2013年公開・高評価SF作品『ゼロ・グラビティ』のネタバレ感想・考察コラム!
宇宙にいるような美的映像!科学考証的にありえない点はある?
マットの死、ライアンの孤独から見る「生と死」とは。
実はスピンオフが?
17項目で徹底解説していきます!
いざ、SFの世界へ…!
ゼロ・グラヴィティ のネタバレ感想・考察・徹底解説 (Ryo)
さて、本日は2013年公開のSF映画『ゼロ・グラヴィティ(原題:Gravity)』についてネタバレ徹底考察していきます!
非常に評価の高い作品ですね。
なんとRotten Tomatoではほぼ満点に近い支持率96%です!
どんな点が高評価なのか?
まるで宇宙にいるような革命的映像!!
実は新兵器を使って撮影した!?
圧倒的な映像美と孤独感、そして「生命」がテーマ?
科学的にありえる?矛盾点やおかしい点はあるのか?
消火器、オムツ、噴射できすぎ問題…?!
※科学考証の多くは「宇宙開発機構株式会社」さまの見解を参考にさせていただいております
それでは!
17項目で徹底考察していきます!
- 支持率96%の高評価!実は親子で脚本を書いていた!?
- キャスティングと製作費で4年半…名優二人に決まった経緯とは
- 半年間のトレーニングも?サンドラ・ブロック迫真の演技!
- 明るくユーモラスなマットを演じるのは、ジョージ・クルーニー!
- おれ宇宙にいる?一瞬で引きずり込まれる美的映像の連続!
- 恐怖を、爆音ではなく「無音」で演出させた神作品
- 新兵器「ライトボックス」による撮影方法がスゴかった!!
- 時速8万キロとか怖すぎ!w デブリによる連鎖衝突はあり得る!?
- 一難去ってまた一難!酸素切れ、燃料切れ、ワイヤー絡み…
- 手を離したマットが格好良すぎる…しかし、実際、宇宙空間では…
- 地上と繋がった「アニンガ」の短編作品があった!?
- マットの幻影…一瞬「死んだ」ライアンだからこそ見えた?
- いざ『天宮』、そして『神舟』へ!これは最高の旅よ!
- 実は「生命の誕生」をモチーフにした「再生」の物語だった!?
- 科学考証的にはどうなの?まずは良かった点!
- 「噴射できすぎ」「オムツは?」「消火器w」
- 魅力は「宇宙にいるような感覚」「孤独感」「生と死」にある
支持率96%の高評価!実は親子で脚本を書いていた!?
皆さんも、おそらく当時この映画の評判を耳にしたでしょう。
宇宙映画の中でも、非常にリアリティがあり(その場にいるような、という意味で)、とにかく映画館での鑑賞はすごかったとか。
秋に公開された作品の中では最高の初動成績でしたが、そのまま興行収入も上がり、当時大好評に。
製作費1億ドルに対し、世界で7.2億ドルの興行収入を叩きだします。
クエンティン・タランティーノ監督は『2013年度の映画トップ10』に選出ししています。
ジェームズ・キャメロン監督も「これは史上最も優れた宇宙の映像美で創り上げた、史上最高のスペース・エンターテイメント」と絶賛。
第86回アカデミー賞では、作品賞ほか同年度最多となる10部門にノミネートされ、監督賞や視覚効果賞、撮影賞などアカデミー賞の7部門を受賞しています。
※というか、Rotten tomatoで96%はほんとにすごいw
監督は、メキシコ出身のアルフォンソ・キュアロン監督。そして、実は脚本で参加しているホナス・キュアロンは息子で、親子で脚本を共同執筆したらしいです。なんでも、息子が「逆境をテーマとした、ジェットコースター的な緊張感が常に漂い、かつ観客が感情移入して感動できる作品を作りたい」と発言したことが始まりらしく、この映画への実現にいたったとか。親子でこんなすごい映画つくるってなかなかすごいですよね笑
キャスティングと製作費で4年半…名優二人に決まった経緯とは
ただ、なかなか完成までは大変だったようです。
というのも、実は脚本が完成した時点から、撮影が終わるまでは4年半も経過。
なんでそんなに時間かかってしまったかというと、これは別に宇宙らしい撮影に時間がかかったわけではなく、キャスティング作業や製作費の問題だったらしいです。
製作費では、ワーナーブラザーズが当初より膨らむことから、製作会社としておりたり、キャスティングも錚々たる俳優の候補のなかでようやく名優二人に決まった次第なのです。
主演は、皆さんもご存じの通り、ジョージ・クルーニーとサンドラ・ブロックです。
この二人は、『オーシャンズ』シリーズでは兄妹役を演じていますねw
メインキャストは二人だけです。
もはやここがこの映画の魅力といってもいいのですが、
この映画、ほんっとに、この二人以外全然でてこないw
静寂や無言の宇宙空間で、さらに孤独感を増長させるポイントになっています。
しかも、中盤からは、サンドラ・ブロックひとりで物語が進んでいくので、
もう孤独感が半端ないっすw
『猿の惑星』一作目や、無人島生活の『キャスト・アウェイ』みたいな孤独感を思わせますね。
半年間のトレーニングも?サンドラ・ブロック迫真の演技!
