面白いorひどい?
2016年公開のSF映画『パッセンジャー』をネタバレ感想・評価で徹底考察&解説!
オリジナル版ではラストに子供が?
バーテンダーが秘密を破ったのはなぜ?
事故の原因は企業か?オーロラの最後は選択はあり?
批評家の評価も含め解説!
いざ、SFの世界へ…!
パッセンジャー のネタバレ感想・考察・徹底解説 (Ryo)
本日は、2016年公開の『パッセンジャー』(原題: Passengers)をネタバレ徹底考察!
11項目で徹底的に解説します!!!
\31日間無料!いますぐ見れる!/
※動画視聴なら、U-NEXTがお勧め! 『パッセンジャー』も配信中!
クリス・プラット×ジェニファー・ローレンスの演技はさすが
監督は、モルテン・ティルドゥム。
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』で有名になった監督ですね。
脚本はジョン・スペイツ。彼は、SF映画では『プロメテウス』や『DUNE/デューン 砂の惑星』の脚本を手掛けています。
主演俳優は、クリス・プラット。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズや『マグニフィセント・セブン』、2022年完結編を向かえる『ジュラシック・ワールド』シリーズにも出演しており、ハリウッドスターの仲間入りを果たしています。
女優さんは、『X-MEN』シリーズ、『ハンガー・ゲーム』シリーズにも出演しているジェニファー・ローレンスですね。サービスカットが多いと当時話題になりました笑
ガス・マンキューゾを演じるのは、ローレンス・フィッシュバーン。もう彼の顔を見たらすぐに『マトリックス』のモーフィアスが出てきてしまうのは自分だけでしょうか。
ほぼほぼクリス・プラットとジェニファー・ローレンスのわけですが、二人の演技はとても惹かれるものがありました。ストーリー自体はこの後解説しますが、ちょっと不評ポイントといわれる点があり、そのせいでレビューは賛否両論に分かれているようです。
『オデッセイ』を期待したら…SF映画ではなく恋愛映画だった
まず、この映画はザ・SF映画ではないです。
どちらかというと恋愛映画ですよね。
あらすじだけみると、宇宙にただ一人取り残された男がなんとか生き延びる『オデッセイ』みたいなお話に感じますが、全然そんなことはありません笑
なので、SF映画だと思って見たら「あれ、なんか違うぞ。。。」となる可能性が大ですねw
(予告編をみれば大体ネタバレっぽい感じなっていますが。。)
ただセットはとても綺麗だと思いました。
第89回アカデミー賞の作曲賞、美術賞にもノミネートされています。
冬眠室のシーンなど、CGではなく大きなセットが組まれているというのですから、すごいですよね。2か月以上かけて作られたみたいです。
あと、よく似た映画に、アン・ハサウェイ主演の『パッセンジャーズ』がありますが、まったく別ものの映画ですw 複数形の違いがあるのか?と思ったら、クリス・プラットの方も原題はPassengers。。。間際らしすぎる笑
危機対策が甘すぎないか?ジムを責める前にこの会社責めようw
さて、一つ目の疑問は、「宇宙船、もう少し危機管理対策したほうがよくない?」という点です。
人類の新しい惑星「ホームステッド2」へ約120年かけて向かう超大型宇宙船アヴァロン号。乗客約5,000人とクルー258人を乗せていますが、その自動航行の途中で、ジム(クリス・プラット)の冬眠ポッドが故障してしまいます。
なんかキャッチコピー的には「理由がある!」みたいな感じでしたが、ただの偶然ですw
そしてよく考えると、そもそもこの宇宙船、こういったケースが生まれるのも良くないですし、いざというときのフェールセーフ対策が甘すぎる気がしますよね。
小惑星帯に通過して故障してしまったみたいですが、ポッドのみならず宇宙船まるごと破壊されるくらいの一大事になってしまっているわけです。
これ、逆にジムが起きなかったらみんな死んでるやんってことですw(
2016 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
