2003年公開のタイムトラベル系SF映画『タイムライン』のネタバレ感想・徹底考察!小説はヒットしたけど映画はどうだった?
レディ・クレアやラ・ロック城って実在したの?時空間転送とか量子論って何?矛盾点や気になる点も含め、ネタバレ徹底考察します!
いざ、SFの世界へ…!
タイムライン のネタバレ感想・考察・徹底解説 (Ryo)
さて、本日は2003年公開の映画『タイムライン』のネタバレ感想と徹底考察・解説!
本作は、『ジュラシック・パーク』や『ツイスター』など後に映画化されたものの原作者である、マイケル・クライトンのSF小説が原作。1999年に発表された『タイムライン』は全米だけでも150万部を売り上げるほどの大ヒット作となりました。さすがテクノスリラー作家と呼ばれるだけあり、テクノロジーを使って人間社会を描くストーリーが多いですよね。
そんな映画『タイムライン』を映画的な着眼点から科学的な視点まで16項目で徹底考察をします!
- 原作は大ヒット!!映画版はどうだったの!?
- 故リチャード・ドナー×故ポール・ウォーカーのタイムトラベル
- 百年戦争が舞台。しかし、実はフィクションの戦争だった!?
- カステルガールやラ・ロック城、レディ・クレアは実在したの?
- 英仏の軍服、実は違う?!現代英語が通じすぎ!?
- 時空間転送!3Dファックス!量子テレポーテーション!
- SF心をくすぐる転送装置!いざ中世ヨーロッパへ!
- マジで使えない護衛、無駄死にのフランソワw
- 現代に戻れなくなった男の憎悪。一人帰ろうとする男の心理。
- 中世ヨーロッパ版キングダム?投石機シーンは迫力満点!
- 実はロストテクノロジーのギリシャ火薬。未だに製造法は不明?
- MVPセリフ:俺だ!俺だったんだ!!!
- あれ、主人公クリス、なんもしてなくないか?www
- タイムスリップ的な矛盾点、気になる点は?
- コペンハーゲン解釈・エヴェレットの多世界解釈とは?
- 伏線回収がスッキリすぎる!この映画の魅力はそこだった!
原作は大ヒット!!映画版はどうだったの!?
2003年公開になったのは、1999年の原作がとにかく人気だったからですね。
原作では、映画よりもう少し科学的に細部まで拘っているようで、よりハードな方向で楽しみたい方には小説版の方が良いかもしれません。それこそ量子論や色々な物理理論などが冒頭で結構詳しく描かれており、娯楽的に製作されている映画版ではカットされている部分が多いです。
大うけした原作でしたが、この映画版はどうだったのか?
結果、全然受けなかったようです。やっぱり原作と比較したファンが多かったのではないでしょうか。8,000万ドルの製作費に対して、北米興行収入は2,000万ドル。全世界でも4,400万ドルと赤字作品に。
結論、あまり細かいところまで気にしなければ、大いに楽しめるSF映画、ではあります。
しかし、やはり原作との比較が仇となったのでしょう。
故リチャード・ドナー×故ポール・ウォーカーのタイムトラベル
監督はリチャード・ドナー。『スーパーマン』『リーサルウェポンシリーズ』『陰謀のセオリー』などを担当。2021年7月、死去されたことが発表されたばかりでしたね。。
偶然ですが、なんと主演のクリス・ジョンストンを演じるポール・ウォーカーも、2013年、40歳にして車の事故で亡くなっています。。『ワイルド・スピード』でお馴染みでしたが、『ワイルド・スピード SKY MISSION』ではクランクアップ前に亡くなってしまい、悲報として大きく取り上げられました。
その他、ヒロインのケイト・エリクソンを演じたのは、フランセス・オコナー。主人公級に活躍(笑)したアンドレ・マレクはジェラルド・バトラー。ちょっと助教授役にしては若い気もするが…(最初学生かと思ったw)
そして、真のヒロイン?ことレディ・クレアをアンナ・フリエルが演じています。
この方は、いかにも中世ヨーロッパの美人!みたいな風格で演技されていて、非常に魅力的ですね!