サンドラ・ブロックが今回演じたのは、ライアン・ストーン博士という女性医療技師。
先程述べた「キャスティング作業」ですが、実は彼女以前には、多くの候補者が。
まずは、アンジェリーナ・ジョリー。しかし、彼女自身が監督をつとめる映画が控えていたため、キャンセルに。ナタリー・ポートマンも候補に挙がりましたが、妊娠を発表したため、これまた別に。そのほか、マリオン・コティヤール、スカーレット・ヨハンソン、レイチェル・ワイズ、ナオミ・ワッツ、キャリー・マリガン、シエナ・ミラー、ブレイク・ライブリー、レベッカ・ホール、オリビア・ワイルドなどなど、実に多くの女優の名がでる中、白羽の矢が立ったのは、サンドラ・ブロックだったわけです。
この映画、彼女の一人劇みたいな感じもあるのですが、とにかく迫真の演技がすごくて緊張感の伝わりようがすごいですね。アカデミー賞主演女優賞を受賞したのもうなづけます。
激しい息遣いだけで、我々もまるで同じ空間にいるような錯覚を覚えますし、いつのまにか彼女と一心同体になって鑑賞しているのも、彼女の演技あってこそでしょう。
演者としての努力もすごく、なんと半年間のフィジカルトレーニングも行ったといいます。どうりで、宇宙服脱いだ後、筋肉質というか非常に鍛え抜かれた体だったんだなぁ~と納得。
また、キャスリン・コールマン氏という、2度のスペースシャトル搭乗とISS滞在で計4330時間を宇宙で過ごしたとされる女性宇宙飛行士の体験談を聞くことで、宇宙を舞台にした映画への準備としていたよう。
感心してしまいますね。
NASAといえば、この映画が科学的に正しいのかどうかは、あとで後述します。
かなり否定的な部分もあるらしいですがねw
ただ、NASAの宇宙飛行士アンディ・トーマス氏も製作側に助言しているところをみると、エンターテインメントの部分は強調しつつも、かなり現実に即した宇宙映画だったといえるかと思います。
明るくユーモラスなマットを演じるのは、ジョージ・クルーニー!