ホームステッド社がちゃんとした会社だったら、小惑星帯を事前に感知して、それを避ける航路を取るとか、仮に通過するならば、その間だけ強力シールドみたいなのを展開するとか、なにか講じないといけないですよね。小惑星帯は突然発生したわけじゃあるまいし。
そう考えると、この映画でよく不評とされる「ジムが許せない」という感想自体、前提がおかしい話です。なぜなら、ジムが起きた理由はもっと「許せない」はずだからです。。。
55年かかるメッセ―ジ?バーテンダーが起動している理由とは…
開始早々に目覚めたジム。映画は、一人でどう生き抜くかを臨場感もって伝えるかと思いきや、コミカルに現状のどうしようもなさを伝えていきます。ここはなんだか使い古された展開を逆に利用してくれた感じがして良かったです。
例えば、カスタマーサポートが届くのに55年かかるとか。どう考えても、実用的じゃないし(実際それくらいかかるのはわかりますが)、一体どんな時に使うためのものなんだ?と突っ込みたくなりますが、これはほぼネタでしょうねw
また、アクセス権を持たないジムでは入れない場所がありますが、あの手この手でなんとかこじ開けようとします。いずれも失敗に終わりますが、どんだけ試したんだってくらいに開けようとしていましたね。
バーテンダー・アンドロイドのアーサー(マイケル・シーン)もちょっと場を和ますようなキャラクターです。そもそも、120年間も航行しているんだから、その間にバーテンダーが起動している意味はまったくナンセンスです。まるで誰か起きてきたら対応できるように準備してあるようで不自然ですよねw
スイートルームで寝たり、バスケットボールやったり、宇宙遊泳をしたり。とにかく自由に宇宙船を独占している前半パートはなんだか「これはやばいな」というより「ちょっと楽しそうじゃん」って思われる作風になっています。
しかし1年たって、ジムは自殺を考えるほどに憂鬱になってしまいます。宇宙服を着ないまま外扉のスイッチを押そうとするシーンですね。彼の気持ちもちょっと分かってしまう心痛い描写でした。
2016 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
殺人に等しいジムの犯罪行為は許されない?人間は弱い生き物
この映画、ここから倫理的な映画になっていきます。
それは、冬眠ポッドで眠る美女オーロラを見てから、彼女を起こしてしまおうかと葛藤するシーンが続くからです。
ジムも普通の人間なので、すぐに開けようという決心はつきません。開けたら、彼女の人生を奪ってしまうという「殺人」に等しいからです。
アーサーと会話していくことを重ねる中、遂に彼は禁断の手を講じてしまいます。
オーロラはジムによって目覚めてしまったのです。
2016 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
レストランでデートしたり、恒星「アークトゥルス」で重力ターンをみたり、宇宙服で遊泳したり、二人は蜜月の時を過ごし、ジムはプロポーズを考えます。
※ジム、なんかずっとつくってるから冬眠ポッドでもつくっているのかと思ったら、プロポーズ用にロボットつくっていただけだったw
しかし、その直前、アーサーが「秘密はない」いうジムの言葉を聞いて、ぽろっと言ってしまうのです。
最悪の真相を知ってしまったオーロラ。
これにより二人は喧嘩(絶縁?)状態となります。
オーロラ側の憎しみもよくわかりますね。。。
ジムは植物をつくったり、償いの気持ちを伝えますが、通じず。。それはそうですね。
もし皆さんがジムの立場だったらどうする?
さて、この物語の大きなテーマはここでしょう。
ジムの取った行動は許されるべきことではありません。
しかし、もし皆さんがジムの立場だったらどうするか?という点。
残りの寿命、60年か70年かずっと一人で生きていくことはできるでしょうか?
目の前のボタンひとつで温もりのある会話相手ができるのであれば、
バレないリスクに賭けてパンドラの箱を開けてしまうのは、
意外とあり得る行為ではないでしょうか?
人間は非常に弱い生き物なのです。
本当にジムの立場だったら、どうしますか?
