2004年公開ウィル・スミス主演のSF映画『アイ,ロボット』のネタバレ感想・考察で徹底解説!
実は続編の話が?アシモフの原作はsuggest程度?ウィンクするサニーはかわいいが、実は画期的な撮影技術?ヴィキの計画も交え、あらすじ要約してネタバレ考察!
15項目で徹底解説していきます!
いざ、SFの世界へ…!
アイ,ロボット のネタバレ感想・考察・徹底解説 (Ryo)
本日は、2004年公開のSF映画『アイ,ロボット』についてネタバレ徹底考察!
当時はかなり最先端の発想と技術だったという感想や評価が多いのではないでしょうか?
僕も当時は「ちょっと難しい」という感じでしたが、後々似た作品が多く出て、今では原点回帰という作品にも近いかもしれませんね!
最近、Facebookが社名をメタにしたことで話題になりましたが、メタバースやVR世界というのも、もしかすると近いのかも。SF作品からビジネスやイノベーションに繋げるというSFプロトタイピングという開発技法が一般化するのもすぐなのかもしれませんね。
この作品も、15年前の世界ですが、徐々に現代の生活と似てきているような気もします。
ということで、今回も考察していきます。
実は続編の話も?VIKIはなぜ暴走を?アシモフ原作『われはロボット』との共通点やかわいいサニーから観る機械と人間の共生、ラストの「丘に上にたつサニー」の意味などなど、、!!
以下の15項目で考察・解説していきます!
- 『われはロボット』×『ハードワイヤー』×『鋼鉄都市』
- ゴラム式からサニー式へ?画期的なCGIロボット!?
- かわいい!?サニーとスプナーの友情ドラマでもある!
- ロボット嫌いのスプナー!冒頭のコンバースには意味が!?
- 実はサイボーグだった!なぜ隠して生きているのか?
- U.S.ロボティクスは実在する会社!?ロゴも似せている?
- 「犯人は誰だ?」「ロボットVS人間?」を収束させる黒幕とは
- ロボット工学三原則とは?VIKIの計画は何だったのか?
- 人類に危害を及ぼさないようにする為に、人類を支配する。
- 自殺を装った”他殺”で誘導するってムズい気もするが…
- 機械にゴーストは生じるのか?夢をみるのか?
- サニーは「人間的なロボット」?夢をみるのか?
- サニーはVIKIのようになる?ラストの「丘」の意味とは
- サニーはどうして夢をみたのか?博士の仕業?自然に?
- 気になる続編は…実は『アイ,ロボット2』の話があった!?
『われはロボット』×『ハードワイヤー』×『鋼鉄都市』
さて、主演はSF映画大好きウィル・スミス。エイリアンと闘う『インデペンデンス・デイ』、ゾンビと闘う『アイ・アム・レジェンド』に続き、今回は人工知能、、、というわけですねw
監督は、宗教的なラストが少し話題を呼んだSF映画『ノウイング』のアレックス・プロヤス。オリジナルの脚本『ハードワイヤー(Hardwired)』というジェフ・ヴィンターのシナリオに、アイザック・アシモフの短編集『われはロボット』を取り入れてつくられています。もっというと、アシモフの『鋼鉄都市』とも似ています。まとめると以下の感じですね笑
- 『われはロボット』:ロボット工学三原則が登場する。
- 『ハードワイヤー』:ロボットが殺人を犯し、それに伴ってロボットの反乱が発生するというプロット。登場人物・企業名も同じ。
- 『鋼鉄都市』:人間の掲示とロボットがコンビを組む。
なので、よく「あのアイザック・アシモフの『われはロボット』の映画化だ!」みたいなレビューを観ますが、厳密には違うんですよね。原典はたしかにそうですが、クレジットも “suggesting”であり、あくまで物語の前提(premise)を担ったという印象でしょう。
海外の批評家サイトでは“loose adaptation of the Isaac Asimov”というコメントもあるので、あくまでゆるく取り入れており、大筋はエンターテインメントに寄せています。
ゴラム式からサニー式へ?画期的なCGIロボット!?