そして、宇宙飛行士マット・コワルスキーを演じるのが、ジョージ・クルーニーですね。ISSに来てまだ半年のライアン博士(サンドラ・ブロックも半年間のトレーニングだったがこれは偶然w)が少し緊張している様子が目立つなか、マットは明るく冗談めいたことを言って相手を安らがせようとしてくれます。アメリカンジョーク的なシーンや、オチがいえずにさえぎられてしまうシーンなど、なかなかユーモアなキャラクターですよね。
真面目なライアン博士と対比的に彼が動いていくことで、たった2名しかいないこの映画も非常に面白みがあるストーリーとなっています。
ジョージ・クルーニーの方もキャスティングは大変だったよう。当初はロバート・ダウニーJr.が演じる予定でした、コンピュータ制御のもとでの撮影方法が肌にあわずに降板。
他の候補とし、ダニエル・クレイグ、トム・クルーズ、トム・ハンクス、ハリソン・フォード、ジョン・トラボルタ、ブルース・ウィリス、ラッセル・クロウ、ケビン・コスナー、デンゼル・ワシントンなどがあがっていたようです。っていうか、メンツやばすぎ。。。
※ブルース・ウィリスだったら『アルマゲドン』とかぶる最後だった言われてそうw
そして、これは余談ですが、実はヒューストンから指示を出すミッション・コントロールの声を担当しているのは、『アポロ13』を主演を果たしたエド・ハリスらしいです。なるほど、彼を選んだのには理由がありそうですねw
撮影は『トゥモロー・ワールド』ほかキュアロン作品を多数担当する名匠エマニュエル・ルベツキで、監督との相性は抜群。今回の「リアルな宇宙」をつくりあげることができたのも、ひとつ彼の大きな功績といえるのではないでしょうか。
…というのも、本当にリアル!!
映像がすごいんですよ!!!
美しすぎる!!!!!!!!!!
おれ宇宙にいる?一瞬で引きずり込まれる美的映像の連続!
冒頭の13分間、ずっとカットなしでカメラを長回ししているのも話題を呼びましたが、これだけで一瞬で観客も宇宙空間に投げ出されてしまいます。無重力空間にいるかのようなカメラワークにあっという間に虜になってしまい、その圧倒的な映像美は圧巻です。
3D映画レベルにリアリティがすごいですw
この「リアリティ」が最大の特徴ですが、もう一つ同時に大きな魅力は「孤独感」です。
地球がちょいちょい見える割には、非常に遠く感じるんですよね~~w
そして、最初にライアン博士が吹き飛ばされるシーンとか、孤独のまま死ぬんじゃないかっていう極限の絶望状態に突き落とされるんです。マットが救出しに来てくれた後も、一緒に移動しつつ、いつその繋ぎが千切れてしまうのか、ハラハラしますし、また、ISSに衝突するシーンなど、とにかく手に汗握る瞬間の連続。
いつマットやISSから離れて孤独になってしまうのか分からず、常に死と隣り合わせなんですよね。ここまで孤独になるかならないかで観客を震わせた映画があったでしょうか。
恐怖を、爆音ではなく「無音」で演出させた神作品
それらを助長させている一つの要因として「音」があります。
宇宙空間では音が聞こえません。
それで敢えて大きな音がするシーンでは「無音」にしているのですが、これが逆に怖いw
デブリの衝突シーンも、普通のハリウッド映画ならどでかい衝突音でもつけて、その迫力を示すのに対して、『ゼロ・グラヴィティ』では、そこだけ誰の声も聞こえない無音モードに変化。
このおかげで、ますます宇宙にいるんじゃないかって思わせてくれます。
とことん、この映画の撮影には度肝を抜かれます。
映画の冒頭ではマットの「宇宙の何が好きなんだ?」という質問に対して、「静けさよ。居心地がいいわ」と答えるライアン博士ですが、後で「宇宙なんて大嫌い」と言っています。
静かな宇宙っていいな~って思った観客を、一瞬でライアン博士と一体化させている脚本上の点も、あっぱれ素晴らしいといえます。
この静寂ゆえの緊迫感は、『2001年宇宙の旅』とも共通するところがありそうです。映画製作における時代背景もありますが、どちらも静かな宇宙空間が延々と続き、どこか寂しさや孤独さが常にありますよね。
なにはともあれ、
●なにかあってこわいのが普通
のところを、
●なにもないのが怖い
としたところは、監督と撮影の賞賛されるべしポイントといえましょう。
新兵器「ライトボックス」による撮影方法がスゴかった!!
