実は怖い?!
2009年公開のSFスリラー『月に囚われた男』をネタバレ感想・評価で徹底考察&解説!
ハングル文字があったのは韓国企業?
実は続編映画『ミュート』がある!結末はOK?
宇宙、ロボット、クローン、記憶移植!隠れた名作SFをネタバレ解説!
いざ、SFの世界へ…!
月に囚われた男 のネタバレ感想・考察・徹底解説 (Ryo)
本日は、2009年に公開されたイギリスのSFスリラー映画『月に囚われた男』(英: Moon)のネタバレ徹底考察!
※日本では2010年公開
11項目で解説します!!
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隠れた名作SF!タイトルは父親デヴィッド・ボウイ主演の映画から?
本作の監督は、グラムロックの先駆者とされるデヴィッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズです。CM製作の経験を生かして取り組んだ作品で、長編映画監督としてのデビュー作品となりました。
その後、『ミッション:8ミニッツ』なども手掛けて有名になりました。
ロックミュージシャンの息子がこういうSF映画をつくるってのも、なかなかレアな気もしますよね。
ちなみに、デヴィッド・ボウイは俳優として映画に主演したこともあり、初主演映画が『地球に落ちて来た男』という作品でした。邦題の『月に囚われた男』の由来と言えそうです。
監督は「SFマニア」といわれるほどのSF好き。CM製作経験を生かして、今作を非常に低予算で仕上げたと言われています。SF映画では珍しい「製作予算500万ドル」であり、またロンドンのスタジオにてたった33日間の撮影で終わらせたといいます。
そんな本作の評価はどうだったのでしょうか?
実はかなり高評価です。
「隠れた名作SF」と言われるほどで、Rotten Tomatoでは支持率90%です。
少なくとも批評家から非常に好まれている作品ということでしょう。
『2001年宇宙の旅』や『エイリアン』も意識したと思われる雰囲気の映画ですので、そういった映画好きにはより響いたのかもしれませんね。
サム・ロックウェルの一人芝居 or ロビン・チョークがクローン役?
主演は、サム・ロックウェル。
『グリーンマイル』で有名なほか、『マッチスティックメン』ではニコラス・ケイジと共演、『バイス』ではジョージ・W・ブッシュ役を演じました。2年連続でオスカーにノミネートされています。
実は今作は、ダンカン・ジョーンズ監督よりもサム・ロックウェルの方がSF作品を希望したそうですから、彼の影響も大きかったと言えます。
一つ大きな謎があります。
それは、この映画はサム・ロックウェルの一人芝居だったのか?という疑問です。
色々なサイトを拝見すると、大きく二つの主張に分かれています。
①すべてサム・ロックウェルの一人芝居
②サムのクローンとしてロビン・チョークが演じている
どちらが正しいのでしょうか。
確かにキャストにはロビン・チョークという名前があり、検索するとサム・ロックウェルとどこか似た顔の俳優です。では、彼が演じているのかと思うと、結構多くのサイトでは「サム・ロックウェルの一人芝居がすごい」「予算を抑えるために一人芝居にした」などと書いており、情報が錯そうしています。
個人的には、ロビン・チョークがクローン役を演じたんじゃないかな?と思っています。
一人芝居もできますが、それこそCGとかであとで合成しなければいけないので、どのみちお金かかりそうですよね。似た顔である彼の名前がキャスティングに入っている以上、きっとクローン役は彼だったんじゃないでしょうか。
レアな吊り上げ式ロボットの声は誰?ルナ産業にはあの人も!
他には、『セブン』『ユージュアル・サスペクツ』『アメリカン・ビューティ』などに出演しているベテラン俳優ケヴィン・スペイシーが声の主演。
そう、天井つり上げ式という非常に珍しいロボットのガーティ(GERTY3000L)の声ですね。
機械が大きいですしごつい感じなのですが、感情をニコニコマークで表現するというギャップが良いですねw
工業用ロボットみたいな、つり上げ式っていうロボットもこの映画くらいでしょうか?