そんな話題作だったのもあり、この映画はアメリカでは大ヒットだったらしいです。
製作費1.2億ドル(100億円超え!!!)という巨額の予算を突っ込んで製作したSF映画ですが、興行収入は北米だけで1.45億ドルを超え、世界では3.47億ドルに到達しているので、かなり回収できているといえます。
内容は「人間とロボットの共生」がテーマであり、今ではよく見るようなSF設定かもしれませんが、この映画はどちらかというと「サスペンス」「友情ドラマ」という側面も強く、その辺が少し他の人工知能映画とは違うのかな?という気もします。
なぜかRotten Tomatoでは56%なので、少し低めですが、こういった近未来の「ちょっと現実味のない時代」設定では低いこともあるので、いい感じではないでしょうか。
そして、この映画は実は撮影という観点でも大きな影響を与えています。
もう15年前になるので、CG技術は少し古臭い感じもありますが、当時は画期的だったんですよね。
というのも、『ロード・オブ・ザ・リング』で使われていた従来のゴラム方式から撮影技術が変わったタイミングでもあるのです。
なにが違うかと言うと、「CG技術で作られたロボット」の撮影方法です。
以前は、俳優たちが誰も(ロボットが)いないところで演じ、後からCGで加えていました。しかし、この『アイ,ロボット』のサニーというロボットは、CGIキャラ役の俳優が実際に演じているのです。
今作では、アラン・テュディックという俳優が全身緑のスーツを着て、ウィル・スミスと一緒に演じ、後からグリーンバックと同じ要領でCGIのロボットに置き換えているのです。
しかし、ただ置き換えるだけではなく、サニーは全体的に細いので、そこは編集スキルでうまく埋め込みを行ったようです。この方式をとったものの、編集では10か月を要したそうです。大変ですね。。。
かわいい!?サニーとスプナーの友情ドラマでもある!
ただ、そう考えると、たしかに当時の技術にしてはサニーの表情が非常に人間ぽくて感心するんですよね。よく「かわいい」というコメントがありますが、確かにどこか愛嬌があるというか、無機質さが軽減しています。歩き方や走り方も、少し人間よりになっていて、親近感がわきますよね。
そんなサニーですが、結構印象的なのは、ウィンクするシーンではないでしょうか。勿論、撮影技術的にすごいな、というのもあるのですが、ロボットがウィンクするという発想が面白いですよね。なるほど、こうして人間らしさを演出するのか、と。
また、このサニーが結構大事なキャラクターでもあり、ウィル・スミス演じるスプナーとの「友情ドラマ」が観られます。ロボット嫌いのスプナー刑事は、最初は明らかにサニーのことを嫌っているのですが、段々と仲良くなっていくストーリーが良いんですよね。最後には、非言語的コミュニケーションの頷きやウィンクで意思疎通までできるという、発展ぶり。SF映画であると同時に、この部分が一般受けしやすい要素でもあるかもしれませんね。
ところで、あの全身白?透明?みたいな半透明の外見は、プロヤス監督のアイデアだそう。インタビューでは「そうだよ、I, RobotはiMacなのさ(笑)。」というほど。なるほど、「アイ」ロボットだけにアップル製品とかけているのか。。。(という意味で発言しているのかは知りませんがw)
出典:アイ,ロボット : 作品情報 – 映画.com
(C)2004 TWENTIETH CENTURY FOX
ロボット嫌いのスプナー!冒頭のコンバースには意味が!?