ちなみに、あの撮影、どうやったんだろうって思って調べてみました。
素人目線ですが、異様にリアルで、本当に宇宙で撮ったんじゃないかって思ってしまうレベルだったので。
これは、NBCニュースによれば、
●ライトボックス:内側が4096個のLED電球で埋め尽くされた高さ6メートル、幅3メートルの箱(LED電球によって宇宙空間や恒星の光を表現)
+
●ティルト・プラス:遠隔操作が可能な12本の特殊なワイヤー(水中で撮影した俳優たちの遊泳中の動きを参考。このワイヤを人形師が操作)
+
●ロボットカメラで撮影
+
●CGでワイヤの線を消す
といった撮影方法だったらしいです。
この「ライトボックス」は映画業界で新兵器だったらしく、どうりで批評家や観客から驚嘆の声が多いわけですね。(僕だけじゃなくてよかった。。)
ただ、この「ライトボックス」の中で長時間の芝居をすることも多かったらしく、サンドラ・ブロックは1日に10時間も入ることもあったとか。彼女の演者意識はすごいですよね。
(日本の顔だけ演者たちに物申したい…というのは嘘です)
宇宙空間の再現については、プロダクション・デザイナー、アンディ・ニコルソン氏が、オークションサイトにてNASAの過去資料や宇宙空間の資料、宇宙探査関連の機器を入手。ハッブル宇宙望遠鏡やISSなどに役立てたようです。
実際、多くのNASA関係者からは、宇宙空間にかなり近いという評価まであります。
エンタメ作品ではあるので、ツッコミどころは多いようなので、そちらは後述として…。
時速8万キロとか怖すぎ!w デブリによる連鎖衝突はあり得る!?
さて、物語は、地上600キロメートル上空の宇宙空間。
冒頭の会話で登場する「このミッションは嫌な予感がする」ですが、これはスターウォーズファンなら反応してしまうセリフか…(
ちゃんと真面目に作業するライアン博士と、場を賑やかにする陽気なマットのバランスが非常に良いですね。宇宙綺麗だな~って思っていたら、早速ヒューストン管制から危険フラグが。
ロシアが、自国の人工衛星を破壊したせいで、その破片がエクスプローラー号に向かっているというのです。その速さ、時速8万キロ。
やば!!!!!!!!!
※ロシアがまるで悪者のようですが、あくまで二次被害で「予期していなかった」みたいなことがさりげなく説明されています。。。果たして真相は、、
また、「スペースデブリの連鎖破壊」は、以前から提唱されているシミュレーションモデルなのです。70年代、NASAの物理学者ドナルド・J・ケスラーが唱えたことから「ケスラーシンドローム」とも呼ばれます。
スペースデブリ同士、もしくは今作のようにスペースデブリが宇宙ステーションに衝突することで、さらなるスペースデブリが生まれ、、、次々に破壊が起きるんじゃないかっていう懸念ですね。
※ただ、実際はロシアの人工衛星とハッブル宇宙望遠鏡(HST)、国際宇宙ステーション(ISS)の軌道はそれぞれが大きく異なっているので、ああいった事態は起きないようです。NASAも否定しているとか。
一難去ってまた一難!酸素切れ、燃料切れ、ワイヤー絡み…
しかし、映画ではこのケスラー・シンドロ~ムが発生してしまい、船外活動をしていたシャリフという宇宙飛行士に直撃!死亡!!
また、ライアン博士が繋がっていたアームも吹き飛ばされ、無慈悲な破壊は続きます。
なんとかアームから切り離されたライアンですが、今度は酸素がなくなりそうという事態に。
残り9%!
しかも緊迫状態のため過呼吸になり、どんどんと残量がなくなっていきます。
この激しい過呼吸音が、これまた緊張感を膨張させていきます。
なんとかマットが救出しに来てくれて、助かったものの、無線通信はヒューストンへ届かず。一方通信のみ。乗組員が死体で突然出てくるシーンは、まるでホラー映画のごとくびっくりさせる怖さで演出されていますw
ISSへ向かう二人ですが、ソユーズ宇宙船は既に1機が離脱済み、もう1機は損傷の為パラシュートが開いてしまっているとのこと。それでも冷静に事態を考えるマットは、残ったソユーズ宇宙船で中国の宇宙ステーション『天宮』へ向かおうと提案。
しかし!!
直前でマットの船外活動ユニットが燃料切れ!!!
