1961年公開のSFパニック映画『SF巨大生物の島(Mysterious Island)』のネタバレ感想で徹底考察・解説!
巨匠レイ・ハリーハウゼン×原作ジュール・ヴェルヌ『神秘の島』は『海底二万里』の続編?
1976年の『巨大ネズミの襲撃』は別物!?徹底考察!
いざ、SFの世界へ…!
SF巨大生物の島 のネタバレ感想・考察・徹底解説 (Ryo)
本日は、1961年公開のSFパニックムービー『SF巨大生物の島』についてネタバレ徹底考察!
それでは、本日は10項目で徹底考察です!
ジュール・ヴェルヌ×レイ・ハリーハウゼンの特撮古典SF
1961年なので、既に60年以上も前の映画。
古典SF作品の部類に入るのではないでしょうか。
日本では初代ウルトラマンが66年。
この映画は、特撮技術という意味では当時最先端だったでしょう。
今見るとさすがに見劣りしますが、これはこれで良い味です。
CGなんて考えられたこともなかったような時代の、ダイナメーションを利用した画期的な作品だったのです。
監督はサイ・エンドフィールド、そして巨匠レイ・ハリーハウゼンが視覚効果を担当しています。
レイ・ハリーハウゼンは、後にゴジラ、ピクサー、『スター・ウォーズ』、『パシフィック・リム』などにも影響を与えた偉大なる特撮映画監督です。この映画でもストップモーション・アニメーションによる人形アニメを駆使してつくりあげています。有名な作品としては、『シンバッド七回目の航海』(1958年)や『恐竜100万年』(1966年)、『タイタンの戦い』(1981年)などがあります。
原作者もこれまた有名で、SFの父と呼ばれるジュール・ヴェルヌ。
『タイム・マシン』や『宇宙戦争』で有名なハーバート・ジョージ・ウェルズと共にSFの開祖として知られています。
ジュール・ヴェルヌは、日本ではわりと子供の頃に童話として読む作品が多いかもしれません。本作品の原作である『神秘の島』をはじめ、『海底二万里』『十五少年漂流記』『地底旅行』など。その他にも、今のSF映画の原点となるような奇想天外なSF小説を執筆した方です。僕も子供の頃に読んだ記憶があります。
出演者は、マイケル・クレイグ、ジョーン・グリーンウッド、マイケル・カラン。
音楽は、アルフレッド・ヒッチコック監督作品を手掛けたり、『悪魔の金』でアカデミー作曲賞を受賞したバーナード・ハーマン。この映画のレビューを見ると、バーナード・ハーマンを絶賛する方が多い印象でした。
『海底二万里』の後日談?ディズニー映画と関係はある?
さて、『神秘の島』は何度か映像化されていますし、ヴェルヌ作品の中での時系列やどこの続編なのか、似たようなタイトルがあるぞ、みたいな話がよくあるので、混同しがちです。
まず、時系列ですが、原作の『神秘の島(Mysterious Island)』は『海底二万里』の後日談です。
そして、この映画『SF巨大生物の島(Mysterious Island)』も、『海底二万里』の後日談とされています。なのでネモ船長はどちらにも登場します。
しかし、その『海底二万里』の映画化としては、ウォルト・ディズニーによる1954年の『海底二万哩(海底2万マイル)』がありますが、こちらは本作と何の関係もありません。原作も本作の中でも『海底二万里』の後日談とされているのに、『海底二万哩』(1954)とは何も関係ないという、ちょっと面倒なことになっています笑
※「里」と「哩」という、微妙に変えるっていうのもわかりづらいわ!w
あと、東京ディズニーシーのテーマポートに「ミステリアスアイランド」があるんですよね。まるで、『SF巨大生物の島(Mysterious Island)』もディズニー系の映画というか、『海底2万マイル』の続編なのかと思う方もいらっしゃると思うのですが、関係ありません。これは、『海底二万里』と『神秘の島』どちらにも登場するネモ船長、彼の秘密基地という設定なのです。
H・G・ウェルズの『巨大生物の島』と似ているのは偶然!?w
そして、もう一つ「タイトルが似てるぞ」事件は(笑)、H・G・ウェルズの『神々の糧』の映画化した作品『巨大生物の島』(1976)です。
なんで、こんなややこしいことするんだよ!!www
って感じですよね。
※『神々の糧』ってなんか字面が『神秘の島』っぽいしw
よりによって、なんでSFの父二人の映画化作品を似た名前にするねん笑
タイトル付けた人の気が知れんw
しかし、その後、名前が似ているせいか、『新巨大生物の島』という題名に変わったと思えば、『巨大ネズミの襲撃』というタイトルに変更。原作へのリスペクトを感じない、ちょっとお粗末すぎる展開ですねw
とほほ、、、勘弁してくれww
さて、ややこしい話はこれくらいにして、この映画は超古典的有名作品ということもあり、多くの作品に影響を与えているといいます。
どこかでみた展開!?多くの映画に影響を与えた作品!