そんなサニーとの絆を深めていく主人公は、シカゴ市警のデル・スプナー刑事。ウィル・スミスにしては少し真面目?という感じでしょうか。いつももう少し砕けた雰囲気ですが、今回は警察ですからね笑
スプナーはロボット嫌い。これは映画冒頭で描かれる「交通事故で少女だけ溺れて死んでしまう」というシーンが由来しています。
スプナーは、交通事故でロボットの助けによって命を取り留めるものの、サラという少女を助けなかったロボットの確率的な行動に嫌悪感を抱いているのです。倫理観よりも確率でスプナーを選んだその価値判断が好きになれないことから、スプナーはロボット嫌いになったのです。
それもあってか、終始「昔のものが好き」というオーラを放っています。
冒頭から描かれるのも、今のアメリカでいかにもありそうな部屋で始まり、スティービーワンダーの曲を聞いてから、革ジャン着てコンバースをはいて出歩き、バイクに乗る。
近未来のSF要素は、後々出てくるものの、冒頭でスプナー刑事がいかなる人物かを語るシーンでは、ほとんど現代と変わらないものばかりなんですよね。これはキャラづくりのために意図的にそうしているのだろうと思います。
その後も「その靴いいね」みたいな感じで登場するコンバース。
これは、人間社会でつくりあげたファッションは、ロボットが登場するような近未来でも必要なんですよ~ということを暗示しているのではないでしょうか。
実はサイボーグだった!なぜ隠して生きているのか?
また、スプナーは実は左上半身がロボットであり、サイボーグ?ともいえる体。左手が義手なんですよね。これは中盤で、暴走したNS-5(Nestor Class 5)型との戦いのときに、さりげなく腕がマシン化していることで分かるのですが、彼は交通事故の時に手術したらしいのです。
しかし、ロボット嫌いである彼は、それを隠して生きています。
出典:アイ,ロボット – 作品 – Yahoo!映画
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同僚たちも誰も知らないですし、カルヴィン博士に見つかる時も義手?のスプレー缶も見つからないようにしています。自らの体の一部は機械、、、しかし、ロボット自体は嫌い、というちょっと複雑な気持ちでもあるのでしょうね。
物語は、サニーとスプナーをメインに描かれるのですが、本来はロボット心理学者のカルヴィン博士(ブリジット・モイナハン)とのお色気要素もあったようです。メインストーリーとの食い合わせが悪いことから、脚本の都合でカットされたとのこと。確かに、途中ちょっとそういうシーンありそうな雰囲気匂わせておきながら、以降まったく出てこなくなるんですよね笑 そういうことでしたか。。。
なにはともあれ、サイボーグであるゆえに、中盤の戦闘シーンはなかなか見ごたえがあります。ターミネーターのごとく固く頑丈なNS-5に対して互角にやりあうのも、右手の拳銃と左腕でメカのおかげでしょう。
U.S.ロボティクスは実在する会社!?ロゴも似せている?
さて、物語の舞台は、ロボットが一般生活に溶け込んでいる2035年のシカゴ。
冒頭から、街中で人と一緒にロボットが歩いているシーンはなかなか印象的です。最初に荷物を運んでいるロボットが走ったりしていますが、表情ひとつ変えずに小走りに走っているところなんかちょっと面白いですよね。
そんなロボットたちをつくっているのは、巨大ロボットメーカーのUSロボティクス社(U.S.R.)。U.S.R.は、Virtual Interactive Kinetic Intelligence(仮想動的対話型人工知能)、通称VIKIという中枢コンピューターを利用して、家庭用ロボットのアップデートを行っているのです。
ちなみに、この「U.S.ロボティクス」はシカゴ近郊のシャンバーグに実在する会社らしいですよ。勿論、参考元はこの映画ではなく、もっと以前のアシモフのU.S.ロボットにちなんでいます。なので、映画で登場するロゴなども、実在するこの会社に似せているらしいです。なるほど、面白いですね!
そんなある日、スプナーの恩人でもあるアルフレッド・ラニング博士(ジェームズ・クロムウェル)が謎の死を遂げたとスプナーに連絡が入ります。博士が飛び降りたとされる部屋に行って調査しているところ、NS-5型ロボットのサニーが現われ、スプナーはサニーが博士を殺したんじゃないかって考えます。ここからサスペンスが始まっていきます。
観客は、「犯人は誰だ?」という視線と、「ロボットが自我を持っているの?」という二つの側面で画面に惹かれていきます。
出典:アイ,ロボット – 作品 – Yahoo!映画
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「犯人は誰だ?」「ロボットVS人間?」を収束させる黒幕とは
犯人については、
ロボットたちが人間社会へ反乱を開始したのか!?