この映画はよくあるタイムトラベルものの類ではありますが、そのタイムスリップ先が百年戦争という意味では唯一の作品でしょう。
そもそも、舞台が百年戦争の映画ってあまりなくて、ジャンヌ・ダルク系の作品くらい。
そういう意味ではSFと絡んでくるだけでも十分オリジナリティがあったのではないでしょうか。
百年戦争が舞台。しかし、実はフィクションの戦争だった!?
ハリウッド映画をつくるアメリカ人、そしてそれを鑑賞する日本人としては、中世ヨーロッパで起きたこの英仏の戦争のことにあまりなじみがなく、「え、なにそれ(世界史とか知らんし)」と思う方も多いかと思います。僕も世界史で勉強しましたが、正直、すごい面白いパートだった!という記憶はなく、王位継承やイギリスの覇権拡大をだらだら~~と引っ張っているイメージ。。。(といったら失礼か)
この映画は、百年戦争という実在の戦争の一部分に戻ってしまい、歴史改変に焦るような映画だな!?と思いきや、実は設定はたしかに百年戦争なのですが、詳細に描かれているところは、史実にはないのです。
というのも、そもそも、Wikipedia様の以下のまとめにも、なんと『タイムライン』は入っていないのです!笑
ええーー!!?
どう考えても、百年戦争を題材としているやんか!
ってなりますよねw
これはおそらくこの映画が実際の戦争の一部分を抜き出したわけではなく、あくまで「イギリスとフランスが戦っている時代のある時」という意味で「百年戦争」の名前を借りているだけだということなのでしょう。それがWikipedia様にも認められていない理由かと思われますw
本当に史実の一部分が舞台じゃないの?
って話なのですが、調べてみると確かに、インターネットではそれらしいものは全く見つかりません。
カステルガールやラ・ロック城、レディ・クレアは実在したの?
例えば、カステルガール(Castlegard)の戦いと呼ばれる、ラ・ロック城がフランス軍に落とされる戦争のことをこの映画では冒頭でも終盤でもメインに描いていますが、実際にこの戦いは存在しません。完全にフィクションの戦いなわけですね。
※ちなみに、冒頭で”Castelgard”を”Castlegard“とスペルミスしているシーンがあります笑
製作陣も「La Roque Castle」と混ざってしまったのでしょうか泣
ただし、1204年にガイヤール城包囲戦という戦いがあり、これは少し今作の「ラ・ロック城」の攻略戦と似ているものがあります。この実在する戦いの舞台は、フランスのオートノルマンディー地方であり、お城は「岩の城」と呼ばれるほど堅牢。しかし、フランス軍がトイレの落とし戸(garderobe)から侵入したor礼拝堂から侵入したという説があります。まさにこの映画でクリスとケイトがラ・ロック城に侵入したケースと似ていますよね。
また、このガイヤール城での包囲戦では、トレビュシェット(投石機)も利用されて大いにその効果を発揮したことで有名です。今作でも、投石機のシーンがひとつ見どころになっていますので、そこをまねた可能性があります。
そして、今作のヒロインであるレディ・クレアですが、彼女も勿論存在しません。
こちらも似ているとしたら、1357年の映画舞台と近い1360年死亡のエリザベス・ド・クレアでしょうか。彼女はレディ・クレアと呼ばれていたそうですが、非常に裕福な貴族女性であったというので、ちょっと今作のレディ・クレアとは設定が違いますw 名前だけパクったのでしょうか。そこは明らかになっていないので分かりません。
ということで、ちょっとフィクションの世界であることを知っていると、もう少しこの作品への見方も変わってくるのかと思います。結構評判は悪いですが、フィクションとして見れれば結構面白い映画だなとも思うんですよね。
英仏の軍服、実は違う?!現代英語が通じすぎ!?