おわた。。。
反動の為、二人とも放り出され、、
おわた。。。。
、、、と、また観客がそう思ったところで、
なんとかパラシュートのワイヤーが偶然にもライアンの足にひっかかって、そのライアンの腕を掴んだマット。
助かった!!!
手を離したマットが格好良すぎる…しかし、実際、宇宙空間では…
と思ったら、今度は、このままだと二人とも放り出されるとのこと。
まるで、タイタニック号沈没時のディカプリオのような選択!!
君が助かるためなら!!と言わんばかりに、マットは自ら手を離していきます。
どんどんと遠ざかっていくマットを見つめるライアン。
うぅぅぅぅぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~
そんななぁあ~~~~~~~~~~
今度こそ本当に孤独になってしまったライアンですが、通信が届く限り、連絡をしてくれるマットの存在がまた絶妙に良いですね。ガンジス川は綺麗、そう言い残してから、通信は途絶えてしまい、彼の最後の死を見届けることはできませんでした。マット、いったいどんな気持ちで死んでいったのだろうか。厳密に彼が死亡したシーンがないのも、また想像させるものがあっていいですよね。
※ただ、本当は、宇宙空間では、あの時はちょっとの力で引っ張れるらしい…
とか、そんな野暮なツッコミをしてはなりません!!
なんとか、ソユーズに搭乗できたライアンですが、しばらくしてから、ISSの一角で火災が発生。
一難去ってまた一難がすごすぎるw
脱出までが尋常ではないほど過酷だ。。。
※宇宙に持っていくものは全て可燃性試験を受けるため、激しく燃えるものはないとか
地上と繋がった「アニンガ」の短編作品があった!?
さて、ISSとは隔壁で閉鎖できましたが、ソユーズとISSを切り離す必要があると考えたライアン。しかし、パラシュートのワイヤーが絡まっており、離脱できず。船外活動に出たライアンですが、その時、90分の周期を終えたスペースデブリ・アタックが炸裂!!!
ひぇぇえええええええええええ~!!!!!!!
この無数に迫り来る破片がとにかく怖いですよね。
まるで嵐のようです。
こっちは自分の体を守るものなんてなにひとつないんですから、偶然でも体にヒットしたらいちころです。少しだけでも宇宙服に穴が開いたら、数十分の間に死んでしまうともいわれています。
というところでの再襲撃に絶望している間もなく、必死にソユーズへ戻る。
いざ発進!!!
と思ったら、なんと既に燃料切れ。
えぇえええええええ!!!!!!!!!
ここで終わりか!!
と思わせんばかりに、ライアンも諦めモードに。
AM無線で救助を求めるものの、通信に出たのは、アニンガという人物。
赤ん坊の声や犬の鳴き声も入ってくるのですが、このシーンもなかなか心を揺るがせます。
地球ではこんな平和な日常があるのか、と思うだけではなく、繋がっただけでも良かった、最後に地球の「音」が聞こえてよかった、と思わせるような展開なのです。
※ちなみに、短編作品『Aningaaq』(アニンガ)では、地球側から見たこの場面が描かれているようです。7分間と非常に短いですが、下記サイトで無料で観れますのでぜひ!
‘Gravity’ Spinoff: Watch the Other Side of Sandra Bullock’s Distress Call (Exclusive Video)
※個人的には、勝手に東南アジアかどこかの貧しい地域のおっちゃんかと思っていたら、グリーンランドからの通信だったようですw
※実際は、電波の関係で、大きなアンテナや増幅装置を持つハイレベルな方でないと受信は難しいようです…
マットの幻影…一瞬「死んだ」ライアンだからこそ見えた?
アニンガとの通信で、
4歳で亡くした娘のことを思い出したライアン。
このまま死んで娘と会おう。
ライアンがそう思ったのも、なんだか少し分かるようなきもしますよね。
そして、酸素供給を自らやめて死を覚悟…
と、その時、マットが登場!!!
あれ、生きていたのかーー!!!!!
ちょっとご都合よすぎないか?!!?