非常に有名なものとして、ピクサーのCGアニメ映画『カールじいさんの空飛ぶ家』がありますが、これはオマージュが多いです。
気球で飛び立ったと思えば、謎に包まれた島に漂着します。
そして、そこには必ず誰か生き残りがいて、この島の秘密を握っているわけです。
島の動物を実験にしているなんてストーリーもそっくりです。
ちなみに、動物実験は置いておいて、このようなストーリーは、他にもありますよね。
アメリカで大ヒットしたドラマ『LOST』も、無人島(とされた場所)に漂着して、「誰かいるんじゃね?」みたいなところがシーズン1のドキドキ感を駆り立てています。特にこの映画でいう冒頭の「焚火があるぞ?」とか、ミステリアスにする作風が似ています。
モンスターバースシリーズのひとつである『キングコング: 髑髏島の巨神』の展開も少し似ています。あれは気球ではなくヘリコプターですが、謎の島に不時着して、モンスターと遭遇して、そして誰か島にいるぞ、、、みたいな流れはよく似ています。
サバイバル生活するという意味では、『ロビンソン・クルーソー』や『キャストアウェイ』とも似ていますが、作風は結構違いますよね。「孤独とは何か?」みたいなところを徹底的に追求した『キャストアウェイ』(個人的にあれは名作)と比較して、本作品は終始仲間がいますし、結局誰も死にません笑
あくまで娯楽作品という点は当時の時代背景もあるのでしょう。
「まずは山に登ってこの島の地理を確認しよう」みたいなところも、よくある流れですよね。ただし、背景の山が、明らかにマット・ペインティングの山で、かなりチャチですw
どう見ても「絵」なので、ここはもう少し良い手もあったのでは、、、
まず必要になることは、指揮系統の明確化
さて、この映画はタイトルの通り「巨大生物」が沢山出てきます。
※原作では一切登場しませんw
その序章としてまずは巨大な牡蠣が登場。
「これ、カキなんか!?!」って思うくらいデカいので、最初自分が知らない生き物と思っていたら、メンバーたちが喜んで食べている。
おい、抵抗ないのかよ!!w
という感じですが、空腹は最大の調味料ということで、むさぼりまくり。
その後、ちょっと興味深いシーンがあります。「リーダーは誰だ?」みたいなところです。この物語は、南北戦争の最中、南軍に囚われていた北軍のハーディング大尉らが気球で脱走したところから始まります。しかし、その中には操縦士として南軍の人間もおり、指揮系統が明確にはありません。
そこで、「なんでお前のいうこときかなきゃいけないのか」みたいな会話が最初にあるのですが、これは人間の普遍的なところをうまく出したシーンだなと思いました。
ジュール・ヴェルヌの作品では『十五少年漂流記』でも似たシーンがありますが、非現実的な空間に追いやられた人間たちというのは、その後の方針を決めるときに必ず「指揮系統」を明確にする必要性が生じます。
なぜなら「右行くぞ!」と「左行くぞ!」という意見がある時に、「右だ!」って言える人がいないと喧嘩になってしまうからです。喧嘩すると皆助かりません。
これは去年公開となった『ONODA 一万夜を越えて』という実話に基づいたサバイバル映画でも同じであり、また、人間社会をうまく描いているSFパニック映画『ミスト』でも同様です。どちらもそれが原因で内輪揉めを始めます。
この点は非常にリアリティある描写なのですが、本作はあくまで娯楽作品なので、ここのパートはさらっと流されてしまい、皆仲良く暮らし始めますw
どうせ原作から大幅改変しているので、もうちょっと掘り下げても面白かったのかなと思いますがね笑
巨大カニをひっくり返して満腹!皆余裕ありすぎw
さて、ハーディングたちはアメリカに戻るため、船をつくろうと木を切り落としたり、それまでの拠点をつくろうとしたりしていますが、突如巨大なカニが現れます。
デタぁぁーーーーカニぃ!!!
なぜかモンスターパニックものではほぼほぼ出てくるカニw
強力なハサミといい、沢山の足がちょっと気持ち悪い点といい、なにかとつけて登場回数がおおいですよねw(カマキリが代わりになることも)
黒人が挟まれてしまったので、「ああ、こいつ終わりだな!」って思うのですが、みんなでうまいかんじにひっくりかえして、あれよ、救出成功!
そんな簡単にひっくり返せるんかーーーい!!!www
しかも、後ろにいい感じに間欠泉があり、そこで茹で上がる!ww
うまそうにたいらげる男たち。気分が高揚して踊り始める始末。
って、もっと驚けぇえ~~!!ww
あんな巨大なモンスター出たらみんな足がすくむのが当たり前ですし、
もうちょっと「なんでこんなのがいるんだ」みたいな悲観的な考えをするべきw
戦時中だったらそのくらいの思考回路持っているはずなんだがw
というより、そういうシーンがあった方が面白いやん!