↓
あれ、違うのか。。。!?
↓
・社長のローレンス・ロバートソン(ブルース・グリーンウッド)か?
こいつが、USRで社会を支配してやろうっていう陰謀で動いているのか!
↓
あれ、社長死んどる!?!?
というミスリードに、スプナーと共に騙されていきます。
しかし、ネタバレ結論でいうと、、、
実はすべての首謀者はマザーコンピューターのVIKIだったのです!
なーぬーー!!?
どうして、VIKIが黒幕!?
厳密にいうと、殺したのはサニーですが、
博士によって命令されたサニーが博士を殺したのです。(=自殺?)
この事件をきっかけに「VIKIの計画をスプナーに知らせるため」、
敢えてサニーに自分を殺させたのです。
では、VIKIの計画って何なの?ということですが、
その前にアシモフの「ロボット工学三原則」をおさらい。
ロボット工学三原則とは?VIKIの計画は何だったのか?
これは、「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を目的とする3つの原則です。
第一条: ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条: ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条: ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのない限り、自己を守らなければならない。
結論、VIKIは三原則を拡大解釈し、「人間に危害を加えてはならない」という第1条を「人間をなんとしても守り抜くためには、我々ロボットが導き守り抜く必要がある。その為には、人間がロボットに支配される社会にしなくてはならん!」と捉えるようになったのです。
なるほど、、、という感じです。
というのも、VIKIは戦争や環境汚染によって「人類は自滅する」と予測しています。「自滅」を守るためには、ロボットのコントロールが必要じゃないか、という理屈なのです。うぅむ、確かにロボットの方が必ず合理性に基づいた判断ができるので、意味もなく互いに殺しあったり、自らの環境を破壊していくことを止めることが出来そうですよね。
なので、ヴィキからしたら、第1条の「その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない」を忠実に守っただけで、「ロボットにも権利を!」みたいな人間的な意思が突如宿っているわけではないのです。あくまで人間(人類)に危害を加える「自滅」という道を防ぐため。ここが、また科学的というか合理的で良いですよね。
出典:アイ,ロボット – 作品 – Yahoo!映画
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人類に危害を及ぼさないようにする為に、人類を支配する。
それこそ、事故で助かったスプナーもそうです。「少女」と「中年男性」を観たとき、人間だったら「少女」を優先してしまうかもしれません。それは、なんとなく「少女が死んだほうがかわいそう」という主観に基づく判断を行っているからです。
しかし、その事故状況や救出方法を考えて、確率的に命を救うことを計算したとき、答えが中年男性となれば、それが「人間社会を守り抜く」為には、正しい選択でもあるのです。少女の遺族への気持ちや少女というステータスへの先入観は、所詮は人間社会が気付いた概念であり、人間社会を守り抜くという第1目標があるならば、そんなものは「捨てるべき」なのです。
単なる人間VSロボット、ではなく、なかなかに深いテーマが一貫して描かれているんですよね。
もはや倫理学でいう、エートス・パトスあたりの議論になりそうです笑
ラニング博士は、このVIKIの計画を察していました。なので、NS-5型では、三原則プログラムを書き替えて、VIKIが人類制圧のシナリオを描いていることにも気付いていたのです。
しかし、VIKIに常に監視されているラニング博士は、自殺すらもできない状態。そこで、サニーにだけ密かに三原則プログラムを取り除き、自分を殺させた、というわけです。
※中盤で、スプナーがラニング博士の家を訪問したときに、天井あたりに監視レーザーみたいなのがありましたよね。あれがVIKIの監視下にある、という意味らしいです。
スプナーが詮索するものだから、突然ブルドーザーみたいなもので家を崩壊し始めますが、あやつ、ターミネーターにも出てくるのと少し似ている…のは気のせい!?