ただ、他にも時代錯誤しているぞ?と思われる指摘がレビューで散見されます。
例えば。
映画では分かりやすいように、イギリスが赤、フランスが青というようにタバードの色が分かれていますが、当時はそこまでしっかりした制服はなかっただろうと言われています。その部隊や組織の長が色は決めるのであって、統一されたユニフォームがあるのは不自然らしいです。
そうなのか、あれみて、当時は「おおー、赤いのが来たぞー!」とか本当にやってたと思った。。。
また、一番多い意見が、流ちょうな現代英語を話している点。
これは日本人からすると違和感がないのですが、欧米人からしたらここでアウトという意見も多数。Middle Englishと呼ばれる中世ヨーロッパの英語というのは、もっと特徴的らしいです。それにも関わらず、現代からタイムスリップされた主人公たちの英語は普通に通じています。確かに言われてみれば違和感ですよね。
日本でいえば、鎌倉時代とか室町時代にタイムスリップして、今の日本語が通じてるみたいな違和感のわけです。お互いに、古い英語でも原題英語でも違和感なしにコミュニケーション。いやいや、古典の日本語でしょそこは!みたいなツッコミが多いのも頷けますよね。(最も、アメリカ人からしたらまだその時代には自分の国もない時代なわけですが…)
他には、やはりタイムスリップ原理の省略に関する評判があまりよくないみたいですね。矛盾もあったりするので、この手の映画が好きな方からすると突っかかる要素かも。ここは後述します。
時空間転送!3Dファックス!量子テレポーテーション!
ということで、物語の考察ですが、冒頭は先ほどのカステルガードの戦いの説明シーン。
フランス南西部の修道院跡での発掘プロジェクトにて、考古学に熱心な若者たちが当時の戦いのことを勉強したり、発掘作業に夢中になっていたりします。
そんな中、14世紀の地層から、当時あるはずのない眼鏡のレンズが発見。さらになにやら意味ありげに”Help me”の文字があるメモが。。。
すぐにこれが主人公クリスの父親であるエドワード・A・ジョンストン教授であることが筆跡鑑定により判明。消えた日など追っていると、巨大ハイテク企業「ITC」社が関与していることが分かります。この会社は、表向きは歴史的アミューズメント施設を目論んでいるようですが、実は密かに時空間転送装置「3Dファックスマシン」を開発。
実は、ジョンストン教授は、この装置によって14世紀のフランスに転送されてしまっていたのです。
「3Dファックス」という、とても分かりやすい表現をしてくれていますが、まさに、人間の体を、ファックスに印字される文字のように分解して転送しようというのです。これが量子テレポーテーションと繋がってるのですが、映画ではかなりざっくりめです。言っていることはなんとなく分かるので「おおお!?」となりますw
こうして、教授を救い出す「6時間のタイムリミット」物語が始動。
SF心をくすぐる転送装置!いざ中世ヨーロッパへ!
ただし、ちょっと考えてみると、
1人の老いた教授のために、こんな若者と護衛数人でいく必要あるかな?という気もしますw
歴史改変が起きたらまずいみたいなこと言っているので、複数人でいけばまずそこでリスクあります。
また、まだ実験段階?というか、実証された完璧なマシンでもないのでリスク。
そして、そんなめちゃめちゃ重要人物でもない教授のために若者複数で過去へ、というのもちょっと弱い設定かなと。父親といえども、主人公以外からしたら、ただの教授ですw
単純に愛する恋人の方が分かりやすいのかなぁなんて思ったり。
とまぁ、物語は始まっていくのですが、あの転送装置はなかなかのワクワクものですw
いかにも!!といった鏡ばりの壁や上方向から強力な風が吹き光ほとばしる瞬間は、SF好きにはたまらんところかもしれません。
BTFやドラえもんのように、「よいしょ、レッツゴー!」といったような余裕あるトラベル感はなく、どこかまだ発展途上を思わせる緊迫感があるのが良いですね。
さて、早速タイムスリップしたと思ったら、護衛が3分以内くらいに2人死にますw
えーーーちょっと可哀そうすぎるやろおおおwwwww
こんな光景、どこかで見たような。。。
※あ、最近アマプラでみた『トゥモローウォー』だ・w・
▼同じくタイムスリップ系映画の最新作『トゥモローウォー』の考察コラムはこちら!
