようやくたどり着いた地、そこはヴェガでした」
とありましたが、映画を見る限りヴェガはワームホールを繋ぐ”中継駅”で、最後に辿り着いたのはもっと遥か彼方の宇宙(?)だと認識しています。
エリーが「ヴェガ!」と声に出した後に上部にSFチックな建造物が見えたかと思うと、更にワームホールに突入してポッドが飛ばされていきます。
また科学者たちが「ヴェガは散々調べたのに」「ヴェガ?こんな近くに?」と発言したようにコンタクトの地はヴェガではなく他方であった事を伺わせます。
些細な指摘で申し訳ありませんが、私個人としてもヴェガではなくもっと遥か彼方の宇宙まで行ってコンタクトされたとの願いも込めて、書き込みさせていただきましたm(__)m
Kudoさん、コメントありがとうございます!読んでいただき嬉しいです
なるほど、そうなんですね、確かにそう言われるとヴェガとは別の場所っぽい感じもしますね^^
Wikipediaのネタバレあらすじにも一応以下のような記述がありますが、勿論wikiが正確とも限らないので、確かに中継地点がヴェガという解釈も合っているかもしれません。
↓↓↓
『エリーは乗船を希望し、装置に乗り込むとワームホールらしきものを経由し、天国のようなヴェガにたどり着く。』
https://ja.wikipedia.org/wiki/コンタクト_(映画)
ようつべでたまたまこの映画の動画に出くわして昨日久しぶりにコンタクト観ました。もう何度観たか分からないくらい観てるんですが、やはり何度観ても面白い。最っっ高です。
その延長でこのページに辿り着いたのですが、とても面白い記事でした。インターステラー をコンタクトの正当後継者にもってくるあたり、やはり世間でもそうなのかと嬉しくなりました。
少し私なりの考察を述べさせてください。
この映画、冒頭にラストシーンの答えが描かれているように思います。
冒頭、地球から月・火星・木星・土星→太陽系→銀河系→銀河団とどんどん遠ざかって行き、同時に縮尺も広がり、やがて幼少期エリーの瞳に繋がる。つまりこの映画では、マクロとミクロは繋がっているという世界観なのですね。
ラストシーン。エネルギーが凝縮する光の中心に、完全密閉されたポッドに乗ったエリーは飛び込みました。
このとき何が起きたのか。
ワームホールに飛び込んで遥か遠くにワープしたとも考えられますが、私はエリーがミクロ方向に縮小したのだと考えます。
量子力学の世界まで縮小した世界では、エリーの心の声が具現化するという怪奇現象みたいなことも起きていました。
そして量子力学の世界を更に超えたとき、ミクロとマクロが逆転し、今度こそ本当にワームホールでぐるんぐるん、エリーは遠い星のどこかでお父さんと出逢います。
ペンサコーラの幻想的な風景はとても美しいです。どこか遠い星でなければ、もしかしたらすべて精神世界での出来事かもしれないな、とも思いました。
はじめまして
コンタクトについて調べてたらたどり着きました。
最後の18時間は、次の実験を始めさせる為には必要だったのかもしれません。
あれが無いと、次の実験にお金を出そうとなりませんからね。
でも僕が、一番不気味だなと感じたのは、あの空間です。
もう見たのは大分前なので、うろ覚えですが
確かあそこにいた父親の姿をした異星人ですら、あの場所の答えを知らなかった筈です。
ヒントを出したのはあの異星人ですが、あの異次元の通路というか通路につながる何かしらを、最初に構築したものが誰かはあの異星人ですら分からず、彼らが戻ってくるのを待ってると言ってた筈です。
そのもう1つの彼らという存在があの空間をどこかから見ているのではとも思うのです。そう思うと、不気味で仕方ありません。
お父さんの姿をした宇宙人もこの映画の主人公も、誰かのせいでここに来ただけだった。そして、その誰かとは何なのか、
あれを構築できる科学を持ちながらどこか科学では説明できない存在。
それこそが神、もしくは神と呼ぶに相応しいもの達の悪戯だったのでは無いのか、あそこに来て何かを見いだそうとしている者達を嘲笑っているのではないのか。
そんな邪推をしてしまうのです。
そして、その存在のせいで僕はこの映画に恐怖を感じるのです。