2016 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
善悪や正義は、状況や立場によって変わるもの
ジムの行動が良い悪いは誰でも分かります。
ただし、「良い悪い」や「正義」というのは、自分が経験したことないような「状況」や「立場」によって、今思っている判断軸と真逆に変わることもあるのです。
自分だったらどうするのか、真剣に考えてみると、意外とジムの気持ちも理解できるかもしれません。
そういう意味で、この中盤までのパートは非常に倫理的というか、なにか問いかけるものがあり好きですね。
2016 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
後にガスが
「ひどい話だが、溺れる者は藁をもつかむのだ」
と言っています。
これは結構真理なのではないでしょうか。
ちなみにヒロインの「オーロラ」は、言うまでもなく『眠れる森の美女(眠り姫)』のオーロラ姫です。この映画は、他にも『アダムとイヴ』、『ノアの方舟』といったお話とも通じています。
重力ロスのシーンはスゴイ!(プールシーンは何回…)
そんな喧嘩状態の二人のほかに、甲板長のガス(ローレンス・フィッシュバーン)が突如登場。最初いきなり出てくるので、なにかの幽霊か、時空を飛んだとか、そういうトリッキーな展開と思いましたが、ただポッドが故障しただけでしたww
ガスは、アヴァロン号への全アクセスが可能(たまたまいいやつ起きたなw)なので、船のことを調べると、恒常性維持機能が停止寸前にあるとのこと。実は2年前の小惑星との衝突の影響で、核融合炉が機能停止寸前にあるというのです。
このままでは5,000人の乗客が死んでしまう!
ここからは、さきほどの倫理観はどこふく風で、アクション映画の道を突っ走り始めます。
まずすごいのはプールのシーン。
オーロラが重力ロスのエラーでプールの水の塊みたいに取り込まれるシーンはなかなかの迫力。オーロラがプールに入るシーンやたら多いのは気になりましたがw
ジムも、浮いた体がすとんと落とされたり、重力ロスのシーンはSF映画というべきビジュアルがありました。
2016 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
倫理的観点を問う前半から、アクション映画へ切り替わりw
まもなくガスの体が冬眠ポッドの故障でボロボロなことが判明。
ポッド、どんだけトラブルに弱いんじゃぁああ!!!
モーフィアスが可哀そうだぞ(
二人に乗客を助けることを言い伝えて死んでしまうことで、喧嘩状態だった二人は団結するようになります。これがまた気持ち悪い的なレビューが多いのですが、助かるためだったら仕方ないんじゃないでしょうかw
ただ、作風として「倫理観」がメインだった前半の要素がほぼなくなってしまっているのは事実。ここはちょっと大衆受けを狙おうと脚本に手を入れたんじゃなかろうかと思ってしまいます。。。
2016 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
さあ、ミッション:5,000人を救え!
ということで、ふたりの『アルマゲドン』作戦が始まります。
核融合炉の修理ができないことから、ジムが船外にでて排熱孔を開きにいきます。
しかし、熱の放出の衝撃によって吹き飛ばされてしまい、これはほぼ死亡…。
ブルース・ウィリスのように…oh…
と思ったら、オーロラがテザーを引き延ばしてジムは助かります。
一時は死んだかと思われましたが、蘇生装置みたいなのいれて息を吹き返します。
二つ目に、意見が分かれるのは、この後です。
「奪われた」⇒「残る」:ラストでオーロラはポッドに入るべき?
一つだけ冬眠ポットが残っているということで、これをオーロラが使ったらよいとジムは提案。しかし、オーロラは結局二人で生きることを決めるのです。
これにより、オーロラは「ジムによって奪われた人生」から「自分で残ると決めた人生」という思考に切り替わることから、ハッピーエンドになるわけですね。
ただし、オーロラは本来死ぬ予定はなかったし、小説としての仕事もあるのだから、冬眠ポッドに入るべきじゃないか、という声も分かります。
それはそれで、ジムが可愛そうではありますが、もともと故障していたポッドは彼だけですし、彼自身もそれで良いと言っています。オーロラだけ寝てジムが死ぬ。『タイタニック』的なエンドでそれもそれで感動的だと思うんですよね。
皆さんは、どちらのほうが良かったと思いますか?