マジで使えない護衛、無駄死にのフランソワw
しかも、護衛のうち1人は、なぜか持ち込み禁止とされていた手榴弾を持っており、それで自爆を試みる!
が、しかし!!
寸前で彼がマーカーを押したために、手榴弾と一緒に現代へ戻ってしまい、転送装置を破壊!!
なんて使えない護衛なこった!!!ww
この映画の面白い点のひとつは、このタイムスリップに時間制限がある点と、転送装置が破壊されたことにより「帰れなくなるんじゃ?」という点もハラハラ要素になっていることですよね。ただ単に英仏軍の戦いで死なないようにするというプロットではなく、同時に「時間間に合う?」「ちゃんと直せる?帰れる?」というのを、現代と過去を入れ子にして演出しているのがなかなかいいなと思うんですよね!
もう1人はすぐに英仏軍の戦いに巻き込まれ死亡し、フランソワというフランス語が話せる翻訳係の仲間も、オリヴァー卿にいじめられて殺されてしまいます。あの時代では、フランス語が話せるというだけで、スパイかなにか疑われたわけですね。残酷な時代です。。
ただし、よく考えたら、そもそもフランソワ必要だったのか問題がありますw
というのも、フランス語を話したら殺されるような時代であることを分かっていたはずなので、そもそも翻訳係を連れていくのがナンセンスなのです。(歴史に詳しい彼らならなおさら)
また、実際映画ではフランス語で困るようなシーンは一切無く、敵に捕まった時も、なんとなくジェスチャーとかでやり過ごしているんですよ。
おい、フランソワ無駄死にやないかいww
まぁ、あの一人ずつ消えていく感じは、大好物の王道パターンなので良いんですけどw
現代に戻れなくなった男の憎悪。一人帰ろうとする男の心理。
というのは、置いておいて、サー・ウィリアム・ド・ケアという将軍が途中で登場。
この人物の正体、なんとウィリアム・デッカーという名前で現代で生きていた男だったのですが、転送装置のエラーにより過去から戻れなくなってしまった、なんとも不運なITC社員だったのです。
典型的な展開なのかもしれませんが、戻れなくなってしまった人物がいる、みたいなのもやっぱあった方が燃えるんですよね。彼の憎悪と言うか、未来に帰りたくても帰れない苦しさみたいなものは、なかなか重苦しいところがあります。科学の発展の裏には、こういった犠牲者がいるのか、と思わせるようなシーンもあり、なかなか嬉しい要素を混ぜてくれているなという印象。
また、途中で、マーカーは「一定以上ひらけた場所」でなければ使えないということが分かります。あれ、そんな設定だったのか!?と思ってしまいましたw というのも、最初に手榴弾握って現代へ飛んだ護衛も、周りに木々があり、とても開けたという感じではなかったですw
ただ、ここも多めに目を瞑るとして、良いなと思ったのは、こうして自分だけ帰ろうと思うような人間が登場することです。そんな人間心理を端的に表したのが、フランク・ゴードン(ニール・マクドノー)でした。彼は、こっそり皆から離れて自分だけマーカーを押そうとするシーンが何回かあるのですが、こうして仲間の中で少し亀裂が走っていくなんていうシーンも、王道パターンで好きなんですよね。キャラクターをそれぞれうまく使いこなし、結構いろいろ王道要素を詰め込んでくれるじゃないかって思うわけです。
中世ヨーロッパ版キングダム?投石機シーンは迫力満点!