と思いつつ、
まぁ、奇想天外とかいっているからなにかあったのかな、と思って一旦はマットの復活に感極まる!
そこで、どう生きるかを問われ、マットは着陸時の逆噴射装置を利用することで『天宮』まで向かうことを助言。マット、さすが!!
明るく冗談めいた口調でいながらちゃんと冷静な打開策を提示!!!
二人で奇跡の脱出劇開始だ!!
と思いきや、再びライアンが目を開けると、そこにマットはいません。
マットは幻だったんですね。
極限まで死に近づいたライアンだからこそ、マットの幻影を観ることができたのかもしれません。
この展開もなかなかにくいですが、好きですね!
お約束の蘇りパターンではなく、ライアンと観客を騙すためのトリックだったとは!
いざ『天宮』、そして『神舟』へ!これは最高の旅よ!
逆噴射エンジンで『天宮』に到達したライアン。
宇宙船『神舟』に乗り込んで、地球へ突入しようと考えます。
宇宙船に、なぜか誰一人いないのは少し気になりますが、先に脱出したのでしょうか。
『神舟』の起動に成功し、大気圏突入が始まりますが、そこでライアンは「10分後どうなってるかは分からないが、これは最高の旅よ!」と少し嬉しそうに叫びます。
絶望の状況からここまで来れただけでも良かった!という意味なのか、
さっきまで諦めていたが、生き残って地球に帰って見せる!!という意味なのか。
大気圏突入後、なんとかパラシュートが開いて無事に湖に着水。
しかし、宇宙船のコンソールが出荷していたことから、ハッチを開けてしまったライアンのもとへ押し寄せる水。あわや溺れかけますが、ライアンは重い宇宙服を脱ぎ捨てて助かります。
※宇宙服はあんな早く脱げないそう&下着は本当は冷却下着やオムツがあるようですw
さて、こうして映画は終わりますが、最後のシーンで、ようやくライアンも観客も「重力」を感じます。きっと、だからこその原題「Gravity」なのでしょうが、どうして日本は「ゼロ・グラヴィティ(無重力)」なのか。宣伝の謳い文句的にその方が格好良いと思ったのか知りませんが、ほぼ真逆の意味になってしまうのはいかがなものか。
ちなみに、マイケル・ジャクソンのダンスパフォーマンスも「ゼロ・グラヴィティ」といいますが、こちらももともとは「Anti-gravity lean」ですw
どんだけ勝手に「ゼロ・グラヴィティ」つくりたがっているんだ、日本人は!wwww
実は「生命の誕生」をモチーフにした「再生」の物語だった!?
あと、このラストシーンを含め、実は多くのメタファーを含んだ作品ではないのか、という考察もあるようです。
ご参考:映画『ゼロ・グラビティ』生命の誕生をモチーフにした“再生”の物語を徹底考察【ネタバレ解説】
確かに、実際にアルフォンソ監督も以下のように公言。
「テーマは逆境とそれを通じての再生の可能性。新しい知識を求め、生きのびることによって再生することができる。水や母なる地球、“つながり”を示すかのような体に巻きついたコードといったメタファーの存在は、ライアンというキャラクターを作る上で大きな意味があったね。一方のマットは対照的に地に足がついた、人生を心から愛している人物なんだ。」
プロデューサーを務めたデヴィッド・ヘイマンも「逆境の物語」とのことで、一人の人間が逆境から立ち上がって生まれ変わる「再生」がテーマなのです。
それでは、上記の「コード」も含めリストアップしてみます。
- 宇宙服を脱いだ彼女=子宮のなかの胎児
- その後ろのコード=へその緒
- パラシュート外すシーン=へその緒のカット
- アニンガとの通信で聞こえる赤ちゃんの産声・犬の鳴き声=産声・生命の誕生
- 大気圏突入時=精子が卵子に向かっている
- 不時着した湖=子宮の羊水
- 不時着→海→陸=魚類→両生類→4つ足→2足歩行
確かに、そういう視点でみれば、敢えてそのように演出しているのか、と思わせるものが多くありますね。
ライアンは「天使」と称している愛娘を4歳の時に事故で亡くしています。
そんな娘という「命」の分まで生きるべき、それがライアン博士の運命=再生なのかもしれません。
科学考証的にはどうなの?まずは良かった点!