銃撃!巨大鳥を打ったのは誰だったのか?
と考えているうちに、女性二人が漂着!
どちらも綺麗なドレスを着ており、これは明らかに女性キャラ不足で追加したくなったような描写w
ここで女性を奪うかたちで喧嘩になるのかと思いきや、皆超平和に過ごし始める!
めちゃ仲いいやんけww
というのは置いておいて、ほかにも漂着物が来ます。
なぜか大工道具や武器なども入っています。
ロビンソン・クルーソーの本も!!
これはまた焚火と続けて、「誰かいるのか?」「近くに人がいる!?」感があって好きです。
この後見つかる、誰かいたような洞窟にしろ、巨大鳥が何者かに銃撃されるところにしろ、なにかつけてミステリアスアイランドなところは良いですよね。
※あの鳥を撃ち殺したのはネモ船長だったんですよね!
巨大な鳥の襲撃シーン、こちらはちょっとコミカル?演出な気も。。。
音楽もどちらかというと軽快で、ぴょんぴょん跳ねてるあたりみると、あまり深刻なパニック演出という感じしませんw
うーん、レイ・ハリーハウゼンだったらもう少しスリリングなクリーチャーもつくれそうなのだが。。
巨大蜂の巣の下には、謎の潜水艦!
次に登場するのは、恋に落ちたハーバートとエレナが巨大蜂の巣に逃げ込んだところで登場する5mくらいの蜂です。
最後に登場する巨大オウムガイも含めて、個人的には今回はこの蜂が一番モンスター感があって良かったかなと思います。人間を巣の中に閉じ込めようとしたり(蜂密で窒息死!?)、何匹も登場したり、2人を追って巣の中を這い進むシーンなど、なかなか良いではないですかw
そんなころ、浜辺では海賊が現れて、ハーディングたちは銃撃戦をしているのですが、ハーバートとエレナは、巣から脱出した後、地底へ転がり込んでしまい、謎の潜水艦を発見!
それは、8年前にメキシコ沖で撃沈されたはずのノーチラス号。
うお、誰かおるやん!ってことが確定しますが、船の中は誰もおらず。
忽然と姿を消した感があり、これもいいですね。まるでマリー・セレスト号。
しばらく中を探索した二人ですが、外に脱出すると、海賊船を爆沈したネモ船長がついに登場!こちらへやってきます。最初はシルエットだけで宇宙人?らしいのですが、段々近づいてくると、なにやら巨大な巻貝でつくった潜水服を着ています。
なんじゃこれ!ww
当時は当時といえ、ちょっと見た目のデザインがダサイですよねwww
ネモ船長。。。かわいそうw
巨大化実験=食糧問題を解決して世界を平和にする為だった!
そんなネモ船長ですが、皆をノーチラス号に招待すると、自分の目的や島の真実を話し始めます。
実はネモ船長は、食糧問題を解決するために、生物の巨大化実験を行っていたのです。これで食料の争いがなくなれば、戦争はなくなるだろうと考えていたのです。
ネモ船長、平和主義者だったわけでわけですね。
同時に、火山の噴火が数日以内に起きることも伝え、それまでに島から脱出しないと消滅することも分かります。
しかし、実際はネモ船長の予想よりも早く噴火が起きてしまいます。
これは脱出不可能か、、、と思われたそのとき、ハーディングが思いつきます。
それは、海賊船に空気を送り込んで浮上させるという計画です。
そう、ここにきて冒頭で意外と長い尺をつかって描かれた気球のシーンの布石が回収されるわけですね!ここで繋がってくるとは!!
ネモ船長はノーチラス号から空気を送り込み、ハーディングたちは潜水服で海賊船へ。
しかし、途中で巨大オウムガイが現われ、ピンチ!!
原作と同じく最後は死ぬネモ船長
とおもいきや、このオウムガイも、なんかそんなに強くなかった笑
登場シーン数分ですし、もう少し戦いがあれば、、というところでしたね。
ラスボスなのに迫力がちょっと汗
空気を送りこんで実際に浮上し始めるのですが、あんなに重そうな船でも浮くんですかね。
水が漏れて入ってきそうな気もしますが。。。
任務を終えたネモ船長もいざ脱出!
というところで、噴火によって地底が落盤。
ノーチラス号ごと潰されてしまい、死んでしまうという。。
原作では、遺言を残して死ぬので、本作品も同様にちゃんと最後は死ぬという点は踏襲しているようですw
ということで、ネモ船長の平和への夢を胸に、アメリカに変える一行。
ここでエンドクレジットになります。
この映画、非常にシンプルでありながら、特撮技術といい、島でのサバイバル生活といい、モンスターパニックといい、後世の映画に大きな影響をもたらしたのはいうまでもないでしょう。
ということで、本日は珍しく、古典作品の解説でした。
それではまた!
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