その後、一行は、レディ・クレアと共にド・ケアに捕まったマレクたちと、クリス&ケイト、オリヴァー卿とジョンストン教授というグループに分かれて行動するのですが、お互いの合流場所は、ラ・ロック城。そう、冒頭の発掘プロジェクトの際に説明のあった戦いの場所だったのです。
現代での史実(勿論この映画での”史実”という意味で、現実ではフィクション)によれば、フランス司令官の妹であるレディ・クレアをイギリス兵に見殺しにされたことで、フランス軍の憤怒を誘い、猛烈アタックで城は陥落…という流れなのですが、実際はレディ・クレアは処刑されずに終わります。
代わりに、ジョンストン教授の「ギリシャ火薬」がイギリス軍の強力な武器となり、フランス軍を攻めることになるなど、実はかなり歴史改変が起きてしまっていますw
しかし、ここの戦闘シーンはなかなか見どころだと思います。
なにしろ、一切のCGIやVFXを利用していないので、かなりリアリティがあります。
兵士同士の激しい剣の交わり、投石機による城への攻略、長弓で遠距離から攻撃、などなど、結構インパクトがあり、特に個人的には投石機は迫力満点で好きでした。
キングダムの実写版×ヨーロッパ版みたいなイメージですかね。
※中国では、あのような戦いが紀元前に行われていたのだから、ほんとスゴイな…
実はロストテクノロジーのギリシャ火薬。未だに製造法は不明?
そして、教授が開発したギリシャ火薬、ここは少し考察ポイント。
というのも、一般的に知られる「ギリシャ火薬」というのは、水上でも燃え続たり、水をかけたらもっと炎が大きくなるという兵器なのですが、これ、”ロストテクノロジー”と呼ばれる「現代の科学では再現不可能の技術」なのです。
ええっ!?!
と思いますよね。
その技術を焼夷兵器として実際に使っていたとされるビザンツ帝国では、製造方法は厳に秘匿されており、その技術は決して敵国に回ることがなかったとされる徹底ぶり。
コンスタンティノープルが陥落した1453年まで、ウマイヤ朝やオスマン帝国の侵入に対して、ギリシア火薬を使って守っていたとされていますので、ビザンツ帝国の必殺兵器とも呼べるかもしれません。コンスタンティノープルを海から攻略することが非常に難しかった理由でもあります。
ただし、帝国崩壊後、後世に引き継がれることはなく、現在の火炎放射器やナパーム弾、もしくは火薬の仲間なのか、まだなにも分かっていないのです。
なーーぬーー!?!?!?
そのロストテクノロジーへのロマンがあったのか、なんとジョンストン教授はイギリス軍にその兵器を提供してしまうのです!w
ある意味で面白い展開ではありますが、これやってしまうと、大きく未来が変わるような気も、、、(今回の舞台は1357年。まだビザンツ帝国が崩壊する1453年より前にその製造法がイギリス軍に渡ったとしたら…)
MVPセリフ:俺だ!俺だったんだ!!!
とまぁ、そこは良いとして、
壮絶な戦いの後、マレクは敵将ド・ケアとマーカーの奪い合いを行い、一騎打ちにて耳を切られ落とされてしまいます。
そして、マレクは叫ぶのです。
Nooooooooooooooooo!!!!!!!!!!!!!!!
※というのは、腕を切り落とされたルークとの勘違いです
マレクが叫んだのは、
「俺だ!俺だったんだ!!!」
このシーンは、かなりお気に入りのセリフw
というのも、実は冒頭の発掘プロジェクト時、男女が手をつないで死んでいる石棺があったのですが、その男の方は耳を切られていたのです。マレクはそれが自分であり、隣で寝ていたのがレディ・クレアだと察したのです。
「俺だったんだ!」っていう言葉ですべてが一本に繋がるこの瞬間、すっきり感が強く、わりと好きですw
そして、クリス&ケイトによる抜け道が功を奏し、イギリス軍の城は陥落、レディ・クレアは死なずとも結果的に落城に成功したわけです。
ラスト、レディ・クレアと残ると決めたマレク以外の全員でひらけた地へ走り、マーカーを押すと、現実世界でもちょうどマシンが復旧したことで、転送開始!!