さて、SF考察コラムなので、今回も、科学考証がどうなのか考えてみます。
しかし、実は監督・脚本を務めたアルフォンソ監督自身、「科学考証が厳密には正確ではない」ことを認めており、実際に宇宙にいる「感じ」があることにフォーカスをしたエンタメ作品であることは念頭に置くべきかもしれません。
今回参考にさせていただいた多くは「宇宙開発機構株式会社」、通称SEDという会社の情報になります。
科学考証的に良かった点
- 太陽電池パネルが新型のパネル
- ISSの形状がかなり正確
- 無重力空間における人間やモノの動きがかなり正確
バズ・オルドリン氏(アポロ11号の乗組員):
現実の宇宙空間にかなり近いものであることを認めたうえで、称賛
Reisman氏(3回宇宙遊泳を経験したことのあるNASAの宇宙飛行士):
今までのどの映画よりも忠実に再現
宇宙空間でヘルメットごしに見える地球の姿も本物そっくり
上記からも分かるように、宇宙空間を演出するという意味では、かなり完美なクオリティだったということになります。実際、素人目線ではホンモノの宇宙という感じしかしないはずです。
SEDも「宇宙空間での描写を描いた映画の中では間違いなくこの映画は一番良い出来です」とのことですので、その完成度はすごかったのです。
「噴射できすぎ」「オムツは?」「消火器w」
では、逆にどんなツッコミどころがあったのでしょうか。
・ロシアの人工衛星とハッブル宇宙望遠鏡(HST)、国際宇宙ステーション(ISS)の軌道はそれぞれが大きく異なっている(前述)
→ロシアの人工衛星の破片が、ISSへ到達することはない
※通信・放送衛星は静止軌道であり、低周回軌道ではない
※NASAはこの「連鎖的宇宙大災害」を許すことができなかったらしい…
・HSTの軌道からISSの軌道へ向かうのは、燃料不足でムリ
・船外活動ユニット(推進パック)が便利すぎる
→有人機動ユニット(MMU)は燃料が非常に少なく、映画のように気軽にあちこち飛び回れない(頑張っても噴射は2回くらいが限界だそう)
→無重力の宇宙空間を軟着陸用のジェットだけで一定方向に進むことは物理学的に不可能である
・ ISSの外部構造に宇宙服を着た状態で衝突すると、通常は宇宙服が損傷してそこで終わり
・宇宙服にはセルフレスキュー用の推進装置SAFER(Simplified Aid For EVA Rescue) が装着されているはず
・誤ってパラシュートを開いてしまうことはあり得ない
・ソユーズ宇宙船には予備パラシュートもある
・ハッチの開閉が速すぎる・ハッチは内開きの設計である
・消火器で軌道を変えて飛び移ることはできない
※消火器のシーンは、さすがに素人でもちょっと「え!?そんなことできるの!?」となりましたがww
などなど。。。
とまぁ、あくまでエンタメ作品なので、あまりツッコむのも野暮ですが、こうして科学的にどこまで正しいか検証していただけるのはありがたいですね!勉強になります。
魅力は「宇宙にいるような感覚」「孤独感」「生と死」にある
科学的にどうであれ、とにかくすごいのは、この映画の「あたかも宇宙にいるような錯覚」を観客に植え込ませた点、そして、「孤独感」「生命」「死」といったものを考えさせる店にあります。
実際、後半はライアン博士一人ですが、「生きるとは何か」を僕も考えてしまいました。
たとえば、吹き飛ばされたライアン博士にマットが助けに来なかった場合。
仮に酸素が無限大にあったとしても、それは「生きる」といえるのか。
誰とも関わることなく、ただひたらす地球文明と遠くなるだけ。
一生、孤独。
一生、無。
それでも、あなたは「自分は生きている」といえるのでしょうか。
もしかすると、人は、人から「忘れ去られた時」こそ「死」ともいえるのかもしれません。
それでは、今日はここで!
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