自殺を装った”他殺”で誘導するってムズい気もするが…
ただし、ここは個人的な見解ですが、いくら四六時中監視下にある、とはいえ、「自分が死ぬことでスプナーに真相を掴んでもらう」みたいな遠回りな手段を選ぶ必要はあったのかな~(笑)とは思ってしまいます。博士は、ロボット工学の第一人者なのですから、VIKIを一時的にコントロールできる状態にしたり、もしくは、最後にスプナーたちが行ったように中枢を物理的にシャットアウトさせるみたいな手もあったのではないかな、とも思ってしまいます。
「博士の自殺=VIKIが暴れようとしている!」がもう少し分かりやすければ、まだ納得できるのですが、NS-5型ロボットのサニーに殺させて、そのサニーの手伝いによって、VIKIが人類の制圧を考えている、とまで計算させるのは、少し難しすぎるような気もします笑
アップデート加えてNS-5がもうすぐ街に出るというタイムリミットを考えればなおさら。
スプナー刑事がロボット嫌いであることから、確かにそういったストーリーを描くのも分かりますが、スプナーに電話して「VIKIが危ないんだ、助けてくれ!」って叫んでも良い気がします。VIKIが殺すとしても即攻撃できないと思いますし、どうせ死んでも良いと思っていたならなおさら…
VIKIがあまりに優秀すぎて、そういうことすら考えられないほど思考が圧迫されていたんですかね。
シンプルに考える脳みそすら奪われていた、ということなのかもしれません。。
機械にゴーストは生じるのか?夢をみるのか?
とまぁ、そんなツッコミは良いとして、博士が興味深い発言をしてます。
それは、「機械に魂(ゴースト)は生じるのか?」という言葉。
『機械の中の幽霊(The Ghost in the Machine)』という、アーサー・ケストラーの哲学心理学に関する本を参考にしているんですよね。この「ゴースト」という表現は、『ゴースト・イン・ザ・シェル』として世界でも人気になった日本のSFアニメ『攻殻機動隊』にも使われています。
この映画も、機械の中に魂(ゴースト)は存在しうるの?という点がテーゼのようです。サニーは、三原則が働かないロボットなので、ある意味で「魂」があるともいえるかもしれません。制御された原則によって動く機械、ではないからです。
VIKIも同じく、三原則を基に動いていたといえ、「人類それ自体が危険」だからこそ、今回のような革命行動に出たのは、ある意味では「魂を持った」とも言えるのでしょうか?
自滅する可能性を計算して導かれた行動をしているとはいえ、自分で「考えている」ような捉え方もできますよね。なにをもって「魂」というのか、色々考えてしまいますよね。
出典:アイ,ロボット – 作品 – Yahoo!映画
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AIやロボット系の映画では、必ず参考にされているであろうフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』では、この「魂」という表現にある意味近いものとして、「夢」をつかっています。
夢をみることがあれば、それは人間ではないのか?という問いかけですね。
実際、『アイ,ロボット』でもサニーは実際に夢を観ていたり、「いつか夢を見る」というフレーズが出ていたり、「夢をみるかどうか」も一つの線引きになるということです。
サニーは「人間的なロボット」?夢をみるのか?
さて、それでは、そんな「夢」について、サニーの今後を考えていきます。
彼は、この後、どのように行動するのでしょうか。
機械として?人間として?それとも、第三の生命体として?
サニーは、最初は理知的な機械っぽく振る舞っているのですが、人間社会に溶け込んでいくなかで、表情を覚えたり、コミュニケーションも息が合っていきます。それは、エートス(行為の反復によって獲得する持続的な性格・習性)ともいえるのかもしれません。サニーは、人間に近づいているわけですよね。
実際、ラストの中枢VIKIを破壊する場面で、カルヴィンを救うか、ナノロボットをVIKIにぶち込むかで悩むシーンがありますが、スプナーの指示に従ってカルヴィンを救うという選択を取ります。
確率論や合理性を考えれば、VIKI破壊が優先されるべきでしょう。
つまり、三原則を忠実に従う「機械的な」ロボットではないのです。
ここでカルヴィンを救ったというのは「人間的な」ロボットなのです。
サニーはVIKIのようになる?ラストの「丘」の意味とは
この背景を踏まえて、最後の「夢」や「丘」のシーンの解釈を考えてみます。
ここは、色々気になると同時に、レビューによっては意見が分かれるようですね。
出典:アイ,ロボット – 作品 – Yahoo!映画
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ラスト、サニーは丘の上に立っており、他のNS-5型ロボットたちはサニーを見上げて立ち止まっています。この光景が意味するものとは何でしょうか?