全員が3Dファックス化されて、現代へ戻るのですが、ちょうどなにかいじろうと悪だくみしていたITC社長のドニガーは転送装置に閉じ込められ、そのまま過去へ転送。。。!!!
転送直後、うまい感じに敵にあっさり殺され、終了!
なんてすっきり感がある映画なんだ!ww
あれ、主人公クリス、なんもしてなくないか?www
ということで、映画は終わるのですが、皆さん、気付いちゃったでしょうか。
実は、主人公であるクリス、ほとんどなにもしてないんですよww
ってか、本当に主人公なの?って思いますが、クレジットではマレク様より上。
いや、絶対にマレクが主人公やんこれ!www
というのも、レディ・クレアとマレクの方が物語として圧倒的にフォーカスされていますし、彼らの方がいかにも主役級の存在感。敵と剣を交えるなどの勝負どころも見せています。
※助教授なのにあんな戦えるのかなんてツッコんじゃ駄目ですよ※
それに対して、クリスは?w
抜け道見つけたのは、ケイトだし、そこが行き止まりたった瞬間に諦めようとしているし、そもそもお前の親父さんが迷惑すぎるのにもっとリスク取らんかいって話ですw
ヒロインのケイトとの関係もなんかちょっと薄い感じですかね。
マレクと対比させて誠実でおとなしいイメージ?にしたかったのかもしれませんが、それにしてはちょっとチャラチャラしたようなシーンも冒頭にあったりで、彼のキャラがよく分からないところもあります。
うーむ、こりゃ完全にマレクが主人公やなw
タイムスリップ的な矛盾点、気になる点は?
せっかくSF考察コラムなので、タイムスリップ的な矛盾点や気になる点を挙げておきます。
ただし、この映画はあまりそこを気にせずにつくられているエンタメ映画なので、他作品であるような緻密に設計されたタイムトラベルものと比較しない方がいいかもしれません。
・「歴史を変えてはいけない」という説を全員信じつつ、余裕で歴史変えようとしている
・現代の道具を持ち込んではいけない点から、冒頭で「眼鏡はおいていけ」と言われたフランソワに対して、なぜか教授は眼鏡を過去にもっていって、しかもそれを現代で出土させている(okじゃんw)
・同じく、手榴弾という現代兵器(ああいうのは第1次世界大戦くらいです)を勝手に持ち込んでいる護衛がいる。だったらマシンガン持って行けよ!
※ちなみに、現代の手榴弾の原型とも言われるものは「ギリシャ火」と呼ばれており、なんと8世紀のビザンツ帝国が世界初だったと言われています。ビザンツ帝国すげえ!
・レディ・クレアを助けたら歴史が変わるのに、平気で助けている
※結果的に城は陥落しているからokというターミネータ的解釈…?
・ケイトが壁画を壊しているシーン、過去ではすべて木端微塵にしているのに、現代で発掘されたときは、下の方が残っている
↓
ストーリー全体でいうと、、
↓
・現代では、レディ・クレアが処刑されたことでフランス軍の士気が高まり城は落ちたという記録があるが、それと同時にレディ・クレアとマレクの石棺が見つかっている
→これだと「レディ・クレアが死んだ」過去がある一方、「レディ・クレアはマレクに助けられた」過去も存在していることになり、レディ・クレアが二人存在してしまう。パラドックス解明されず!
とまぁ、言い出したらこういうことが出てきてしまうのですが、そこはスルーですねw
© 2003 Paramount Pictures.