ガーティは、「絶対どこかで裏切る!」って期待していたのですが、ここも良い意味で裏切られましたw
あと、これはなかなかわかりづらいですが、『ドクター・ストレンジ』に出演しているベネディクト・ウォンも登場しています。モニター画面で指示しているルナ産業の人間ですw
意外とこんなところに出てたのかぁあw
批評家からの評価は非常に高いといえますが、「淡々としている」「あっと言わせるものがない」という意見も多いです。
確かに序盤でクローンのことが分かる割に、終盤まで大きな真相暴露みたいなのがないんですよね。もう一つ大きな「え、まじか!」があると2段階攻撃でもっと面白かったのかなとは思いました。
ただ、こうして淡々と進んでいく作風も嫌いではないです。
取り残された宇宙空間という感じが伝わってくるのと、不気味さが常に漂っているので、これはこれで面白いなと思いました。
ルナ産業とは?月面基地「サラン」の重力は…
映画の舞台は近未来。
月面には、地球の主要エネルギー資源であるヘリウム3があります。
それを採掘するのが核燃料生産企業である「ルナ・インダストリーズ」であり、宇宙飛行士サム・ベルは3年契約で月で勤務しています。
録画メッセージで寂しさを埋めるという、なんとも孤独なミッションですね。あとは、どこか人間らしさがあるガーティがいるといったくらい。『2001年宇宙の旅』のHALよりは人間っぽい?w
『オデッセイ』や『ゼロ・グラビティ』のように、偶発的に一人宇宙空間に取り残された上でのサバイバルというわけではなく、元々取り残された上でのミッションというのが、ちょっと他と異なる点でもあります。
ちなみに、月面基地サランの中では普通に歩いていましたが、あれは近未来どうにかして重力が地球と同じ状況になっているのでしょうか。月面ではちゃんと重力(1/6の重力?)が描かれているのですが、月面基地では、てくてく歩いていましたw
※関係ないですけど、オープニングロールでキャストやスタッフの名前が映像の中に溶け込んでいるのですが、あれはちょっと見づらいというか、凝り過ぎているって感じましたw
ルナ産業は韓国企業?「サラン」基地の意味とは?
ルナ・インダストリーズですが、お気づきの通り、どうやら韓国企業らしいです。
というのも、至る所に韓国語ありました。
月面基地の「サラン」も韓国語で「愛」の意味です。
ハングル文字もどこかに書いてありましたよね。
クローン処理機で「アンニョンヒガセヨ」ともありましたし、どうみても韓国企業。
ネタバレしてからはとんでもない企業(ある意味でとんでもなく合理的な企業)であることは分かるのですが、これが日本ではなく韓国というのが、ちょっと時代を考えさせられますね。
同じ2009年公開の『2012』でも中国、『パシフィック・リム』(主に続編)でも中国企業が大きく注目されていたことからも分かるように、最近は「アジアで未来成長する企業」=「中国や韓国」という印象があるのでしょう。実際、現在経済成長していますしね。
興行収入的な意味も大きいと思いますが、「日本は未来こういう企業は創れないだろう」とどこか思われているような気がしてなりませんでした笑
それとも「日本がこんな非人道的なことをするわけない!」と肩入れしてくれたなら、それはそれで嬉しいのですが…。真相はどうなんでしょうか。
少女と黒髪女性の幻覚の意味は?妻と娘なのか…
さて、人気である3年がそろそろ終わり、妻のテスと3歳の娘イヴにも会えるぞ!というタイミングで、サムの容態は悪化しはじめます。幻覚が見えたり、事故にあったりするのです。
ちなみに、基地の中で少女、砂塵の中でも黒髪の女性が現れました。
あの幻覚は一体、何だったのでしょうか?
最初はてっきり妻か娘かなと思っていましたが、後で出てくるビデオをみると金髪ですよね?ということは、妻や娘の幻影ではない?ということになりますw
おそらく、そろそろお陀仏となるシステムという事で、機能低下していたのでしょう。その結果、プログラムがなんらかの不具合を起こしていたと考えるのが妥当です。
本当の娘や妻の記憶は移植されているものの、クローンは一度も実際に見たことがないので、「想像」と「記憶」のはざまを彷徨っていたのかもしれません。あのような幻覚(現実の妻と娘を追い求める幻覚)が起きたのは、そういうことではないでしょうか。
ちょっとホラー要素が強いのか?と思わせる展開だったので、びっくりでしたが、後半ではまったく登場しませんでしたw
出展:月に囚われた男 : 作品情報 – 映画.com
なぜ3年で廃棄…?二人とも協力的なのが衝撃!
さて、事故現場から2人目のサムを発見したサムは、基地で彼を治療します。
※現場いくまえにガーティと本部が会話しているシーンがありましたが、あれはリアルタイムなのだろうか。とすれば本当は交信できるが、サムには隠しているという事…?
ただ、あの本部との通信シーンでおそらく「サム死んだっぽいからクローン起動していい?」「OK!」みたいな会話があったと思われます。クローンプログラムだったらちゃんと「死(心肺停止)」みたいなのが分かるようにすればいいのにと思いますが、失神状態だと区別つかなかったんですね。
2人目のサムが登場してから、予想している展開を裏切られます。
サム2が出てきたら「お前誰だよ!」「ガーティ、どうなってやがる!」みたいな争いが勃発するかと思いきや、全然起きませんw
サム1とサム2、少し口論はあれど、基本的にどちらも協力的なんですよねw
ルナ産業は、3年ごとにクローンを廃棄しては、大量にストックしてあるクローンから新規に一つ起動させていくことを繰り返していたんですね。どうして3年か?というのは、3年経つと体がボロボロになっているように、おそらく技術レベルがそこまでしか到達していないことが原因と考えられます。
今回は、たまたま落石事故があり、その生死の確認が取れていない状態で新しいサムを起動させてしまったのが原因で、2人存在することになってしまったということです。
「クローン」「ロボット」視点の物語だった?