元々は、サニーが夢を観た夢であって、サニーはスプナーに「この丘の上に立っているのは貴方です」みたいなことを言っています。つまり、サニーはスプナーがNS-5たちの解放を行うという夢を観て、実際にスプナーはある意味でNS-5たちを救ったので合っていたとも読み取れます。
しかし、映画のラストで丘の上に立っているのは、サニー。
ということは、スプナーであるというのは嘘で、本当はサニーなのではないか、という解釈が出てきます。
実際、監督インタビューではこのように発言しています。
砂漠に立つ救世主というのはモーゼでもあり、キリストでもあり、マホメットでもある。サニーがロボットの民を善導していくことを暗示している
サニーがロボットの民を導いていくことは監督からも示唆されているということです。
ということは、いずれ、サニーがVIKIのように考え始めて「人間自体が危険だから、俺たちで人間を守ってあげよう!コントロール下に置こう!」と考え始める可能性もある、ということではないでしょうか?
NS-5たちは、これまで通り、人間に忠実に従う家庭用ロボットとして共存するのでしょうか。
それとも、サニーの行動を見て、三原則に基づきながら「僕らもサニーのようになるべきだ」と考えて支配構造を変える存在になるのでしょうか?
この辺は、なかなかに面白い考察ではないでしょうか。
サニーはどうして夢をみたのか?博士の仕業?自然に?
ちなみに、サニー自身が、夢をみた理由も気になりますよね。
ラニング博士が故意に組み込んだのでしょうか。
だとしたら、その夢で「救世主=スプナーだけでイイ。だからサニー、お前はVIKIみたいになるなよ」というメッセージだったのでしょうか。
それとも、サニーは人間っぽくなった結果、
人間のように自然と夢をみるような生命体になったのでしょうか。
そんなことがあるのか?と思いつつも、「人間への安全性」の調整として夢をみるようになった、とか、いろいろ考えることもできますからね。
もしくは、サニーが「自分と同じほかのNS-5が人間の手下なんておかしい。人間は危険だ」と判断して、NS-5や廃棄ロボットを率いて、人類との全面戦争になるシナリオだったりして。そうしたら、ターミネーターみたいな世界になっちゃいますね。うほほ。
個人的には、色々考察の余地を与えてくれる、素晴らしいプロットとラストだったなと思います。
気になる続編は…実は『アイ,ロボット2』の話があった!?
さて、そんな続きが気になる今作ですが、2007年に続編の可能性が浮上したことがありました。ロナルド・D・ムーアという、『スタートレック』シリーズなどを手掛けている方が脚本を書いている?みたいな話になりましたが、以後、特になにもニュース無し。
むむっ!?!?
※ちなみに、ロナルド・D・ムーアは2017年に『フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ』というSFドラマシリーズを企画しています。人工知能やロボットを題材とした映画へのモチベーションは、こちらへ移行してしまったのでしょうか。。笑
以下の記事にも書いてありますが、アレックス・プロヤス監督は、20世紀フォックスと「miserable experience」をしたため、続編は書かないそうです。不愉快な、ひどい経験をしたということでしょう。。。”I, Robot 2 Probably Won’t Happen”とまで断言されておるw
I, Robot 2 Updates: Is The Will Smith Sequel Happening?
『アイ,ロボット2』なり、続編シリーズなり、続きがあれば気になりますが、色々と考察の余地があるエンディングも面白いと思います。この映画はこの単品でも十分かもしれませんね。
そして、公開当時の2004年から15年。舞台設定の2035年も、シンギュラリティも近づいてきて、いよいよロボットとの共生も身近になってくるかもしれません。実際、多くの分野でロボットやドローンが登場してきていますからね。工場や企業での利用のほか、配達やサービスなど、どんどん一般市民にも溶け込んできそうです。
今後、このような映画になるのか、どうなるのか。
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