コペンハーゲン解釈・エヴェレットの多世界解釈とは?
この作品は完全にエンタメ作品なので、科学的追及は野暮ですが、実際「パラレルワールド」とは量子論的には何かをざっくり。
1957年のエヴェレットの多世界解釈を取り入れた映画としては、実はwikipediaでも一番上に出てくるのがこの映画なんですよね。量子論の話をすると長くなりますが、要は、ミクロの世界では、「観測」によって「粒子」になったり「波」になったりするよ~っていう話があります。
✅コペンハーゲン解釈
→いくつかの異なる状態が「重ね合わせ」で存在している
→観測すると観測値に対応する状態に変化する(=波動関数の崩壊・波束の収縮)
しかし、これではどうして「波」が「粒子」になるの?って謎が残ってしまいます。
そこで、ヒュー・エヴェレットは以下のように考えたんですね。
✅多世界解釈
→観測結果によって、観測者自身にそれぞれの観測された世界が発生する。
えぇぇ!?!?
という感じですよね。
つまり、コペンハーゲン解釈では「観測するときに波は粒子になる。ミクロの世界では、そういうことだ!」という考えに対して、エヴェレットは「ミクロもマクロも同じでしょ。要は、観測した時点で複数の世界が同時発生しているんだよ」と考えたわけです。
※マクロでも同じこと起きたら世の中が大変じゃろ!っていう思考実験が、有名な『シュレディンガーの猫』のパラドックスですね!
つまり、観測以前の「波」の状態から「粒子」になったある地点と瞬間をAとすると、観測者の「世界A」がそこに生まれています。
しかし、観測以前の「波」の状態から「粒子」になったある地点と瞬間をBとすると、その観測者の「世界B」がそこに生まれているんです。
エヴェレットの多世界解釈では、AとBは交わらない(不干渉)という性質を持っていますので、SF的なパラレルワールドとは少し違うのですが、無限にこうやって世界が生まれている(厳密には宇宙は一つ、世界ごとに見える側面が複数あるという意味)と思うと、実は量子論的には合理的ではあるんですよね。
今回の『タイムライン』では、過去に史実と異なる行為をしていることから、「パラレルワールドの干渉性」が見られますよね。ということは、ゆるく言えば広義の多世界解釈ですが、干渉しあうことが出来ている時点で厳密にいえばこれは多世界解釈ではないことになりますね。
まぁ、そもそも過去に戻るということ自体、いくら技術が発展しても無理じゃないかと言われていますので、あまり詰めても仕方ないですかね;;
伏線回収がスッキリすぎる!この映画の魅力はそこだった!
逆に、この映画では、伏線回収時のすっきり!感がひとつ見どころです。
ということで、今度はそれをリストアップ。
・カステル・ガールで起こった出来事が冒頭で説明されているので、実際にその戦闘シーンになる時に「これだったのか!」とすっきり!
・発掘した石棺が「マレクとレディ・クレアだったのか!」とすっきり!
・美しい壁画を破壊したのは「ケイトだったのか!」とすっきり!
・ITC社長が終始好意的じゃなかったのは、「ド・ケアのように過去に置き去りにされた人もいるからか!」とすっきり!
・教授の眼鏡が出土されたのは、ケイトとクリスが侵入路に入る時に、なにかとぶつかってしまい眼鏡が床に落ちていることから「あのまま埋もれてしまったのか!」とすっきり!
などなど、こういった伏線が非常に旨く施されており、鮮やかにそれらが回収されるので、すっきり!感を味わうならなかなかの娯楽作品になるわけですね。
勿論、原作のような量子論の設定などがないので、本当にただの娯楽作品として比較すると評判が悪いのも分かるのですが。。
個人的には結構楽しめる作品ではありました。
ということで、本日は映画『タイムライン』についての徹底考察コラムは以上です!
今後もタイムトラベル系の考察していきますね!
それではまた!
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