個人的には、オーロラ自身が決めた、という決意にもなるので、これでもよかったのかと思いました。
ただし、冒頭でも伝えました通り、もっと大事なのは、この宇宙船のトラブル対応がとにかく甘すぎる点がそもそも悪いのです。ジムだけ起きてしまったのは完全に不運ですし、彼がなにか悪いことをしたから起きたわけでもない。
精神的に死んでしまう前に、彼が「殺人」という好意を選んでしまっただけでもあるのです。もっと企業を責めるべきなのですが…。
2016 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
オリジナル版の脚本では5,000人全滅のラストだった!?
実は、オリジナルの脚本は、映画版とは別のストーリーだったと言われています。
それは、二人を除いた冬眠している約5,000人の乗客が全員死んでしまうという事。
これにより大きく意味が変わるのは、オーロラとしては「ジムが起こしてくれなかったら私は死んでいた」ということに変わるという事。これは作品の根幹をも揺るがす変更点だと思います。たしかにオーロラがジムを好きになるエンドとしては、非常にしっくりくる自然さがあります。
結果、二人は子孫をつくって、「アダムとイブ」となるわけです。
アヴァロン号が「ノアの方舟」という意味では、まさに聖書の始まりという感じがしますね。エンディングでは、「ホームステッド2」に無事到着し、これから第2の地球文明が始まるという、ある意味ハッピーエンディングです。
そう考えるとオリジナル案の方がすっきりしているのですが、さすがに乗客5,000人殺すのはハリウッドとして受け入れられなかったのではないでしょうか。
映画版では、88年後、冬眠ポッドが起動して、乗組員たちが木々を目の前に立ち止まります。そして、オーロラの遺言であろうアナウンスにより彼らの物語を知ることになるのです。
ここで映画は終わってしまうので、もしかしたらオリジナル版みたいに子孫ができているのかもしれません。いずれにせよ、約5,000人を助けたヒーローとして今後扱われていくことは間違いなさそうですよね。そういう意味ではハッピーエンドでもあったのでしょうか。
ということで、以上『パッセンジャー』の解説でした。
個人的には企業のトラブル対応項目が甘すぎるのではないか、そこに一番の気持ちをぶつけたいと思います笑
それではまた!
\31日間無料!いますぐ見れる!/
※動画視聴なら、U-NEXTがお勧め! 『パッセンジャー』も配信中!
☑見放題作品が31日間無料で視聴可能! (期間中の解約なら無料!)
☑600円分のポイントプレゼント!毎月1,200ポイントがチャージ!
☑23万本以上の動画を配信中!(他VODにはないもの多数!)
☑映画館チケットもお得に!最新作はレンタル配信も!!
※無料視聴なら、Amazon Prime Videoがお勧め!『 パッセンジャー 』も配信中!
☑月額500円!定額制プランの料金が安い!(年額プランなら月額408円!)
☑オリジナル作品あり!(SF映画でいえば『トゥモロー・ウォー』が公開!)
☑他のプライム特典も利用可能!(配送料無料、音楽・書籍のサービスも!)
☑1ヶ月の無料体験もあるので安心!(期間中の解約なら無料!)
☆★☆Japan Sci-Fi登録はこちらから☆★☆
コメント
間違ってはいるが理解出来る
実際やって結果オーライになったから全部良し!
>ソースケぐんそー さん
確かに!結果これでみんなハッピーだったということですね笑
面白いレビューをありがとうございます。
この作品が好きで何度も見てるんですが、ジムが起こされたのは故障ではなくエンジニアという立場から意図的に(船のAI的に)起こされたんではないかなという気がしています(確かエコノミークラス的な乗客なので起こしても大丈夫だろみたいな)。お前なら修理できるだろ、的な感じですね。
そしてガスが起こされたのもジムでは対処できないことが船内AIで分かったので(クルーエリアを開けるためにも)しぶしぶ起こしたのではないかと。あくまで憶測です。