しかし、どのクローンもしっかり記憶が移植されているというのが凄まじく怖く、そして、悲しいですね。(『ブレードランナー』のレプリカントを思い出す…)
本物の記憶がある方が「家族のために頑張る!」「あと3年で帰れる!」ってなるからだと思いますが、あまりにも残酷ですよね。
一番切ないシーンは、地球と交信する時ですが、3歳であった娘は既に15歳。妻のテスは亡くなっています。成長している娘を観たときの、やりきれない気持ち。。。
ここは本当に心が痛いw
さらに追い打ちをかけます。
それは、地球には「父親」がいるのです。。。
うぉぉぉぉぉ~~~~ん( ゚Д゚)
オリジナルのサムは娘と楽しく過ごしている、というのも絶望ですが、
よく考えると、このクローンシステムを容認したのが、ほかならぬ自分であろう、ということ。どこに怒りをぶつけたらいいのかわからない、そんな気持ちが如実に表れているシーンでした。
非人道的なやり方と思われますが、コストカットを常に目指す企業としては非常に合理的な戦略といえます。また、あくまで月面基地視点で見ていると「かわいそう」と感じますが、地球視点でいえば、38万キロ先でロボットのような存在がひたすら貴重な資源を採掘しているだけであり、おそらくなにも感じないでしょう。
これはある意味で「クローン」「ロボット」の心情に寄り添ったらこんな気持ちになるんだよと、ということを伝えているのです。
HALみたいなロボットかと思ったら…めちゃ優しいガーティw
なんとか今の状況を打開しようと、二人のサムが考えた作戦は、片方のサムを地球に返すというものでしたが、最終的にはサム1がその3年の体の機能を終えて死亡してしまったので、事故現場に戻します。そして新たなサムを起動し、自分は地球に還ることで、本部の目をごまかそうという作戦です。
この作戦に協力してくれたのが、ガーティです。
ガーティは、過去のクローンたちが「地球に還る」つもりでカプセルに入ってそのまま処分されている映像を見せたり、自分の記憶をすべて消すために電源を落として再起動させたりします。
や、優しい!!!ww
『2001年宇宙の旅』のHALみたくなったと思ったら、この映画で一番人間らしい存在なんじゃないか?と思わせるほどやさしいw
「私はあなたを助ける為に存在する」という理由らしいですが、
あくまでルナ産業のものなので、ルナ産業にとって都合の良いように動くべき、という気もしますが…。
自分はてっきり、今まで安心と見せかけていたガーティが最後に裏切ってひと悶着あると思っていたので、「あれ、優しすぎないか~!?」と拍子抜けしましたw
これはこれで「よくある筋書き」ではないことが、良いと思いましたね。
ラストで台無し?続編「ミュート」、そして3部作がある!
最後は、ルナ産業の実態について告発されるというナレーションが入って終了。
多くのレビューサイトでこれが蛇足という意見がありますが、たしかにそうかもしれませんね。
雰囲気が台無し感はありますよねw
ロボットのガーティのレベルが高いところを見ると、クローンをやめてロボットにするでしょうか。そうすればこういう感傷的な問題は起きないですからね..。
というより、この時代ではロボットに採掘してもらうのは厳しいのだろうか...
ちなみに、2018年、ダンカン・ジョーンズ監督は『月に囚われた男』の「 精神的続編 」としてNetFlix映画『MUTE ミュート』を公開。『ブレードランナー』のような世界観を持つサイバーパンクということで、話題を呼びました。主演は『バトルシップ』『ゴジラvsコング』でみなさんお馴染みのアレクサンダー・スカルスガルド。
三部作で製作する予定があるとのことで、2019年に記事にもなっていますが、その後は進捗どうなっているのでしょうか。続きが気になりますね。
10 years later, director Duncan Jones talks the ending & future of Moon – Polygon
記憶を自由に操ることができれば、人はどんな形にでも変貌する
ということで、以上、『月に囚われた男』の感想・考察でした。
この映画は、あながちただのSFではないと思っています。
もしクローンのような存在が生まれたらこのように運用した方が、「地球に住む人類」にとっては好都合ですよね。結果、必要な資源が送られる完璧な仕組みのわけですから。
あくまでクローン視点にたったときに「切ない」と思うだけで、いざこのようなシステムが導入できる時代になれば導入してしまうのが、企業であり人類であると思います。
また、自分たちの人生には「記憶」という概念が大きく影響していることもわかります。
これはフィリップ・K・ディックのお得意分野かもしれませんが、『ブレードランナー』や『トータルリコール』からもわかるように、記憶がその人を人たらしめています。
では、逆を言えば
「記憶」を変えたり作ったりできる時代が来れば、
我々はどんな人間にでも変貌してしまう可能性がある、
ということです。
記憶一つで20年生きているのか25年生きているのかも分からなくなるでしょう。
記憶一つで自分が地球生まれなのか宇宙生まれなのか分からなくなるでしょう。
宇宙開発、クローン、ロボット、記憶移植。
色々な側面から未来を考えさせられる良質なSF映画と言えると思います。
それではまた!
これはこれで「よくある筋書き」ではないことが、良いと思いましたね。
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